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広告・景品規制

ビフォーアフター写真はNG?医療広告規制の3つのポイントを解説!

2020.03.092020.03.09
ビフォーアフター写真はNG?医療広告規制の3つのポイントを解説!
この記事の目次

    はじめに

    健康志向の高まりから、多くの人が医療についての情報をインターネットで調べるようになり、多くの病院やクリニックがウェブサイトで広告などの情報発信をしています。

    医療広告は、人の健康や命に関わる問題でもあり、その内容や表現について厳しい規制があるのをご存じでしょうか。

    これは、一見「広告」ではない個人のブログやSNSなども例外ではありません。芸能人やインフルエンサーがある治療を受けている写真を公開し、その効果とステルスマーケティングが疑われ、厚労省が実態調査に乗り出したのは記憶に新しいところです。

    ここでは、医療に関する広告の規制について、弁護士が詳しく解説します。

    この記事を書いた人

    勝部 泰之勝部 泰之弁護士
    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。
    一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科に在籍中。主な興味分野は経営学、高次元統計、自然言語処理、ゲーム理論、金融アルゴリズム、ブロックチェーン。
    研究リポジトリはこちら↗

    1 医療広告の規制対象

    医療広告の規制対象

    (1)規制対象となっている広告とは

    「医療に関する広告(医療広告)」とは、医業・歯科医業、病院・診療所に関する広告のことをいいます。医療広告は、「医療法」という法律によって規制されています。

    以下の2つの条件のいずれも満たす広告は、「医療法」で規制の対象となる医療広告となります。
    1. 患者の受診などを促し呼び込む意図があること(誘因性)
    2. 病院やクリニックの名前などの表示があり、医療機関が特定できること(特定性)
    なお、表向きには「広告」という形をとっていないものであって、上の2つの条件を満たす広告は、実質的に医療広告と判断され、規制の対象になります。

    例えば、「これは広告ではありません」「これは取材に基づく記事であり、患者を誘引するものではありません」などと書かれている場合であっても、病院名などが記載されていて特定可能であれば医療広告になります。

    また、具体的な病院名等が書かれていなくても、電話番号やウェブサイトのアドレスの記載から一般人が容易に病院等を特定できるときは、医療広告になります。

    さらに、患者に広告であると気付かれないように行われる、いわゆるステルスマーケティング(ステマ)などについても、医療機関がお金をだして掲載を依頼しているなどした結果、上記2つの条件をいずれも満たしているのであれば、同じように医療広告として規制の対象になる場合があります。

    もっとも、以下については、通常、医療広告とはみなされません。
    • 学術論文、学術発表など
    • 新聞や雑誌などの記事(病院等がお金をだして記事の掲載を依頼する場合を除く)
    • 患者が自ら掲載する体験談、手記など(患者が病院等から金品等の謝礼を受ける場合を除く)
    • 院内掲示、院内で配布するパンフレットなど
    • 医療機関の職員募集に関する広告

    (2)規制の対象者

    医療法では、病院やクリニックなどの医療機関だけではなく、すべての人を規制の対象としています。

    具体的には、医療機関以外の対象者として以下の例が挙げられます。
    • マスコミ
    • 広告代理店
    • アフィリエイター(ブログなどで紹介して、成果に応じた報酬を受け取るとき)
    • 患者または一般人
    また、日本国内向けの広告であれば、外国人や海外の事業者も対象になります。

    (3)規制の対象となっている媒体

    規制の対象者と同様に、医療法では、種類を問わず、すべての媒体を規制の対象としています。

    具体的には、以下の例が挙げられます。
    • チラシ、パンフレット、ダイレクトメール、FAX
    • ポスター、看板
    • 新聞紙、雑誌、その他の出版物、放送
    • Eメール、インターネット上の広告
    • 説明会や相談会などで使用するスライド、ビデオ、口頭での説明
    そのため、その広告がどこに掲載されているかに関わらず、医療広告に関わる全ての人が医療法が定めている広告に関するルールを理解し、違反しないように気をつけなければいけないのです。

