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広告・景品規制

そのおまけは景表法違反かも?総付景品規制の4つのポイントを解説!

2017.11.222025.11.27
総付景品
この記事の目次

    はじめに

    通販サイトなどで、5000円以上買うともれなく次回使えるクーポン券をプレゼント!といったキャンペーンをよく見かけますよね。

    事業者側としては、販売促進の一環としてこういう景品(おまけ)のプレゼントキャンペーンをバンバンやりたいはずです。

    ただし、景品だからといって自由にばらまいてよいわけではなく、実は、景表法という法律で細かいルールが決められているため、むやみやたらにキャンペーンはできないのです。

    とくに、上の例のように、一定の条件をクリアした人にはもれなくプレゼントされる景品を「総付景品」といいますが、これについても景品の上限額などが細かく決められています。

    そのため、規制の内容をしっかりと理解していないと、知らないうちに景表法に違反してしまい、
    • 最大2年の懲役
    • 最大300万円の罰金
    のどちらかまたは両方を科される可能性があります。

    そこで今回は、販促のためにキャンペーンを行いたい事業者の方に向けて、景品規制の中でもとくに「総付景品」についての規制の内容やポイント、対処法などを詳しく解説していきます。

    この記事を書いた人

    勝部 泰之勝部 泰之弁護士
    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。
    一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科に在籍中。主な興味分野は経営学、高次元統計、自然言語処理、ゲーム理論、金融アルゴリズム、ブロックチェーン。
    研究リポジトリはこちら↗

    1 景表法とは

    景表法

    「景表法」とは、本体商品の「品質・価格力」ではなく、「広告表現のうまさ」や「おまけ」といった部分でお客を不当に釣ろうとするマーケティング手法を取り締まる法律です。

    「景表法」の内容として、
    • 豪華すぎるおまけの提供を過大景品として禁止する「景品規制」
    • 一般消費者をだますようなウソの広告や大げさな広告を禁止する「表示規制」
    の2つがあります。

    (表示規制全般について詳しく知りたい方は「盛りすぎ広告に注意!5分でわかる景表法に違反しないためのポイント」を、景品規制全般を知りたい方は、「景品(おまけ)にも法律の規制がある!?景表法4つのポイントを解説」ご覧ください。)

    ここで、「豪華なおまけをもらえるなら消費者は何も損しないのでは?なんで規制されるの?」と思う方もいるかもしれません。

    たしかに、本来の商品に比べて豪華なおまけがもらえたら、とてもお得な気分になりますよね。

    ただ、企業間で過剰な景品合戦がエスカレートしてしまうと、商品・サービスそのものでの競争に力を入れなくなり、「安くていい物を買いたい」という消費者にとってデメリットとなります。

    また、消費者が豪華すぎる景品に惑わされて質の良くないものや割高なものを買わされてしまうことも、同じく消費者にとってデメリットになります。

    このため、景表法では景品について一定のルールを定めることによって、一般消費者の利益を守っているのです。

    2 景品規制

    景品規制

    それでは、景品規制の具体的な内容についてみていきましょう。

    (1)景品とは

    私たちが普段イメージする景品は、「粗品」や「おまけ」、「賞品」などですが、景表法では「景品」について以下のようにキチンと定義を定めており、この条件をみたすものだけを「景品」として規制しています。
    1. お客を誘引するための手段として
    2. 商品・サービスの取引に付随して提供する
    3. 物品・金銭その他の経済上の利益
    4. これら3つにあてはまるもののうち、内閣総理大臣が指定するもの
    たいていの景品(おまけ)については、「①~③」の条件をみたすので、事業者として検討すべきは、「④内閣総理大臣が指定するもの」の部分です。

    (2)景品にあてはまらないもの

    上の①~③にあてはまる場合でも、「④内閣総理大臣が指定するもの」の要件を満たさない場合には、景品にはならず、景品にまつわる規制は受けません。この点に関してよく問題となるのが「値引き」です。
    消費者庁というお役所が出すルールによれば、提供するおまけやキャンペーンが「値引き」にあたる場合には、景品とは認められず(=④内閣総理大臣に指定されていないため)、景品規制の対象にはならないとされています(消費者庁「景品に関するガイドライン」参照)。

