古物営業法とは?古物取引で知っておくべき9つのルールについて解説
2020.05.18

この記事の目次
はじめに
古物商やリサイクルショップを行う際に守らなければいけないのが「古物営業法」という法律です。 もっとも、いくら古物営業法に守らなければいけないルールが書かれているといっても、何やら小難しい言葉で書かれており、読む気がおきないですよね。 また、流行りのフリマアプリやインターネットオークションなど、直接「中古品」を扱わないサービスを提供する場合にも、古物営業法のルールは守らなくちゃいけないのか?など、気になっている方もいらっしゃることでしょう。 そこで今回は、古物営業法とは何か、何を守らなければいけないのかを弁護士がわかりやすく解説していきます。1 古物営業法とは
「古物営業法」とは、中古品、リサイクル品などの古物を取引(古物営業)するときのルールなどを定めた法律です。
具体的には、
- 古物の取引(古物営業)とは何か
- 古物の取引を行う際に守らなけばいけないルール
- 古物の取引を行うための手続き
2 古物営業とは
ここでいう「古物」とは何か、古物をどのように取引することが「古物営業」になるのかを確認していきましょう。
(1)古物とは
「中古品」、「リサイクル品」など、さまざまな呼び方がありますが、古物営業法でいう「古物」とは、次の3つのいずれかにあたるものをいいます。- 一度使用された物品
- 使用していない物品で、使用のために取引されたもの
- 上記①②を補修・修理をしたもの
- 美術品
- 衣類
- 時計・宝飾品
- 自動車(タイヤやカーナビなどの部品を含む。)
- 自動二輪車及び原動機付自転車(部品を含む。)
- 自転車類(部品やパーツを含む。)
- カメラなどの写真機
- レジやパソコンなどの事務機器
- スマホや医療機器などの機械工具
- 家具、CD、ゲーム、トレーディングカードなどの道具
- かばんや靴などの皮革・ゴム製品
- 書籍
- 金券
- 食品や化粧品など、消費してなくってしまうもの
- 電子チケットなど、形がないもの
- 古着を財布にしたものなど、本来の使用用途から性質が変化したもの
(2)古物営業とは
では、古物をどのように取引することが古物営業法でいう「古物営業」にあたるのでしょうか。「古物営業」には、次の3つの種類があります。- 古物商
- 古物市場主
- 古物競りあっせん業
①古物商
「古物商」とは、古物を売買・交換することをいいます。古物商は、安く仕入れて、高く売ることで利益を得ます。②古物市場主
「古物市場主」とは、古物商同士が取引できる場(古物市場)を運営することをいいますあくまでも取引できる場を提供するだけであり、「古物市場主」自身は、古物の取引を行いません。そのため、古物市場に参加している古物商から参加料をとったり、取引成立に対する手数料をとったりすることで利益を得ます。 この古物市場は、主にリサイクルショップの仕入れに利用されています。③古物競りあっせん業
「古物競りあっせん業」とは、古物を売りたい人、買いたい人のあっせんを「競り」によって行うことをいいます。 たとえば、ヤフオクなどのインターネットオークションの運営者がこれにあたります。 古物の取引を行わず、場を提供するだけという点で古物市場主と同じですが、古物商だけでなく、一般人も利用できるという点が異なります。 「古物競りあっせん業」も、サービス利用者から利用料をとったり、取引成立に対する手数料をとったりすることで利益を得ます。④許可と届け出
①古物商や②古物市場主をする場合には、公安委員会から許可を受ける必要があります。他方、③古物競りあっせん業をする場合は、公安委員会に届出が必要になります。 届出は、必要書類さえ整っていれば、審査を通過できます。そのため、公安委員会がOKを出さない限り審査を通過できない許可に比べて、審査のハードルは低いといえます。手続きのやり方については、後ほど説明します。(3)転売ヤーは古物商?
