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企業法務

顧問弁護士とは?企業が契約するメリット、費用相場、探し方等を解説

2018.10.292018.10.29
この記事の目次
    はじめに 最近は「弁護士」を題材にしたドラマが数多く放映されているため、「顧問弁護士」という言葉も一般的になってきています。「うちも顧問弁護士を雇おうかな・・・」と考えている事業者の方もいるでしょう。 では、顧問弁護士は具体的にどのようなことをしてくれるのでしょうか。 また、その前提として、顧問弁護士を探す場合にはどのようなところにポイントを置いて探したらいいのでしょうか。費用(顧問料)はいくらかかるのでしょうか?普段弁護士と関わりのない方はよくわからないかと思います。 そこで今回は、顧問弁護士を探す際の大事なポイントを中心に、弁護士が詳しく解説します。

    1 顧問弁護士の意味

    顧問弁護士の役割 「顧問弁護士」とは、会社が直面するさまざまな法律問題について、相談を受け解決に向けたアドバイスなどをしてくれる弁護士のことをいいます。スポット(その時だけの単発の契約)で依頼する弁護士とは違い、顧問弁護士からは継続的にアドバイスやサポートを受けることができます。 会社などを経営していると、取引先や顧客などといった利害関係者が増えていきます。そのため、大小を問わず新しい問題が次々に発生します。 このような場合に、いつでも気軽に相談できる弁護士が身近にいると非常に心強いものです。 それでは、具体的に顧問弁護士はどのようなことについて対応してくれるのでしょうか。次の項目で順番に見ていきましょう。

    この記事を書いた人

    勝部 泰之勝部 泰之弁護士
    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。
    一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科に在籍中。主な興味分野は経営学、高次元統計、自然言語処理、ゲーム理論、金融アルゴリズム、ブロックチェーン。
    研究リポジトリはこちら↗

    2 顧問弁護士の役割(仕事)

    顧問弁護士の仕事 顧問弁護士が企業のためにどのようなことを対応してくれるのか、という点は、どの企業においても気になるところです。顧問弁護士が企業のために行う業務として挙げられるのは、主に以下の3つです。
    1. 契約書の作成、リーガルチェック
    2. 法的アドバイス
    3. 優先対応
    以下で詳しく見ていきましょう。

    (1)契約書の作成、リーガルチェック

    企業において、他社(取引先など)や顧客との契約は日常的に行われます。契約をする際に交わす「契約書」は、契約があったこと自体を示すものであることはもちろんのこと、契約後に生じた紛争を解決するための指針ともなる極めて大事な書面です。口約束による契約だと、紛争が起きた際にその紛争を解決するための指針がなくなり、責任のなすりつけ合いになる可能性が高くなります。 それでは、弁護士が契約書をチェックすることにどういった意味があるのでしょうか。 そもそも契約書にどういった内容を盛り込む必要があるのか、という問題は簡単な問題ではありません。特に大事なのは、契約関係から想定される「リスク」をきちんと契約書に反映できているかということです。「リスク」が契約に盛り込まれていないと、後にそのリスクが顕在化した場合に責任のなすりつけ合いになるなど色々と厄介です。 このように、紛争予防・紛争解決の観点から、「契約書の作成・リーガルチェック」は極めて重要なのです。

    (2)法的アドバイス

    企業は日常的な業務において、法的判断に自信が持てない、契約書にある文言解釈がよくわからない、などといった事態に直面する時があります。このような場合に顧問弁護士がいなければ、まずは弁護士を探すところから始めなければなりません。その点、顧問弁護士がついていれば、すぐに相談することができ、電話やメールなどで的確なアドバイスを受けることができます。 また、顧問弁護士であれば企業の内情をある程度把握しているため、スムーズに解決策を立てることができます。 このように、顧問弁護士はすぐに法的アドバイスなどをしてくれるため、企業にとっては大変ありがたい存在であるということがいえます。

    (3)優先対応

    顧問弁護士は、顧問先の企業から定期的に決まった顧問料を支払ってもらいます。そのため、顧問弁護士にとって顧問先は大切な顧客です。弁護士は、日々多忙なスケジュールをこなしているため、相談予約を取ろうとしても断られることが少なくありません。ですが、顧問先からの急な相談や依頼に対しては、多くの場合優先的に対応してくれます。 相談したいときに相談ができなければ、顧問契約を結んでいる意味がなくなってしまいます。   以上のように、顧問弁護士は紛争予防・紛争解決といった観点から、法的なアドバイスを始めとした業務を顧問先の利益のために行います。 このように見てくると、顧問弁護士は企業にとって必要不可欠のようにも思えます。ですが、ここで気がかりなのが顧問弁護士に対する費用(顧問料)の点だと思います。次の項目で顧問弁護士の費用(顧問料)の相場について見ていきたいと思います。

    3 顧問弁護士の費用(顧問料)の相場とは?