    規制対象が分かったところで、まずは、なぜ医療広告が規制されているのかや、基本的な医療広告に関するルールについて確認していきましょう。

    2 医療広告に関するルールの基本

    医療広告に関するルールの基本

    (1)医療広告はなぜ厳しく規制されているのか

    医療広告には、通常の広告と比較して、その内容や表現について厳しいルールがあります。なぜ、厳しく規制されているのでしょうか。

    それは、医療というものが以下のサービスだからです、
    1. 人の生命・身体に関わるサービス
    2. 極めて専門性の高いサービス
    医療は、他の分野のサービスと比べて不適当なサービスを受けた場合に患者が被る「被害」は大きく、その健康や生命に及ぶおそれがあります。

    そして、不適当なサービスは、えてして、不当な広告がきっかけとなりがちです。

    また、専門性が高すぎるあまり、一般人では、広告の文言から実際にどのようなサービスを受けられるのか把握できないことが往々にしてあります。

    このような背景から、医療広告については、その内容や表現について特に厳しい規制があるのです。

    (2)医療法でOKとされている広告は何か

    それでは、医療法ではどのような広告が認められているのでしょうか。

    医療法では、広告に関して、
    1. 禁止されている広告
    2. 広告可能とされている事項
    3. 広告可能事項の限定解除
    の3つについて定められています。

    医療法でOK・NGとされている広告を整理すると次の通りとなります。

    禁止広告に該当する広告をだすことはNGです。

    また、医療法では、広告可能とされている事項(広告可能事項)のみ広告することが許されています(広告可能事項の限定)。つまり、広告可能事項以外を広告することはNGとなります。

    もっとも、医療法では、一定の条件のもと、広告可能事項以外を広告することが許されている場合(広告可能事項の限定解除)があります。

    なお、この広告可能事項の限定解除は、あくまでも広告可能事項の限定が外れるだけであり、禁止されている広告をだすことが許されるわけではないことに注意してください。

    これらをまとめると、医療広告の可否の判定フローは基本的に以下の通りとなります。



    それでは、この①~③について順番に詳しく解説していきましょう。

     

    3 禁止されている広告

    禁止されている広告

    医療法においては、次の広告が禁止されています。
    1. 虚偽広告
    2. 比較優良広告
    3. 誇大広告
    4. 主観に基づいた体験談
    5. ビフォーアフターの写真
    6. 公序良俗に反する内容の広告
    7. 品位を損ねる内容の広告
    8. その他医療法以外の法律で禁止される内容の広告
    それぞれ、どのような広告がNGとなるのか確認していきましょう。

    (1)虚偽広告

    虚偽広告は、患者に事実とは違う情報を与えることによって、適切な受診機会を奪ったり、患者が不適切な医療を受けるおそれがあったりするため禁止されています。
      例:
    • 「絶対安全です」
      →医学上、絶対安全と保証できることはありません。あり得ないことを内容とした広告は、虚偽広告として扱われます。
    • 加工・修正したビフォーアフターの写真等の掲載
      →加工や修正をしている点で、虚偽広告として扱われます。
    • 根拠や調査方法がない「満足度〇%」等の表示
      →データの根拠が明確でない場合、虚偽広告として扱われます。

    (2)比較優良広告

    施設の規模、人員配置、提供する医療の内容などについて、他の病院等と比較して自らの病院等がすぐれているように見せる広告は比較優良広告にあたり、禁止されています。

    これは、記載されている内容がたとえ事実であったとしても、「他の病院等よりも圧倒的にすぐれているのかな」と誤解を与えるおそれがあるため、禁止されています。
      例:
    • 「当院は〇〇の治療においては、日本有数の実績があります」
    • 「最先端医療機器の導入数は都内随一です」
    • 「著名人〇〇も当院で治療を受けていました」

    (3)誇大広告

    「誇大広告」とは、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容等について、必ずしも間違ったことを伝えているわけではありませんが、事実を不当に誇張して表現していたり、人を誤認させたりする広告のことをいい、禁止されています。
      例:
    • 「比較的安全な治療方法です」
      →何と比較して安全であるか不明であるので、誇大広告として扱われます。
    • 「こんな症状が出ていれば命に関わりますので、今すぐ受診ください」
      →科学的な根拠が乏しい情報であるにもかかわらず特定の症状に関するリスクを強調することにより、医療機関への受診を誘導するものとして、誇大広告になります。