なお、古物営業の「営業」とは- 利益をだすことを目的として(営利目的)
- 取引を繰り返すこと(反復継続)
3 古物営業を行う際のルール
古物の取引に関してルールがあるのは、盗品などの換金をしにくくするためでしたね。
このような防犯目的のために、古物営業には様々なルールが設けられているわけですが、そのルールは、古物営業の種類によって異なります。
ルールについて、
- 古物商の防犯3大義務
- 古物商と古物市場主の共通ルール
- 古物競りあっせん業のルール
(1)古物商の防犯3大義務
古物商は、防犯のために「3大義務」と呼ばれるルールを守る必要があります。 この「3大義務」とは、次の3つです。- 取引相手の確認義務(古物営業法第15条第1項)
- 不正品の申告義務(古物営業法第15条第3項)
- 帳簿の記録義務(古物営業法第16条)
①取引相手の確認義務
古物商は、次の場合には、取引の相手方の身元などを確認しなければなりません。- 古物を買い受ける場合
- 古物を交換する場合
- 古物の売却・交換の委託を受ける場合
- 住所
- 氏名
- 職業
- 年齢
- 確認事項について自筆で書いてもらった書面を提出してもらう方法
- 身分証明書、運転免許証、国民健康保険被保険者証などの提示を受ける方法
- 家族などに問い合わせて確認する方法
- 相手が電子署名したメールの送信を受ける方法
- 印鑑登録証明書と登録した印鑑を押印した書面の送付を受ける方法
- 相手に本人限定郵便などを送付して、その到達を確認する方法
- 自分が売却した物を買い戻す場合
- 取引価格の総額が1万円未満の場合
②不正品の申告義務
古物商は、古物の取引をする際に、不正品(盗品や偽造品など)の疑いがあるときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければなりません。 申告をすることで犯罪が発覚することもあります。 たとえば、不正品の疑いがある取引として以下の事例が挙げられます。怪しいと思った場合には、警察官に申告するようにしましょう。- 同一人物が、短期間のうちに多数の物品の売却を繰り返す場合
- 顧客の収入・資産・取引を行う目的・職業などに見合わない高額の物品の売却を行う場合
- 売却することを急ぎ、市場価格を大きく下回る価格での売却でもいとわない場合
③帳簿の記録義務
古物商は、古物を受け取ったとき、引き渡したときに、帳簿などに次の事項を記録しなければいけません。- 取引の日付
- 古物の品目・数量
- 古物の特徴
- 相手方の住所・氏名・職業・年齢
- 相手方の身元確認を行った方法
この表にのっていない取引は、帳簿などへの記載が免除されています。
そのため、たとえば、取引価格の総額が1万円未満で古物を受け取った場合は、帳簿への記載は不要となります。
なお、「帳簿など」と説明しているとおり、この記録は、エクセルなどコンピュータで管理することも可能です。
また、この記録は、記録した日から3年間保存しておかなければなりません。
保管していた帳簿を紛失したり、コンピュータ上のデータを削除してしまった場合は、警察に届出が必要になるためご注意ください。
(2)古物商と古物市場主の共通ルール
三大義務の他にも、古物商と古物市場主に共通して課せられているルールがあります。主なルールは次のとおりです。- 標識の掲示・許可証の携帯義務
- 管理者の選任義務
- 取引場所の制限
- 品触れの保存・届出義務
- 保管命令・立入検査に応じる義務
- 名義貸しの禁止
①標識の掲示・許可証の携帯義務
古物商は営業所や仮設店舗ごとに、古物市場主は古物市場ごとに、古物商許可の標識を見やすい場所に掲示しなければなりません。これは、これから取引をしようとする相手方に対して古物商許可を受けていることをわかるようにするためのものです。 そのため、古物商であれば、顧客が見やすい場所に、古物市場主であれば古物市場を利用する古物商が見やすい場所に掲示する必要があります。 また、古物商がWebサイトで古物の取引を行うときには、次の事項をWebサイトの定められた場所に表示しなければいけません。- 古物商の名称
- 許可した公安委員会の名称
- 許可証番号
②管理者の選任義務
古物商・古物市場主は、営業所(または古物市場)ごとに、業務を適正に実施するための責任者として管理者を1人選任しなければいけません。 また、古物商・古物市場主は、管理者に、古物が不正品であるかどうかを判断するための知識・技術・経験などを得させるよう努めなければなりません。③取引場所の制限