    その理由は、適正な値引きであればそれは商慣習として様々な場面で頻繁に行われていることであって、特に消費者に不利になるものでもないため、わざわざ規制する必要がないからです。

    例えば、値引きのイメージからは少し外れるかもしれませんが、キャッシュバックキャンペーンも原則「値引き」にあたり、その上限などに特に決まりはありません。

    (キャッシュバックキャンペーンについては4 具体例(1)で詳しく解説します。)

    値引き以外にも、次の場合には「景品」にあてはまらず、景表法の規制をうけません。
    • 取引の本来の内容をなすもの
    • 仕事の報酬としてもらえるもの
    • 同一商品の付加
    • 商品を組み合わせて販売することが商慣習になっているもの
    • 商品を組み合わせることにより独自の機能・効用を持つ商品
    いずれも、景品規制のルールでしばる必要性が低いからです。

    なお、景品規制について詳しく知りたい方は、「景品(おまけ)にも法律の規制がある!?景表法4つのポイントを解説」をご覧ください。

    3 総付景品規制

    総付景品

    景表法の規制対象となっているものの1つに、「総付景品」というものがあります。

    「総付景品」とは、ある商品を買ったりお店に来店するなどの、一定の条件をみたした人全員にもれなくプレゼントされる景品のことをいいます。

    「全員もれなく景品がもらえる」という特徴から、「ベタ付け景品」とも呼ばれています。

    具体的には、ヤマザキ春のパン祭り(パンについてくるシールを集めると必ずお皿がもらえるもの)や、携帯電話の新規加入で全員にアニメのグッズをプレゼントする場合などがあてはまります。

    また、近年話題になっている雑誌の豪華な付録も、この総付景品にあたります。

    「取引きに付随して全員がもれなくもらえる景品や受けられたりするサービス」でも、以下のようなものは総付景品にはあてはまらず、規制の対象とはなりません。

    これらは商慣習として認められているものなので、わざわざ規制の対象にする必要がないからです。
      • アフターサービスなどの、取引きに付随する一連のサービス
    例:来店者向けの駐車料金無料サービス
      • サンプル品
    例:ある化粧品を買うと全員が別の商品のサンプルをもらえる場合
      • 記念品
    例:開店や創業記念キャンペーンで来店者にもれなく記念品を配る場合

    そして、総付景品では、取引価額(=対象商品やサービスの購入・利用にかかる値段)によって景品の上限額が変わってきます。

    景表法総付景品

    上の図のように、取引価額が1000円未満なら景品自体の上限額は200円までとなり、1000円以上の場合には取引価額の20%までとなります。

    例えば、カラオケ店で500円のドリンクを注文したお客さんにノベルティとしてアニメの缶バッジを配りたいケースがあったとします。このケースでは、取引価額が「1000円未満」なので、景品の価格上限は、200円までなります。そのため、缶バッジを配布する場合には、その缶バッジの価格が200円を超えないように設計する必要があります。

    このように、総付け景品規制の上限を考えるあたっては、本体商品の「取引価額」がポイントとなります。

    ただ、この缶バッジのケースのように商品や販売方法が単純なケースでは、「取引価額の計算は、難しくありません。

    これに対して、複数の商品を買ったらおまけをプレゼントする場合や、商品の購入額に関係なくおまけをあげるような複雑なケースでは、、取引価額はいくらにすればいいのか迷ってしまう方も多いかと思います。