    (4)主観に基づいた体験談

    ここでいう「主観に基づいた体験談」とは、患者自身やその家族から伝えられた治療内容や、その効果のことをいいます。

    患者それぞれによって事情が異なるにも関わらず、他の患者に誤解を与えかねない情報が含まれてしまうおそれがあるため、禁止されています。

    なお、患者が自分のサイトやSNS、口コミサイトなどに自発的に体験談を掲載することについては、医療機関が広告料や謝礼などを支払って掲載を依頼するなどの誘引性が認められなければ、広告には該当しません。
      例:
    • 「多くの患者様から喜びの声」
    • 「〇〇が治りました!」などの患者の体験談、感謝の言葉の引用
      →客観性に欠ける一方で大きな影響力を持つおそれがあります。

    (5)ビフォーアフターの写真

    治療の内容や効果について、患者に誤解をあたえるおそれがある治療前後の写真(いわゆるビフォーアフター写真)などは禁止されています。

    なぜなら、ビフォーアフター写真は、患者それぞれで治療の効果や結果が異なるにも関わらず、同じ効果や結果を得られるように思われてしまうことが多いからです。

    虚偽広告に関して説明したように、修正・加工していなくても、ビフォーアフター写真などはNGとなります。

    ただし、後述する限定解除の条件をすべて満たしたうえで、治療前後の写真とともに、通常必要とされる治療内容、費用、主なリスク、副作用などの詳細な説明を付けたときには例外的に広告可能となる場合があります。
      例:
    • 説明が不十分な術前術後の写真やイラスト

    (6)公序良俗に反する内容の広告

    わいせつや残虐な図画や映像、差別を助長する表現等を使用した広告など、公序良俗に反する内容の広告は禁止されています。

    (7)品位を損ねる内容の広告

    医療広告は、患者や地域住民等が広告内容を適切に理解し、どの治療を受けたいか選択することができるように、医療機関は、客観的で正確な情報を伝えるように努めなければなりません。医療機関や医療の内容について品位を損ねる、あるいは品位を損ねるおそれがある広告は禁止されています。
      例:
    • 「ただいまキャンペーンを実施中!」「期間限定で50%オフ」など費用を強調した広告
    • 「無料相談をされた方全員に〇〇をプレゼント」など提供される医療の内容とは直接関係のない事項による誘引
    • ふざけたもの、ドタバタ的な表現による広告

    (8)その他医療法以外の法律で禁止される内容の広告

    医療法以外の法律に抵触する広告を行わないことはもちろん、他の法令に関する広告ガイドラインも遵守しなければいけません。

    医療法以外の法律としては、以下の法律などがあります。
    • 医薬品医療機器等法
    • 健康増進法
    • 景表法
    • 不正競争防止法
    例えば、広告内に医薬品について書きたいのであれば、医療法だけでなく、医薬品医療機器等法が定めている広告のルールを守らなければいけません。名称・効能・効果などに関してOK・NGな表現・表示のルールが決まっています。

    このように、医療法では、基本的に広告することがNGとなっている「禁止されている広告」があるのです。では、どのような内容の広告であればOKなのでしょうか。次の項目では、「広告が可能な事項」について確認していきましょう。

    4 広告が可能な事項(広告可能事項)

    広告が可能な事項(広告可能事項)

    医療法では、広告が可能な事項が限定的に定められていて、この事項以外は、文書その他のいかなる方法によるかを問わず広告をしてはならないこととされています。

    つまり、原則として以下の項目以外のものは広告してはいけないことになっています。

    全部で14項目あります。順に見ていきましょう。

    (1)医師や歯科医師であること

    日本での医師や歯科医師の免許がないは、医師や歯科医師であることを広告できません。

    (2)診療科名

    診療科名は政令で定められた診療科名でなければいけません。

    具体的に使用可能な診療科名は「広告可能な診療科名の改正について」の別表をご覧ください。

    (3)病院の名称、電話番号、所在、管理者の氏名

    病院の名称については、正式な名称だけでなく、略称や英語でも問題ありません。また、ここでいう所在には、住所だけでなく、最寄り駅や駅からの道順、地図などもOKとなっています。