古物商は、古物商以外の一般人と取引できる場所は、次の3つに限られています。- 営業所
- 取引の相手方の住所
- あらかじめ公安委員会に届け出た仮設店舗
④品触れの保存・届出義務
「品触れ」とは、所轄の警察署から送られてくる手配書のことで、「品触書」ともいいます。これは、盗品等の発見のために必要があるときに送付され、被害品の品目や特徴などが記載されています。この品触れについては、以下のルールがあります。- 品触れに受け取った日付を記載して、その日から6ヶ月間保存すること
- 品触れを受けた日に該当する古物を所持していたときは、直ちに届け出ること
- 品触れの保存期間内に該当する古物を受け取ったときは、直ちに届け出ること
⑤保管命令・立入検査に応じる義務
古物商が所持する古物について、盗品などの疑いがあるときには、警察本部長等は、古物商に対して最大30日間その古物の保管を命じることができます。保管を命じられた期間は、古物商はその古物を売却することはできません。また、売買や交換の委託を受けて預かっている場合には、委託者に返すこともできないため、注意が必要です。 また、警察職員は、必要があるときには古物商の営業所、仮設店舗、古物の保管場所、古物市場などに立入り、検査し、関係者に質問することができます。 古物商・古物市場主は、この命令・検査等に応じる義務があります。⑥名義貸しの禁止
古物商・古物市場主は、自己の名義で他人にその古物営業をさせてはなりません。古物商・古物市場主はルールを守って適切に古物営業をできると公安委員会が認めた場合に許可を受けることができます。この許可を受けていない者が名義を借りて許可を受けているように装って営業されてしまっては、許可制度を設けた意味がなくなり、犯罪の抜け道になるおそれがあります。 そのため、名義貸しに対しては、無許可営業の場合や、不当に許可を得た場合と並んで最も重いペナルティを科される可能性があり、さらにその後5年間は古物商許可を受けられなくなります。(3)古物競りあっせん業のルール
古物競りあっせん業者の守るべきルールには次の3つがあります。①相手方の確認
古物の売却をしようとする者からあっせんの申込みを受けようとするときは、その申込者を確認するよう努めなければなりません。「努めなければ」いけないと説明しているとおり、これは努力義務と呼ばれるもので、必ずしなければいけないものではありません。もっとも、努力義務でしかないなら、守らなくていいやという意識でいるのではなく、社会的信用を獲得、あるいは失わないよう、コンプライアンス遵守の精神のもと、可能な限り守るべきでしょう。②申告義務
あっせんの相手方が売却しようとする古物について、盗品などの疑いがあるときは、直ちに警察官にその旨を申告しなければなりません。③記録
古物の売買をしようとする者のあっせんを行ったときは、記録の作成・保存に努めなければなりません。記録すべき項目は以下のとおりです。- 出品日
- 出品情報
- 出品者・落札者のユーザーIDなど
- 出品者・落札者を特定する事項(氏名、住所、年齢など)
4 古物営業を行うための手続き
繰り返しとなりますが、古物商・古物市場主をするには許可が、古物競りあっせん業を行うには届出が必要です。
(1)古物商・古物市場主の許可
古物商または古物市場主として古物営業を始めるには、あらかじめ許可を受ける必要があります。営業所の所在地を管轄する公安委員会に、所定の申請書(「古物商・古物市場主許可申請書」)と必要書類を提出して申請します。 申請に必要な書類は、以下のとおりです。-
- 住民票のコピー(※)
- 身分証明書(※)
- 登記されていないことの証明書(※)
- 定款のコピー(法人のみ)
- 登記事項証明書(法人のみ)
- 最近5年間の略歴書(※)
- 許可を受けられない条件に該当しない旨の誓約書(※)
- 営業場所の賃貸契約書の写し(賃貸の場合のみ)
- URLの使用権限疎明資料(Webサイトを利用して取引する場合のみ、プロバイダ等からの通知書のコピーなど)
- 成年被後見人・被保佐人・破産者で復権を得ない者
- 所定の刑罰を受けて5年を経過していない者
- 暴力団員関係者など
- 住居が定まらない者
- 古物営業の許可を取り消されてから5年を経過していない者
- 未成年者(所定の場合を除く)
- 法人で、①~⑤に該当する役員がいるもの
(2)古物競りあっせん業の届出
