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広告・景品規制

広告・マーケティングへの法律規制は?弁護士が9つのポイントを解説

2019.12.192025.11.27
広告規制=eye
この記事の目次

    はじめに

    広告・マーケティングは、消費者に対し、自社の商品・サービスを広く宣伝するために効果的な手段です。

    近時では、従来の方法に加え、ウェブやSNSなどを活用するなど、広告やマーケティングの形態も多様化してきています。

    このことは、裏を返せば、それだけ不適切な広告・マーケティングが行われる危険性が高まっているともいえます。

    不適切な広告やマーケティングを原因としたトラブルを招かないためにも、これらに課されるルールをしっかりと理解しておく必要があります。

    そこで今回は、広告・マーケティングにかかる9つの法律規制の内容と、これらの規制を回避するための対策などについて、弁護士がわかりやすく解説していきます。

    この記事を書いた人

    勝部 泰之勝部 泰之弁護士
    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。
    一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科に在籍中。主な興味分野は経営学、高次元統計、自然言語処理、ゲーム理論、金融アルゴリズム、ブロックチェーン。
    研究リポジトリはこちら↗

    1 広告の現状

    広告規制=1

    テレビや雑誌などのマスメディアを用いた従来型の広告では、マスメディアによる事前審査があったため、違法な広告が世に出る可能性は低かったといえます。

    現在では、従来型の広告に加え、ウェブやSNSなどを使った広告も増えてきており、マスメディアやソーシャルメディアなどによる事前審査が追いついていないというのが実情です。

    とはいえ、少なくとも、以前からすると、広告の方法が多様化したことで、事業者が気軽に広告を出しやすい時代になったということがいえます。

    もっとも、その反面、違法な広告が世に出る可能性も高まっています。

    そのため、広告全般については、いくつかの法律により規制がかけられており、広告を打ち出そうとする事業者は、これらの規制を守ることが大切になってきます。

    もしも、事業者が、広告規制があることを知らないまま、自由に広告を打とうとすると、場合によっては、広告掲載の差止めを請求される可能性があります。

    また、場合によっては、実際に打ち出した広告により、不利益を被ったとする消費者から損害賠償を請求される可能性もあります。

    誰もが簡単に広告を打ち出すことができるようになった現代社会であるからこそ、広告を出す事業者は、広告にかかる規制をしっかりと熟知しておく必要があります。

    2 広告などで問題となる法律規制

    広告規制=2

    広告に関する規制は、
    1. 公正な競争や表示の保護
    2. 権利保護
    3. 消費者の保護
    4. 情報化社会への対策
    という4つの観点から設けられています。

    3 公正な競争や表示

    広告規制=3

    広告は、ユーザーが商品を選ぶ際の基準ともなるもので、自社への利益を生み出す1つの要素であるといえます。

    もっとも、自社の商品が優れていることを強調しようと、他社を貶める広告や実態にそぐわない広告などを打ち出すことを許してしまうと、他社やユーザーに損害を与える可能性があります。

    このような観点から、以下の2つの法律は広告について一定の規制を課しています。
    1. 景品表示法
    2. 不正競争防止法

    (1)景品表示法

    「景品表示法(景表法)」とは、提供する商品やサービスの品質などについて、ユーザーに誤認を生じさせないよう、事業者に対して適切な表示を行うことを義務づけることにより、消費者を保護するための法律です。

    景表法では、以下の2つにあたる場合を「不当表示」として禁止しています。
    1. 優良誤認
    2. 有利誤認

    ①優良誤認

    「優良誤認」とは、商品やサービスの「品質」を、実際の品質よりも著しく優良であると誤認を与えるような表示をいいます。

    たとえば、優良誤認の例として、
    • 実際には有名ブランドでないにも関わらず、「有名ブランドの国産和牛の肉」と表示する広告
    • 実際には10万km走行した中古自動車であるにも関わらず、「走行距離1万km」と表示する広告
    などがあります。

    また、ウェブサービスにおいて優良誤認が疑われた「口コミサービス」の問題があります。数年前に、口コミサイトの「食べログ」を使ったステマ(ステルスマーケティング)が話題になりました。

    「食べログ」とは、5段階で評価する口コミを一般ユーザーが投稿することによって、その平均点がその飲食店の客観的評価となり、ほかの一般ユーザーがその評価を参考にして飲食店を選ぶことができるというウェブサービスです。

    この「食べログ」において、複数の飲食店が、口コミ代行業者に依頼して自らのお店を高く評価させることにより、「食べログ」における口コミ評価を不当に釣り上げていたということが発覚しました。