    (4)診療日、診療時間、予約による診療の実施の有無

    診療日については、逆にいつが休みなのか(休診日)を書くことも問題ないとされています。

    (5)指定病院であること

    「指定病院」とは、法令の規定に基づいて一定の医療を担うものとして指定を受けた病院等のことをいいます。指定を受けた旨や名称(略称)を示すことができます。

    たとえば、保険医療機関であることや労災保険指定病院であることなどを示すことが可能となります。

    (6)地域医療連携推進法人の参加病院等であること

    「地域医療連携推進法人」とは、地域において良質かつ適切な医療を効率的に提供するための方針を定め、医療連携推進業務を行う一般社団法人をいいます。参加する地域医療連携推進法人名や参加している旨について広告可能です。

    (7)施設、設備、従業者に関する事項

    具体的には、以下の事項について、広告が可能です。
    • 入院設備の有無
    • 病床の種別、病棟、診療科ごとの病床の数
    • 医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の従業者の人数や配置状況
    • その他の施設、設備、人員配置に関する事項

    (8)医療従事者に関する事項

    病院等において診療に従事する医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の氏名、年齢、性別、役職、略歴、資格名などについては広告可能です。

    具体的に、広告できる資格名については、「医療に関する広告が可能となった医師等の専門性に関する資格名等について」をご覧ください。

    (9)病院の運営に関する事項

    以下に例示する病院等の管理・運営に関する事項については、客観性・正確性を確保し得る事項であれば、広告可能です。
    • 休日、夜間における診療の実施
    • 診療録を電子化している旨
    • セカンドオピニオンの実施に関すること
    • 病院内に患者からの相談に適切に応じる体制を確保している旨
    • 病院内での症例検討会を開催している旨
    • 医療の安全を確保するための措置
    • 個人情報の適正な取扱いを確保するための措置
    • 平均待ち時間
    • 開設日、診療科別の診療開始日

    (10)紹介をすることができる他の病院に関する事項

    以下に挙げる事項などについては広告可能です。
    • 紹介可能な他の病院、診療所の名称
    • 紹介可能な保健医療サービス、福祉サービスを提供する者の名称
    • 共同利用をすることができる医療機器に関する事項
    • 紹介率又は逆紹介率

    (11)医療に関する情報の提供に関する事項

    診療に関する情報提供に関して、その内容、提供方法(ウェブサイトのアドレスやメールアドレス)、診療に関する記録の提供実績等については広告可能です。

    (12)提供される医療の内容に関する事項

    検査、手術、往診の実施など治療の方法に関する情報は、患者がどの治療を受けるのか選ぶ際に有益な情報となるため広告可能です。

    (13)医療の提供の結果に関する事項

    医療の提供の結果に関する事項については、患者がどの治療を受けるのか選ぶ際に有益な情報として、以下の情報のみ広告が可能となっています。
    • 手術の件数
    • 分娩の件数
    • 患者の平均的な入院日数
    • 在宅患者・外来患者・入院患者の数やその平均
    • 平均病床利用率
    • 療養費用の額の算定方法
    • 治療結果を分析していることやその結果の提供
    • セカンドオピニオンの実績
    • 患者満足度調査を実施していることやその調査結果

    (14)その他厚生労働大臣が定める事項

    具体的には以下の事項などが、広告可能なものとして定められています。
    • 健康保険病院、健康保険診療所、社会保険病院、社会保険診療所である旨
    • 法令の規定または国の定める事業を実施する病院等である旨(救急病院、休日夜間急患センターなど)
    • 健康診査の実施(半日人間ドック、乳幼児健診、胃がん検診など)
    • 保健指導又は健康相談の実施
    これらの限定された「広告可能とされている事項」については、より詳細に定められていますが、ここではその一部のみを紹介しました。実際に広告を作成する場合には、広告しようとする事項が広告可能事項に含まれているかどうかを慎重に判断する必要があります。

    5 広告可能事項の限定解除

    広告可能事項の限定解除

    (1)条件

    医療広告には、患者に正確な情報を提供し、その選択を支援するという役割があります。そのためには、患者が自ら求めて入手する情報については、適切な情報提供が円滑に行われなければいけません。

    以下の4つの条件のいずれも満たした場合に限り、広告可能事項以外のことを広告することができます。
    1. 医療に関して、患者が適切に選択するために有益な情報であって、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどの広告であること
    2. 患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先として電話番号やメールアドレスが明示されていること
    3. 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
    4. 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること
    ③と④については、自由診療を実施している医療機関が情報を提供する場合に限られます。