    顧問弁護士の費用 企業が弁護士と顧問契約を結ぶ場合、その契約に基づき顧問料を定期的に支払う必要があります。以前は、「弁護士報酬基準」というルールがあったため、そのルールに則った顧問料額が設定されていました。ですが、平成16年にこのルールは廃止されたため、現在は弁護士が自由に顧問料額を決めることができるようになっています。 では、顧問料の相場はどのくらいなのでしょうか。

    (1)前提

    日本に点在する多くの法律事務所は、大きく分けて以下の2つに整理することができます。
    1. 一般民事・家事を中心に扱っている事務所
    2. 企業法務に特化している事務所
    1における顧問料は②に比べると低額であるのが通常です。なぜなら、1で取り扱う事案は個人を相手にすることが多いのに対し、2で取り扱う事案は企業を相手にすることが大半であるため、動くお金の大きさに違いがあるからです。 また、大きなお金が動く以上それに伴って責任も大きくなりますので、それに見合った時間・労力が必要になります。そういった経験を積んできている弁護士であるからこそ、顧問料もそれなりに高くなるのです。 以上のことを前提として、顧問料の相場について見てみましょう。

    (2)顧問料の相場

    日本弁護士連合会が弁護士を対象に行った顧問料に関するアンケート調査によれば、顧問料の平均相場は4万2636円(月額)という結果でした。 内訳を見てみると、弁護士の41.7%が「5万円(月額)」と回答し、36.5%が「3万円(月額)」と回答しています。 以上からすると、顧問料の相場は「3万円~5万円(月額)」であるといえます。 とはいえ、これはあくまで相場に過ぎないため、この範囲を超えた顧問料が直ちに「高い」ということにはなりません。 では、顧問料額の安い・高いの基準はどこにあるのでしょうか。

    (3)顧問料額の基準

    顧問料額は主に「企業から求められている仕事量とその内容」によって決まります。言い換えると、顧問料額は「企業側のニーズ」と「弁護士のパフォーマンス」によって変動します。そのため、一概に「〇〇万円が妥当」というようなことは言えません。 たとえば、企業側のニーズによって、以下のように顧問料が変わってきます。
    • 現状維持→3万円~5万円程度
    • 付加価値・サービス提供を期待→5万円を超えるのは当然
      このように、プロに依頼する以上、弁護士と顧問契約をする際にはどうしても費用(顧問料)がかかります。 その反面、企業は費用に見合うだけの以下のようなメリットを受けることができます。 次の項目で詳しくみていきましょう。

    4 顧問弁護士のメリット

    弁護士のメリット 弁護士と顧問契約を結ぶことにどのようなメリットがあるのでしょうか。考えられるメリットは以下の6点です。
    1. 会社の業務内容に理解のある弁護士に相談できる
    2. 経営上のコンサルタントが受けられる
    3. 会社の信頼性が上がる
    4. 法務部を設置するよりコストを抑えられる
    5. すみやかに対応できる
    6. 経営に専念できる
    以下で具体的に見ていきましょう。

    (1)会社の業務内容に理解のある弁護士に相談できる

    顧問弁護士をつけていると、企業は自社が直面した問題などについてすぐに相談することができます。通常であれば、問題が発生する都度に、弁護士を探すところから始めなければならないうえ、その都度法律相談料が必要になります。ですが、顧問契約を結んでいれば弁護士を探す手間を省くことができ、すぐに相談できます。また、法律相談料についてもすべて顧問料の中に含まれているため(もっとも、顧問契約の内容によっては扱いが異なる場合があります)、その都度支払う必要はありません。 さらに、顧問弁護士は企業の業務内容などの内情についてある程度理解していますので、企業の実態に見合った解決が期待できます。