    この事例では、サクラ業者が高評価の口コミを投稿することにより、特定の飲食店が実際の評価よりも高い評価を得ていたという点で、商品・サービスの「品質」を偽っていたのではないかということが問題になりましたが、結局、品質を「著しく」偽ったとまではいえないとして、法的措置が見送られた経緯があります。

    消費者庁は、この事例を受けて、口コミに関しての目安となる新たなガイドラインを発表し、商品やサービスを提供する事業者が、顧客の誘引を目的として、実際の商品・サービスより優良であると一般ユーザーに誤認を与えるような口コミを、自らまたは第三者を使うなどして掲載した場合には、優良誤認にあたる可能性があるとしました。

    以上の事例からもわかるように、広告・マーケティングをする事業者は、広告が「優良誤認」にあたらないように、その商品・サービスの「内容・品質」について、適正な情報を表示しなくてはなりません。

    広告の適正性を確保する方法としては、
    • 社内で出稿予定の広告が違反していないか事前チェックを行う
    • 景表法について、社内でしっかり周知する
    • 社外チェックを入れる
    • 具体的な景表法違反事例を確認して自社の広告を見直す
    などが考えられます。

    なお、過去の景表法違反事例は、消費者庁が出している「景品表示法における違反事例集」で確認することができます。

    ②有利誤認

    「有利誤認」とは、自社の商品・サービスの取引条件がほかの条件より著しく有利であると一般ユーザーに誤認を生じさせる広告のことです。

    広告が「有利誤認」表示として規制を受けるのは、以下の条件を満たす場合です。

    たとえば、実際は大してお得でもないのに、一般ユーザーにおいて「これはお得だ!」と誤認してしまうような広告が有利誤認にあたります。

    有利誤認の具体例としては、
    • 実際には他社の製品と同じ内容量であるにも関わらず、「自社製品は、他社製品と比べて内容量が2倍入っています!」と表示する広告
    • 携帯料金について、他社の方がより安い料金プランを有するにも関わらず、その料金プランを除外した料金比較表を表示して、「自社の料金が一番安い!」と表示する広告
    などがあります。

    また、有利誤認との関係では、クーポンを用いたディスカウント広告(フラッシュマーケティング)による「二重価格表示」も問題となります。

    「二重価格表示」とは、商品の販売価格と一緒に、その値段よりも高い価格(「比較対象価格」)を表示することにより、一般ユーザーの購買意欲を煽るようなものをいいます。

    たとえば、ある商品の広告に、「通常価格50,000円、値引率50%オフ、販売価格25,000円」と表記されている場合、この商品を50,000円で販売したことがなければ、根拠がない価格を比較対象とすることにより、一般ユーザーの購買意欲を煽っているといえるため、二重価格表示にあたります。

    もっとも、公正取引委員会が定めた「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」によれば、以下の条件を満たしている二重価格表示は違法とならないことが述べられています。
    1. 販売時から過去8週間のうち、通常価格での販売実績が4週間を超える
    2. 販売期間が8週間未満である場合は、通常価格での販売実績が販売期間の過半である
    3. 実際に通常価格で販売した日から2週間以内である
    このように、二重価格表示は、お得感を前面に打ち出すために一般的によく使用されている表示方法です。

    もっとも、販売価格の安さを強調するあまり、比較対象として表示された価格が適正でなければ、一般ユーザーに販売価格が安いという誤認を与えるものとして「有利誤認」にあたる可能性があります。

    広告を表示する際には、上の3つの条件を満たすように、価格を表示する必要があります。

    (2)不正競争防止法

    「不正競争防止法」とは、事業者間における公正な競争などを確保することを目的として、適正な事業活動を遵守させるためのルールを定めた法律です。

    真実の情報に基づいて表示されている広告は、一般ユーザーに対し、商品やサービスを選択するための情報を提供するものであるため、広告を打ち出すこと自体が不正競争になることはありません。

    もっとも、たとえば、以下のような行為は、不正競争防止法に違反することになります。
    • 他社の有名な商品・サービス名をそのまま流用したり、マネしたりするなどして、他社の人気に便乗し、利益をあげる行為
    • 他社の信用をおとしめるような広告やマーケティングをすることで、他社の信用を害する行為
    なお、ウェブサービス事業者は、不正競争防止法に関連する問題として、インターネットのドメイン登録についても注意が必要です。

    インターネットのドメイン登録は早い者勝ちであるため、登録申請が早ければ、基本的には希望するドメインを登録することができます。

    もっとも、他社の社名や著名な商品・サービス名に似たドメイン名をつけてしまうと、不正競争防止法に基づいて、使用の差止めやドメイン名の移転を命じられてしまう可能性があるため、ドメイン登録の際には、他社との誤認混同を生じさせるようなドメイン名の使用をできるだけ避ける必要があります。