古物競りあっせん業者は、その営業を始めた日から2週間以内に届出をする必要があります。届出先は、営業の本拠地となる事務所の所在地を管轄する公安委員会になります。 届出には、所定の様式(「古物競りあっせん業者開始届出」(記載例))を使います。 個人の場合には、住民票の写しが、法人の場合には、定款のコピーと登記事項証明書が必要です。 これらの手続きについては、めんどくさく丸投げしたい場合、費用はかかりますが、専門家に依頼することして手続することもできます。5 古物営業法違反のペナルティ
ここまで解説したように、古物営業には、許可または届出が必要です。また、他にも多くのルールが定められていましたね。
これらのルールに違反したときには重いペナルティがあります。
たとえば、無許可営業や、嘘をついて許可を受けたとき、名義貸しをしたときは、以下のいずれかのペナルティが科せられる可能性があります。
- 最大3年の懲役
- 最大100万円の罰金
6 ビジネスモデルごとの許可・届出の必要性
ここでは、
- 店舗のあるリサイクルショップ
- フリマアプリ
- オークション
(1)リサイクルショップ
利用者から不要品を買い取って店舗で販売するリサイクルショップの場合は、古物商に該当するので、許可が必要になります。 もっとも、古物営業法は、古物の売却のみを行うことを古物の取引(古物営業)ではないとしています。たとえば、次のもののみを売却するリサイクルショップであれば、「買取」をしていないため、古物商の許可の取得は不要です。- 無償で取得した古物
- 引き取りのための手数料などを得て取得した不要品など
(2)フリマアプリの運営
「メルカリ」などの、いわゆるフリマアプリを提供する事業者は、ユーザー同士がそれぞれに古物を売買するための「場」を提供しています。この場合、フリマアプリの運営者は直接古物を売買・交換したり、委託を受けて売買・交換したりしないため、古物商には該当せず、古物商許可は必要ありません。 また、ユーザーが「営業として」古物を売買しているのでなければ、ユーザーも古物商許可は必要ありません。もっとも、古物の売買を「営業として」行っているかどうかの判断は難しく、個別のケースごとに判断されます。(3)インターネットオークションの運営
「ヤフオク」などのインターネットオークションと、上記のフリマアプリとの違いは、販売価格の決め方です。フリマアプリの場合は、基本的に価格が固定されて販売されます。一方、オークションは「競り」の方法で、価格が上がっていき、最も高い価格で入札した人が落札者となります。インターネットオークションのサイトを運営するということは、競りをあっせんすることになるので、「古物競りあっせん業」に該当し、届出が必要になります。 この場合、ユーザー(出品者、入札者)については、フリマアプリのユーザーと同様に、営業として古物を取引していなければ古物商の許可は必要ありません。 ここでは一般的な事例を3つ取り上げましたが、個別のサービスについては、その内容によって許可や届出が必要かどうかの判断が難しい場合もあります。自身のビジネスが古物営業法との関係で問題ないか確認したい場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。7 小括
古物営業法とは、古物営業の許可・届出の手続きや、取引のときに守るべきルールなどを定めた法律であり、窃盗などの犯罪を防ぐことなどを目的として定められた法律です。
古物営業には、古物商、古物市場主、古物競りあっせん業の3つの種類があり、それぞれ異なるルールを守る必要があります。
8 まとめ
これまでの解説をまとめると、以下の通りです。- 古物営業法とは、古物の取引をするときのルールを定めた法律である
- 古物とは、使用・未使用を問わず、いったん使用のために取引されたものをいう
- 古物営業には、①古物商、②古物市場主、③古物競りあっせん業、の3種類がある
- 古物商の防犯三大義務とは、①取引相手の確認義務、②不正品の申告義務、③帳簿の記録義務、である
- 三大義務の他に、古物商と古物市場主の共通ルールとして、①標識の掲示・許可証の携帯義務、②管理者の選任義務、③取引場所の制限、④品触の保存・届出義務、⑤保管命令立入り調査に応じる義務、⑥名義貸しの禁止、の6つがある
- 古物商または古物市場主として古物営業を始めるには許可を受ける必要がある
- 古物競りあっせん業は、営業開始日から2週間以内に届出をする必要がある