    そこで以下では、まず総付け景品規制のポイントとなる「取引価額」の一般的な計算方法を説明した上で、具体的なケースごとの計算方法を解説していきます。

    (1)「取引価額」の計算方法

    「取引価額」は、実際に売る対象商品やサービスの価格がいくらかで判断します。

    例えば、【例ー①】600円の雑誌に付録がついてくる場合には、取引価額は600円となります。

    また、【例ー②】500円の商品を3つ買うとおまけをプレゼント!という場合には、商品1つ分の値段ではなく、500円×3=1500円が取引価額になります。

    ただし、【例ー③】買った商品の金額に関係なく、何かしら買えば一律におまけがもらえるようなケースでは、原則、取引価額は100円として計算することになります。

    このとき、その店で取り扱う商品の最低額が100円以上であれば、その値段が取引価額となります。

    その店で取り扱う商品やサービスの中で一番安いものの値段が取引価額になるということですね。

    例えば、【例ー④】店にある商品のうち一番価格の安いものが2000円であれば、取引価額は2000円になります。

    次に、景品の「上限」について見ていきましょう。

    (2)取引価額に応じて景品の「上限」を計算する

    上の図でみたとおり、取引価額が1000円未満の場合は、景品の上限は200円となります。
    • 取引価額1000円未満→上限200円
    • 取引価額1000円以上→上限20%
    例えば、先ほど例に挙げた【例ー①】と【例ー③】はそれぞれ取引価額が600円と100円なので、景品の上限額は200円になりますね。

    他方で、取引価額が1000円以上の場合には、景品の上限額は取引価額の20%までとなります。

    先ほどの【例ー②】は取引価額が1500円なので、景品の上限額は1500円×0.2=300円までとなります。

    また、【例ー④】では取引価額が2000円なので、景品の上限額は2000円×0.2=400円までとなります。

    計算方法を含めた、総付け景品規制の実務上の問題点の詳細については、消費者庁の「景品規制のガイドライン」や「Q&Aサイト」をご覧ください。

    4 ペナルティ

    ペナルティ

    では、ここまで解説してきた総付け景品規制のルールに違反してしまった場合、どのようなペナルティがあるのでしょうか?

    景表法に違反したからといって場いきなり刑事罰を受けたりするわけではなく、以下のように、事業者には「言い訳の機会」が与えられ、それでもなお違法なことをしているとジャッジされた場合にはじめて、刑事罰などの重いペナルティを受ける仕組みになっています。

    まず、タレコミなどがあった企業をターゲットに、お役所の方が主体となって、タレコミのあった事業者への事情聴取を開始します。

    調査の結果、景表法違反の行為があると認められると、事業者にはまず言い訳のチャンス(=弁明の機会)が与えられます。

    ここで上手く言い訳ができずに景表法違反と認められてしまうと、「措置命令」が行われます。

    措置命令の内容としては、違反したことを一般消費者に知らせることや、再発防止策をすることなどがあります。

    他方で、言い訳に成功すれば、無罪放免でペナルティは課されません。

    そして、この措置命令に従わなかった場合には
    • 最大2年の懲役
    • 最大300万円の罰金
    のどちらかまたは両方が科せられる形となります。

    流れをまとめると以下の図のようになります。

    「景表法に違反した場合のペナルティ」

    加えて、措置命令の内容は消費者庁のサイトに企業名付きで公表されます。

    具体的な事実関係や違反行為の内容も掲載されてしまうため、それが世間に広まってしまえば企業にとっては信用を大きく落とすことにもなり、ダメージは大きなものとなります。

    このような事態を避けるため、景品の上限額などはあらかじめきちんと確認しておくことをおすすめします。

    5 総付け景品の具体例~キャンペーンごとの検討~

    総付景品

    それでは次に、普段私たちがよく目にするキャンペーンのうち、実務上の需要が高いケースを例に、それぞれについて総付景品規制を検討していきましょう。

    (1)キャッシュバックキャンペーン

      • 【事例】
     
      期間を限定して、商品10000円以上、商品・サービス買ってくれた人を対象に、もれなく2000円のキャッシュバックを行いたいと考えています。この場合、景品規制の対象となるのでしょうか?
    はじめに、携帯の各種キャリアとの契約時によくみる「キャッシュバックキャンペーン」について検討してみましょう。