    4 権利保護

    広告規制=4

    広告には、さまざまなタイプのものがあり、文章によって表現されているものや音声や画像などを組み合わせることによって表現されているものもあります。

    また、商品やサービスには、名称やマークなどが付されることもあります。

    この点、使用する文章や画像などがオリジナルのものであれば、何ら問題はありませんが、問題となるのは、他人が撮った画像などを無断で使用したり、有名な他社広告が使用するフレーズを勝手に使うなどして、他人・他社の権利を侵害した場合です。

    そのため、広告によって表現されているものや商品・サービスなどに付されている名称やマークなどを保護することが必要になってきます。

    このような観点から、以下の3つの法律は、広告に対し、一定の規制を設けています。
    1. 著作権法
    2. 商標法
    3. 憲法

    (1)著作権法

    「著作権法」は、著作者が、自分の考えや感情などを表現したもの(著作物)に一定の権利を認め、これらの権利を保護するために作られた法律です。

    たとえば、ウェブ上の広告に用いられている文章表現・音声・写真・動画などは、それ自体が著作物として、著作権法により保護されています。

    そのため、他社広告で使用されている文章表現や写真などを、自社の広告素材として無断で使用してしまうと、著作権侵害にあたる可能性があります。

    広告が他社の著作権を侵害している場合、または、侵している可能性がある場合には、著作権者から、広告の使用停止を求める「差止請求」や損害賠償請求を受ける可能性があります。

    また、著作権を侵害してしまうと、自社のイメージダウンにも繋がり、結果として、本来自社商品をアピールするための広告が、真逆の効果を生んでしまうこともあるのです。

    そのため、著作権を侵害しないためには、著作権法のルールを詳しく知っておく必要があります。

    ※文章や画像を転載する際のルールについて詳しく知りたい方は、「著作権の引用とは?画像や文章を転載する際の5つの条件・ルール」をご覧ください。

    (2)商標法

    「商標法」とは、自社の商品やサービスを表す名前やマークを「商標」として登録することで、それらが他社に使用されることを防ぎ、商標の権利者の利益を保護する法律です。

    広告を打ち出すときは、他社の商標を侵害しないよう、使用したい名称や図形などが商標登録されているかどうかを事前に確認する必要があります(「先願調査」といいます)。

    「先願調査」は、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」により実施することができます。

    ここで、AmazonやZOZOTOWNのような電子モール運営事業者に関する裁判例を1つご紹介したいと思います。

    「電子モール事業」とは、インターネット上で複数の商品販売ページをまとめて、さまざまな物品を販売するウェブサイトを運営する事業のことをいいます。

    この裁判例は、楽天市場に出店していた複数の事業者が「CHUPA CHAPS」の商標を違法に付した商品を販売していたということが判明したため、「CHUPA CHAPS」の販売元であるペルフェッティ・ヴァン・メレ社が、商標権を侵害していた事業者を含め、楽天市場を運営する株式会社楽天を相手取って訴訟を提起したという事例です。

    この事例につき、裁判所は、「電子モールの運営者が、出店者による商標権の侵害を知ったとき、または、知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至ったときは、その後の合理的期間内に侵害内容のウェブページから削除がなされない限り、この期間経過後から、商標権者は、ウェブページの運営者に対し、商標権侵害を理由として、出店者に対するのと同様の差止め請求と損害賠償請求を行うことができる。」と判示しました。

    つまり、電子モール事業者である楽天のサイト上で、複数の出店者が「CHUPA CHAPS」の商標を違法に付した商品を販売していたことについて、電子モール事業者にも一定の調査責任がある、という考え方を示したのです。

    電子モールのような場所貸し的なウェブサービスは、「出店している各店舗が広告・マーケティングをすることで、サイト全体の知名度も上がる」という相乗メリットがあります。

    その代償として、「販売しているのは出店している店舗であって、ネット上の場所を貸しているだけの電子モール事業者は、個々の違法行為について責任を負わない」という弁解ができない可能性があることには注意が必要です。

    ※具体的な調査方法については、「商標権侵害を予防する方法とは?商標の調べ方を弁護士が5分で解説!」をご覧ください。

    (3)憲法

    広告において、他人の顔や姿が映った写真や動画などを不用意に使用してしまうと、憲法で定められている「幸福追求権」を侵害してしまうおそれがあります。

    判例においては、幸福追求権を根拠として、以下の2つの権利を人の権利として認めています。
    1. 肖像権
    2. パブリシティ権

    ①肖像権

    「肖像権」とは、何の理由もなく自分の姿態などを撮られない、また、自分の姿態が映りこんだ写真や映像を無断で使用されない権利のことをいいます。そのため、広告のために、他人の顔や姿が映った写真や映像を無断で使用すると、肖像権侵害に基づく広告の差止請求を受ける可能性があります。