    「自由診療」とは、健康保険が適用されない診療のことをいいます。医療機関ごとに提供される診療の内容や費用が大きく異なることがあり、トラブル防止という観点で、広告可能事項の限定が解除されます。

    (2)注意点

    ①限定を解除できる主な対象は「ウェブサイト」

    患者が医療に関する情報を得たいと思うとき、まずインターネットで検索して調べるという人が多いですよね。

    医療法の改正により、それまでは広告規制の対象外だったウェブサイトが、他の広告媒体と同様に規制の対象となりました。しかし、この規制によって患者が求める詳細な診療内容などの情報にアクセスできないおそれが発生してしまいました。

    そのため、患者が自ら求めて入手する情報に限り、患者の適切な選択が妨げられるおそれが少ない場合は、幅広い事項の広告を認めることにしたのです。

    このような背景から設けられたのが「限定解除」です。そのため、ウェブサイト以外の媒体で行う広告については、原則として限定解除の対象外となります。

    例えば、患者の求めに応じて送付されるメルマガや紙のパンフレットなども、上記(1)の①の条件に該当する可能性があります。一方、インターネット上のバナー広告や、検索サイトの運営会社に対して費用を払って意図的に検索結果の上位に表示されるようにしたものは、この条件を満たさないため、限定解除の対象外となります。

    ②解除されるのは「広告可能事項の限定」

    上記(1)の①~④の条件すべてを満たすときに解除されるのは、あくまでも「広告可能事項」についての限定だけです。

    つまり、3で解説した虚偽広告や誇大広告などの「禁止されている広告」にあたるものは、限定解除の条件を満たしているかどうかに関わらず禁止されているということに注意が必要です。広告可能事項以外のことを記載するときも、禁止されている広告にあたらない表示でなければいけません。

    6 広告違反のペナルティ

    広告違反のペナルティ

    広告違反の疑いがあるときは、医療機関に対して、任意の調査や、報告命令、立入検査などが行われます。

    調査の結果、広告違反が発見されれば、まずは行政指導として広告の中止または広告の是正が求められます。行政指導に従わない場合や違反を繰り返す場合は、中止命令または是正命令が出されます。

    この命令に従わなかった場合には、最大6ヶ月の懲役または最大30万円の罰金が科せられる可能性があります。

    さらに悪質な場合には、医療機関の開設許可の取り消しの対象になる可能性もあります。

    また、中止命令や是正命令が出されたときは、原則として事例を公表することにより、患者や住民に対して注意喚起が行われます。

    なお、医療法が改正され、2018年6月からウェブサイトの記載に関する制約が増えました。そのため、それ以前には問題とされていなかった広告について行政指導を受ける可能性があります。もし行政指導があった場合は、速やかにその指導に従い、違反の是正に努めましょう。

    7 小括

    小括

    医療広告の内容や表現には厳しい規制があり、個人のブログやSNSもその対象になりえます。

    原則として、虚偽広告や誇大広告などのように、「禁止されている広告」にあたらなくても、限定された「広告可能事項」以外のことを医療広告に記載することはできません。例外として、一定の条件を満たすときのみ、この限定が解除されます。

    医療に関する広告を作成するときは、これらの規制についてよく理解したうえで、法令に違反しない広告にする必要があります。

    8 まとめ

    これまでの解説をまとめると、以下の通りです。
    • 医療に関する広告は、①誘因性、②特定性、のいずれも満たす場合には、医療法による広告規制の対象になる
    • 規制の対象となる者は、患者や一般人を含むすべての人、企業である
    • 規制の対象となる媒体は、すべての媒体である
    • 医療法では、①禁止されている広告、②広告可能とされている事項、③広告可能事項の限定解除、の3つが定められている
    • 原則として広告できるのは、「禁止されている広告」にあたらず、かつ、「広告可能とされている事項」のみである
    • 例外的に、限定解除の条件をすべて満たす場合のみ、「広告可能とされている事項」以外のことを広告することができる
    • 広告可能事項の限定を解除できるのは、ウェブサイトなどの患者が自ら求めて入手する情報に限られている
    AUTHOR
    勝部 泰之

    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。 一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1・清水研究室)。

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