    考え方としては、まずはキャッシュバックが景表法上の「景品」にあたるかを分析します。

    景品にあたるかの判断基準は、すでに説明したとおり以下の4つになります。
    1. 消費者を誘引するための手段
    2. 取引に付随して提供
    3. 経済上の利益
    4. 内閣総理大臣が指定するもの
    この要件に沿って順番にみていくと、キャッシュバックは、主に販売促進のために行われるものなので、①消費者を誘引するための手段であるといえます。

    また、利用者が商品を買ったときに一定の額のキャッシュバックが行われるので、②取引に付随して提供する、③経済上の利益ということができます。

    これだけ見ると、キャッシュバックは「景品」にあたるようにも思えますね。

    ただし、「景品」とは、①~③にあたるもののうち④内閣総理大臣が指定するものでなければなりません。

    これについては消費者庁の「指定についてのガイドライン」があるのですが、その中で、「正常な商慣習に照らして値引きと認められる」場合については、景品に含まれないと定められています。

    一般的に行われる適正な値引きであれば、消費者にとって不利になるものではないので、わざわざ規制の対象にはしないということです。

    そのため、キャッシュバックが「値引き」であるといえる場合は、規制の対象となりません。

    それでは次に、どのようなものが「値引き」にあたるのかを考えます。

    値引きには、事業者が販売・提供する商品やサービスの価値を下げる効果を持つものが広く含まれるとされていて、具体的には以下のようなものがあります。
      • これから支払う代金の減額をする場合
    例:3個以上購入した方は500円引き
      • すでに支払った代金の割戻しをする場合
    例:レシートの金額の5%を返金
      • 買った商品と同じ商品をもう一つあげる場合
    例:DVDを3枚買えばもう1枚プレゼント

    そうすると、キャッシュバックはすでに支払った代金の割戻しといえるので、「値引き」にあたり、規制の対象とはなりません。

    ただし、以下のような場合にはキャッシュバックでも「値引き」ではなく「景品」に当たり、景表法の適用があるので注意が必要です。
      1. 懸賞(くじや抽選)によりキャッシュバックを行う場合
    例:商品を購入した方の中から抽選で5000円キャッシュバック
      1. キャッシュバックした金銭の使い道を制限する場合
    例:キャッシュバック分は今回の旅行費用にしか使えません
      1. 同一の企画内で景品の提供を一緒に行う場合
    例:キャッシュバックか国内旅行のどちらかをお選びください

    1と3については、キャッシュバックされるかどうか確実ではないため、「値引き」として認めることはできません。

    2については、本来キャッシュバック分については自由に使えるというのが消費者の認識であるのに、使い道を限定している時点でもはやキャッシュバックとは呼べないため、「値引き」として認めることができません。

    ※値引きの詳細を知りたい方は、消費者庁の「値引きに関するガイドライン」もご参照ください。

    (2)「〇〇%割引券」発行キャンペーン

      • 【事例】
     
      ECサイトを通じて、10000円以上の買い物をしてくれた顧客に対し、店舗で使用できる「2000円割引券」または「20%割引券」のどちらかを提供しようと考えています。割引券については、総付景品規制が適用されないと聞いたことがあるのですが、今回提供する割引券についても同様と考えてよいでしょうか。
    まず初めに、割引券が「景品」にあたるかを考えます。
    1. 消費者を誘引するための手段として
    2. 事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する
    3. 物品・金銭その他の経済上の利益
    4. これら3つにあてはまるもののうち、内閣総理大臣が指定するもの
    割引券もキャッシュバックと同様に、販促のために行われ、利用者が商品を買ったときに提供されるものなので、①~③の要件にあてはまります。

    また、割引券は内閣総理大臣が指定するもののうち「金券」にあたるため、④の要件もみたします。

    そして、今回のケースでは、一定の金額の買い物をしてくれたお客さんに対してもれなく全員に割引券を提供するため、「総付景品」として規制の対象になると考えることができます。

    ただし、消費者庁の「景品に関するガイドライン」では、「自己の供給する商品または役務の取引きにおいて用いられる割引券その他割引を約する証票」については、たとえ「景品」に該当する場合であっても、総付景品規制が及ばないものとされています。