    (2)経営上のコンサルタントが受けられる

    法的な問題は、その問題が発生する前に予防線を張っておくことも非常に重要です。顧問弁護士は、企業の日頃の業務内容についてある程度の理解がありますので、そのことを踏まえた対応をしてもらえます。 また、企業はその業務について法令を遵守する(コンプライアンス)必要があります。もっとも、法改正などについて企業がタイムリーに把握し、どういった改正がなされたのかを正確に理解することには限界があります。顧問弁護士であれば、企業の業務内容に関わる法改正などについて、いちはやくその情報を提供してくれますので、対策などを迅速に立てることができます。

    (3)企業の信頼性が上がる

    企業におけるコンプライアンスは、現在の企業には当然に求められるものです。企業に顧問弁護士がついていれば、その企業では法令遵守の下で業務が行われているだろうという評価を受けやすくなります。そのため、企業の信頼性も上がります。

    (4)法務部を設置するよりコストを抑えられる

    企業の規模が大きくなればなるほど、企業内にリーガルチェックをする部門(法務部など)を設ける必要性は高くなります。企業の規模が大きくなることに伴い、企業活動が活発になるため、契約書の作成など法的検討を必要とする場面も増えていくのが一般的だからです。 もっとも、法務部を設けるには人件費や運営費などといったコストがかかります。その点、顧問弁護士は法務部を上回る役割を果たすことができ、法務部を設置するよりもコストを抑えることができます。

    (5)すみやかに対応できる

    顧問先から相談を受けると顧問弁護士は速やかに対応してくれます。日頃から顧問先の内情を把握しているため、迅速に対応することができるのです。弁護士は多数の案件を抱えており、通常であれば断られることもありますが、顧問先からの相談に対してはできるかぎり速やかに対応してくれます。

    (6)経営に専念できる

    法的な問題が発生した場合、企業が独自で対応しようとすると、そこに一定の人員と時間を割かなければなりません。ですが、顧問弁護士がついていれば、窓口となってすべての対応をしてくれますので、企業の経営者や役職員は、問題の解決を顧問弁護士に任せ、経営に専念することができます。   以上のように、顧問弁護士を企業につけると業務面はもちろんのこと、コスト面においても一定のメリットを見込むことができます。では、反対に顧問弁護士のデメリットはどのような点にあるのでしょうか。次の項目で見てみましょう。

    5 顧問弁護士のデメリット

    弁護士のデメリット 顧問弁護士をつけるためには、弁護士と顧問契約を結ばなければなりません。顧問契約は主に弁護士が顧問先に提供するリーガルサービスの範囲とその対価としての「顧問料」について合意することで成立します。顧問料は定期的に発生するため、仮に顧問弁護士を利用しない期間が続いたとしても、その間の顧問料は支払わなければなりません。 このように、顧問弁護士をつけると、相談や事件処理の有無に関係なく定期的に顧問料を支払う必要があるのです。 以上のように顧問弁護士のメリット・デメリットについて見てくると、顧問弁護士をつけた方が企業のためになるようにも思えます。もっとも、顧問弁護士を利用する頻度が極端に少ないような企業が顧問弁護士をつけてしまうと、無駄に顧問料だけを支払い続けることにもなりかねません。 顧問弁護士をつけるかどうかを検討する際には、以上に述べたメリット・デメリットに加え、自社の現状やリーガルサポートを必要とする程度などを吟味したうえで、結論を出すことが重要です。 それでは仮に、以上のことを検討した結果、顧問弁護士をつける必要性があるという判断に至ったとしましょう。その場合、次のステップとして実際に顧問弁護士を選ばなければなりません。もっとも、どのようなことにポイントを置いて弁護士を選べばいいのかよくわからないという方もいると思います。 次の項目で、顧問弁護士を選ぶ際のポイントについて詳しく見ていきましょう。

    6 顧問弁護士を選ぶうえで大事なポイント

    弁護士選びのポイント 自社に合った顧問弁護士をつけるためにも、顧問弁護士を選ぶ際にはいくつかのポイントを検討する必要があります。大事なポイントは次の5点です。
    1. 自社のニーズと合致しているか
    2. 対応が早いか
    3. 顧問料がいくらかかるのか
    4. リーガルサービスを受けられる範囲
    5. 弁護士との相性
    各ポイントについて、具体的に見てみましょう。