    ②パブリシティ権

    「パブリシティ権」とは、著名人の氏名・写真などから生じる顧客吸引力を中心とする経済的な利益を保護する権利のことをいいます。

    商品を販売するために用いられる著名人の氏名や写真には、「この商品を買いたい」と消費者に思わせる力(顧客吸引力)があると考えられています。

    とはいえ、たとえば、許可を受けることなく、「女優の〇〇さんも愛用しています!」などと、著名人の写真や氏名を用いると、パブリシティ権の侵害にあたる可能性があり、場合によっては、広告の差止請求や損害賠償請求を受ける可能性すらあるのです。

    このように、広告を打ち出す際は、他人の姿が映った写真や動画などを無断で使用しないように注意することはもちろんのこと、著名人の写真や氏名などを使用したい場合であっても、所属事務所と連絡を取るなどして、使用許諾(ライセンス)契約などを締結するようにしてください。

    5 消費者の保護

    広告規制=5

    広告は、消費者に商品やサービスを認知してもらうために打ち出されることが一般的です。そのため、少しでも多くの消費者を惹きつけようと、広告における表現がおおげさになりがちです。

    このように、内容において不適切な広告を打ち出してしまうと、その広告を信頼して商品を購入した消費者が不利益を被ってしまいます。

    そこで、以下の2つの法律は、広告に対し、消費者保護の観点から一定の規制を設けています。
    1. 消費者契約法
    2. 特定商取引法

    (1)消費者契約法

    「消費者契約法」とは、消費者を不当な契約から保護するための法律です。

    消費者契約法では、以下の3つを「消費者を誤認させる勧誘」の類型とし、このような不適切な方法による勧誘で締結した契約を取り消すことを認めています。
    1. 不実告知
    2. 断定的判断の提供
    3. 不利益事実の故意の不告知

    ①不実告知

    「不実告知」とは、契約内容の重要な事項について、事実と異なることを告げることをいいます。

    たとえば、「この水を飲むとやせます!」と宣伝し、実際にはダイエット効果のないただの水を販売することは、不実告知にあたります。

    ②断定的判断の提供

    「断定的判断の提供」とは、将来得られる利益などが不確実であるにもかかわらず、あたかも確実であるかのように見せて勧誘をすることをいいます。

    たとえば、「このツールを利用すると、将来必ず大金持ちになります」と謳って販売した場合、大金持ちになるかどうかは不確実であるにもかかわらず、あたかも大金持ちになることが確実であるかのように見せて勧誘をしているため、「断定的判断の提供」にあたります。

    ③不利益事実の不告知

    「不利益事実の不告知」とは、契約内容の重要な事項などについて、消費者の利益になることのみを説明し、消費者にとって不利益となる事実を故意に(わざと)説明しないことをいいます。

    たとえば、不動産業者が、隣に眺望・日照を害する高層ビルの建設計画があることを知りながら、不動産の広告に「眺望・日当たり良好」と掲載して、マンションの一室を販売すると、不利益事実の不告知にあたります。

    このように、以上に挙げた3つのいずれかにあたる勧誘行為により消費者が契約を締結した場合、その勧誘行為は「消費者を誤認させる勧誘」にあたり、消費者は契約を取り消すことができます。

    広告を打ち出す際には、広告に使う表現が「消費者を誤認させる勧誘」にあたらないように、注意しなければなりません。

    (2)特定商取引法

    「特定商取引法」は、訪問販売や通信販売などのように「消費者トラブルを生みやすい取引」を対象として、事業者が守るべきルールを定めた法律です。

    たとえば、インターネット上で商品の売買を行うウェブサービス事業は、「通信販売」にあたるため、特定商取引法による規制を受けます。

    特定商取引法では、主に、以下の3つを規制しています。
    1. 誇大広告等の禁止
    2. 承諾のない者に対して、電子メール広告を送信することの禁止
    3. 顧客の意に反して申込をさせようとする行為の禁止