    要するに、お店で買い物をしたときになどに貰える「次回の買い物で使えます」といった割引券については、形式上は「景品」にあたるとしても、商慣習として一般的に認められているものであるため規制の対象とはしませんよ、ということです。

    この場合の割引券には、500円券とか1000円券などのように「〇〇円割引」という形で、金額が示してあり、購入金額にかかわらず表示された一定金額が割引かれるもので、金券と同じようにいろいろな商品を買うときに使えるものが含まれます。

    これを事例の割引券にあてはめてみると、「2000円割引券」は「割引を約する証票」にあたり、総付景品規制の対象外となります。

    一方、「20%割引券」のように「〇〇パーセント割引」(⇔「〇〇円割引」)という形の割引券、購入金額によって割引される値段が変わってしまうため、「割引を約する証票」にはあたらず、総付景品として規制をうけることになります。

    そのため、割引券の利用については、景品の上限額に従って割引金額に上限を設ける必要があります。

    今回のケースでは、10000円以上の買い物をしたお客さんに対して割引券を配っているので、「取引価額」は10000円となります。
      【総付け景品規制】
    • 取引価額1000円未満→上限200円
    • 取引価額1000円以上→上限20%
    そして、景品の上限は「取引価額の20%」までなので、10000円×0.2=2000円までとなります。

    景品の上限が2000円=割引できる額が2000円までということなので、20%割引券が利用できるのは、購入価格の20%が2000円にあたる場合となります。

    つまり、2000円÷0.2=10000円までの購入金額であれば割引券をそのまま利用することができます。

    購入金額が10000円を超える場合には、そのまま割引いてしまうと景品の上限を超えてしまい景表法違反となってしまうので、割引額の上限は2000円までと設定することになります。

    このように、同じ割引券でもどのように割引くかによって規制のありなしが変わってくるため注意が必要です。

    (3)再契約キャンペーン

      • 【事例】
     
      • 月額1000円の月額課金サービスをしていて、基本契約期間は6か月。
     
      契約を更新(6か月)してくれたお客様には、もれなくギフト券(5000円分)を配布したいと考えていますが、取引価額はどのように計算すればよいのでしょうか。
    今回もまず初めに、ギフト券が景品にあたるのかを考えましょう。
    1. 消費者を誘引するための手段
    2. 取引に付随して提供
    3. 経済上の利益
    4. 内閣総理大臣が指定するもの
    ギフト券は、契約の更新を促進するための手段として、利用者が再契約したときに提供される金券であるため、①~④の要件をすべてみたし、「景品」であるといえます。

    また、再契約したお客さん全員にもれなく配布することから、ギフト券は「総付景品」にあたります。

    つまり、ギフト券は「景品」として総付景品規制をうけることになります。

    次に、取引価額から景品の上限額を計算する必要がありますが、今回のようなケースでは「取引価額」をどのように判断すればいいのでしょうか?

    月額料金の1000円なのか、契約期間の総額6000円なのか、それともそれ以外の判断基準があるのか、迷うところですよね。

    これについては、実は具体的な判断基準が決められていません。

    ではどのように判断すればいいのかというと、「取引実績や、同業他社の取引実態なども考慮しつつ、契約した利用者の多くが継続する契約期間」をもとに取引価額を判断します。

    今回のケースのように契約期間に縛りがある場合、それ自体は継続期間を導き出すうえで重要な基準にはなりますが、途中で解約されてしまう可能性がある以上これだけが判断基準になるわけではありません。

    例えば、月額5000円で、この種の契約であれば通常2年間は契約を継続する、という取引実態があるケースでは、取引価額は5000円×2年間=12万円となります。

    提供できる景品の上限額は、取引価額の20%までとなりますので、12万円×0.2=24000円となります

    仮にサービスの通常継続期間を1年間だとして、今回のケースについても同じように考えてみると、取引価額は5000円×1年間=6万円となります。

    そして景品の上限額は、6万円×0.2=12000円となり、5000円分のギフト券であれば規制の範囲内におさまっていることになりますね。

    このように、月額料金で継続的なサービスを提供している場合には取引額の計算の仕方が少し変わってくるので、他社の取引実態もきちんと考慮したうえで適正な計算をする必要があります。

