秘密保持契約書を従業員と交わす理由は?2つの理由と締結時期を解説
2022.08.21

この記事の目次
はじめに
ニュースなどでよく目にする「情報漏えい問題」ですが、事業者にとっては、その後の事業活動に大きく影響を与える不祥事です。 事業者は、社会的信用性を低下させるだけでなく、多額の損害賠償責任を負う可能性すらあります。 いったん情報が外部に漏れてしまうと、元の状態に戻すことはほぼ不可能だといっていいでしょう。事業者は、このような事態を招かないように、十分な予防策を講じておくことが必要になります。 その予防策の一環として、多くの事業者は従業員との間で「秘密保持契約書」を締結します。 今回は、従業員と締結する秘密保持契約書について、その必要性や締結の時期をわかりやすく解説します。 経産省の最新指針についての情報は「【令和7年版】営業秘密を“守れる会社”へ:経産省「営業秘密管理指針」に基づく実務ガイドの全体像」もご覧ください。1 秘密保持契約書とは
「秘密保持契約書」とは、業務上の情報について、持ち出しや不正利用を防ぐために、従業員との間で締結する契約書です。
秘密保持契約書を締結することにより、顧客情報を持ち出した従業員や退職時に営業秘密を持ち出した従業員に対して、法的手段を講じることが可能になります。
また、顧客情報が漏えいしたり、不正利用されたりした場合には、顧客から損害賠償を請求される可能性がありますが、秘密保持契約書を締結していないと、情報の管理方法に問題があったと判断される可能性が高いです。
このように、秘密保持契約書は、顧客から預かっている情報や事業に関する情報などを守るために、従業員との間で締結すべき契約書なのです。
2 秘密保持契約書を従業員と締結する2つの理由
従業員と秘密保持契約書を締結する理由は、主に以下の2点にあります。
(1)情報漏えいの予防策
従業員との間で秘密保持契約を締結する主な目的は、事業者が保有する重要情報の漏えいを予防することにあります。 この点、従業員は日々の業務において、事業者が独自に開発した技術やノウハウなどの情報、取引先などの顧客情報に接する機会が多いといえます。 仮に、従業員が自己の利益を図るために、業務上知り得た情報を不正に利用したり、顧客情報を競合他社に譲渡したりすると、事業者にとっては、多大な損失となります。 このような事態を招かないためには、あらかじめ、従業員との間で秘密保持契約を締結し、事業者が保有する情報等を不正に利用しないことや、外部に情報を持ち出さないことについて誓約させておくことが必要になります。(2)退職時の競業避止
「競業避止(きょうぎょうひし)」とは、競合する企業への転職や競合する企業の設立などを禁止することをいいます。 従業員が在籍している間は、労働契約等において競業避止義務を負わせることができます。 ですが、退職後は、自由に転職できることが原則です。 退職した従業員が、それまでのキャリアを活かして、競合する他社に転職することは十分にありえることです。 そこで注意しなければならないのが、事業者が保有する情報を転職先で漏えいされたり利用されたりしてしまう可能性があるということです。 このようなことが起きないように、従業員が退職する際に、秘密保持契約を締結しておくことも大切なのです。 退職者による情報漏えいを完全に防ぐことは難しいですが、一定程度の抑止効果を期待することができます。 また、秘密保持契約を締結しているにもかかわらず、退職した従業員が情報を漏えい・不正利用し、その結果、事業者に損害を与えた場合には、退職した従業員に対し秘密保持契約違反を理由として損害賠償を請求することも可能になります。3 秘密保持契約書を交わす時期
従業員と秘密保持契約書を交わす時期は、以下の3回に分けることができます。