    ①誇大広告等の禁止

    特定商取引法は、消費者トラブルを未然に防止するため、実際のものより優良であるとする誇大広告や著しく事実に相反する広告を禁止しています。

    先ほどご紹介した景表法と同様の規制が、特定商取引法でも課されているのです。

    ②承諾のない者に対して、電子メール広告を送信することの禁止

    事業者は、消費者があらかじめ承諾しない限り、電子メール広告を送信することができません。

    もっとも、以下のような場合は、例外的に電子メール広告を送信することが可能です。
    • 「契約の成立」「注文確認」「発送通知」などの重要な事項を通知するメールの一部に広告が含まれる場合
    • 消費者からの承諾や請求を得て送信されるメルマガの一部に広告が含まれる場合
    • 無料でメールアドレスを取得できるサービスで、無料の条件として、そのアドレスから送信されるメールの一部に広告を記載する場合

    ③顧客の意に反して申込をさせようとする行為の禁止

    特定商取引法は、「顧客の意に反して売買契約等の申込をさせようとする行為」も禁止しています。

    たとえば、「詳細を見る」というボタンをクリックすると、勝手に有料契約の申込みがなされてしまうような仕様は、顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為にあたります。

    6 情報化社会への対策

    広告規制=6

    現代はパソコンをはじめ、タブレット端末やスマートフォンなど、インターネットに気軽にアクセスできる情報機器が社会に浸透したことで、Web広告の出稿が活発になっています。

    Web広告を掲載したり、Web広告を使ったマーケティングを行ったりする場合には、特に、以下の2つの規制に注意が必要です。
    1. 個人情報保護法
    2. 特定電子メール法

    (1)個人情報保護法

    Web広告を掲載するときは、広告を使ったマーケティングを並行して行うことがほとんどです。特に、ダイレクトマーケティングや行動ターゲティング広告を行う場合には、個人情報保護法の規制が問題になります。

    「ダイレクトマーケティング」とは、広告やサイトにアクセスした消費者を対象に、購買するか否か、どのタイミングで離脱するかなどを計測するデータマーケティング手法のことをいいます。

    「行動ターゲティング広告」とは、消費者の興味関心を計測・推測し、ターゲットを絞って広告を配信する手法のことをいいます。

    それぞれの手法を行うためには、個人情報を収集・利用する必要がありますが、個人情報の取り扱いには、慎重さが求められます。

    そこで、個人情報を取り扱う事業者には、以下の義務が課されることになります。
    • 利用目的を特定し、通知・公表すること
    • 利用目的の範囲を超えた利用をしないこと
    • データの正確性を確保すること
    • 個人情報を安全に管理すること
    • 従業者や委託先を適切に監督すること
    • 第三者提供を制限すること

    (2)特定電子メール法

    特定電子メール法は、あらかじめ同意した人以外にメール広告を送信することを禁止しています。

    電子メールによる広告を規制する点では、特定商取引法による規制とほぼ同じですが、特定商取引法は同法に規定する販売業者にのみ適用されるのに対し、特定電子メール法は営利目的の事業者すべてが規制対象とされています。

    特定電子メール法において、メール広告を出す際にもっとも重要なことは、事前にユーザーの同意を得ることです。

    ここでいう「同意を得た」といえるためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
    • 広告メールが送信されることをユーザーが認識していること
    • 同意の意思表示が明確にされていること
    つまり、会員情報の登録の際にメールアドレスが登録されたからといって、それだけで勝手に広告メールを送ることはできないということになります。

    あくまで、広告メールの送信を対象としたユーザーの明確な同意があって始めて、広告メールをユーザーに送信することができるのです。

    関連記事として「メルマガを規制する法律は?2つの法律のポイントをわかりやすく解説」「名刺交換・問い合わせ対応だけで送っていい?特定電子メール法の「既存関係」の線引きと、特商法との関係、そして罰則まで」も参考にしてみてください。

    7 小括

    広告規制=last

    広告・マーケティングを行う際には、あらゆる観点から、一定の規制が課されます。これらの規制を軽く見て、広告やマーケティングを行うと、場合によっては、他社への権利侵害にあたり、広告の差止めや損害賠償を請求されるという事態にもなりかねません。

    そのため、これらの規制を十分に踏まえた適切な広告・マーケティングを行うことが大切です。

    8 まとめ

    これまでの解説をまとめると、以下の通りとなります。
    • 広告は、①公正な競争や表示の保護、②権利保護、③消費者の保護、④情報化社会への対策という4つの観点から、法律による規制を受ける
    • 公正な競争や表示の保護という観点からは、①景品表示法、②不正競争防止法という2つの法律規制が存在する
    • 権利保護の観点からは、①著作権法、②商標法、③憲法という3つの法律規制が存在する
    • 消費者保護の観点からは、①消費者契約法、②特定商取引法という2つの法律規制が存在する
    • 情報化社会への対策という観点からは、①個人情報保護法、②特定電子メール法という2つの法律規制が存在する
    AUTHOR
    勝部 泰之

    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。 一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1・清水研究室)。

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