    (4)お友達紹介キャンペーン

      • 【事例】
     
      既存会員のお客様が、契約期間中に「お友達」を紹介して弊社サービス(月額利用料1000円、基本契約期間1年)に加入させた場合には、①紹介者と②そのお友達の二人に500円相当のギフト券を配布したいと考えていますが、取引価額の計算はどのようにすればよいのでしょうか。
    今回のケースでは、①紹介者と②お友達に分けて考えていきましょう。

    ①紹介者

    今回もまずは配布されるギフト券が景品にあたるのかを考えます。
    1. 消費者を誘引するための手段
    2. 取引に付随して提供
    3. 経済上の利益
    4. 内閣総理大臣が指定するもの
    ギフト券は、新規契約の促進のために配布される金券なので、①・③・④の要件をみたします。

    ただし、お友達紹介キャンペーンの場合、単なる紹介のみであれば、紹介されたお友達が実際に取引をするかはまた別の話なので、原則として「取引きに付随」しているとは考えられず②の要件をみたしません。

    つまり、ギフト券は「景品」にあたらず景表法の規制をうけないということですね。

    ただし、今回のケースのように、お友達のサービス加入を条件にギフト券を提供するような場合には「取引きに付随」しているといえ、②の要件もみたすことになります。

    そして、ギフト券はお友達を加入させた紹介者にもれなく配布されるため、「総付景品」として規制をうけることになります。

    次に、「取引価額」の計算をします。
      【総付け景品規制】
    • 取引価額1000円未満→上限200円
    • 取引価額1000円以上→上限20%
    取引期間の途中で景品の提供をする場合には、契約開始からその時点までの利用料の総額ではなく、残りの契約期間の利用額に応じて取引価額を計算します。

    今回のケースで仮に紹介者の契約期間が残り2か月だとすると、取引価額は1000円×2か月=2000円となります。

    景品の上限額は、その20%までなので、2000円×0.2=400円となりますね。

    ですので、事例のように500円のギフト券を配布してしまうと景表法に違反してしまうことになります。

    ②お友達

    次に、お友達について考えていきます。

    「①紹介者」のケースでみたように、ギフト券は「景品」にあたります。

    「取引価額」の判断については、(3)の再契約キャンペーンと同じように、通常であればどのくらいの期間契約を継続するのかを基準に判断します。

    今回のケースで仮にサービスの通常継続期間が6か月だとすると、取引価額は、1000円×6か月=6000円となります。

    そして、景品の上限額は6000円×0.2=1200円までとなりますので、500円分のギフト券は規制の範囲内になりますね。

    このように、お友達紹介キャンペーンの場合には①景品の提供が、紹介されたお友達の商品購入やサービス利用が条件となっているか、②景品の上限額を計算するときには紹介者とお友達を分けて検討すること、の2点に注意しましょう。

    6 小括

    まとめ

    このように、消費者にとってはうれしい景品(おまけ)でも、好き勝手にキャンペーンでばらまくことはできないのです。

    利用者にもれなく配布する「総付景品」については、取引の価額に応じて、プレゼントできる景品の額に上限があります。

    販促活動としてキャンペーンをしようと考えている企業は、こういった総付け景品の限界を理解した上で、キャンペーンの設計をしましょう。

    7 まとめ

    これまでの説明をまめると、以下のとおりです。
    • 「景表法」とは、一言でいうと不当な顧客誘引を禁止する法律
    • 「景品」とは、 ①消費者を誘引するための手段として、②事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する、③物品・金銭その他の経済上の利益で、④これら3つにあてはまるもののうち内閣総理大臣が指定するもの、をいう
    • 「総付景品」とは、ある商品を買ったりお店に来店するなどの、一定の条件をみたした人全員にもれなくプレゼントされる景品のこと
    • キャンペーンの態様ごとに取引価額の計算の仕方などが変わってくるため注意
    AUTHOR
    勝部 泰之

    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。 一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1・清水研究室)。

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