    (1)自社のニーズと合致しているか

    各弁護士はそれぞれ得意とする分野を持っているのが一般的です。そのため、自社がリーガル面で特に必要としている分野と弁護士が得意としている分野とが合致している必要があります。 たとえば、IT事業を展開している企業が顧問弁護士を選ぶ場合に、倒産事件に特化した弁護士を顧問弁護士として迎え入れても、その弁護士は相談や事件処理を十分に行うことはできません。 なお、豆知識ですが、企業法務の経験値が相対的に高いかどうかは、だいたいの場合ホームページの構成・内容をみるとわかります。 一番わかりやすい目印としては、「企業法務に強い・顧問弁護士やってます」などとうたいながら、一方で「交通事故、離婚、債務整理」などもサービス内容に入っている場合、実際のところは企業法務の経験値がほとんどないことが多いです。 というのも、弁護士が扱う事案は大きく分けて、
    1. 企業法務(顧客:企業)
    2. 一般民事(顧客:個人、消費者)
    の2種類あるのですが、企業法務に特化して実力のある法律事務所は、「2」の事件を事務所としては原則やっていないからです。

    (2)対応が早いか

    日常的に業務を行っていると、必ずといっていいほど判断に困ることが出てきます。そのような場合に、顧問弁護士に相談してアドバイスをもらうことで、業務を滞ることなく遂行できます。 そのため、顧問弁護士の対応の早さは企業にとって極めて重要な要素になります。至急の相談であったにもかかわらず、3日4日経ってもレスポンスがない、ということだと企業は独自で判断せざるを得なくなります。 このように、弁護士の対応の早さは重要な要素であるため、顧問契約を結ぶ前に弁護士の対応の早さを確認しておいた方がベターでしょう。

    (3)顧問料がいくらかかるのか

    既に説明したように、顧問弁護士をつけると定期的に顧問料が発生します。自社のニーズに見合った顧問料の金額なのかを確認する必要があります。顧問料が自社のニーズに見合わず多額な場合は、ほかの弁護士を探すことも視野に入れて再検討するようにしましょう。

    (4)リーガルサービスを受けられる範囲

    顧問契約を結びさえすれば、顧問弁護士から無制限にリーガルサービスを受けられるというわけではありません。個別交渉や訴訟代理人を依頼するには、顧問料とは別に費用がかかることが一般的です。 また、法律相談の頻度が高い企業である場合には、「月に〇回まで」といったように回数に制限が設けられる場合もあります。 そのため、顧問料により顧問弁護士から受けられるリーガルサービスの範囲をきちんと確認しておくことが必要です。

    (5)弁護士との相性

    顧問弁護士とは基本的に長い付き合いになるため、企業と弁護士の相性も重要な要素になってきます。たとえば、自社の意向をまったく汲まない弁護士であったり、怒りっぽい弁護士だと、相談することに消極的にもなります。これでは、何のために顧問契約を結んだのかわかりません。 顧問弁護士と連絡を取る頻度が高い企業であればあるほど、その弁護士との相性は重要になってきますので、その点にも注意が必要です。   以上のように、顧問弁護士を選ぶ際には検討しなければならないポイントがいくつかありますが、その前提として、そもそも顧問弁護士が本当に必要なのか、という疑問を持っている方もいるかもしれません。 そこで、次の項目では顧問弁護士の必要性について確認しておきたいと思います。

    7 顧問弁護士は本当にいるの?(必要性)

    顧問弁護士は必要か

    (1)満足度

    日本弁護士連合会が弁護士を対象に顧問弁護士への相談についての満足度についてアンケート調査を実施しました。その結果、「大変満足した」「満足した」と回答した企業が64.4%、「納得した」と回答した企業が16.2%でした。 他方で、顧問弁護士がいない企業における弁護士への相談についての満足度については、「大変満足した」「満足した」と回答した企業が33.2%、「納得した」と回答した企業が28%という結果でした。 このように、顧問弁護士への相談は、通常の弁護士への相談に比べ、満足度が高いという結果が出ています。顧問弁護士は通常の弁護士とは異なり、日頃からコミュニケーションを図り、企業の内情もよく理解しているため、スムーズに相談を進められるという点が大きな要因であると考えられます。 では、どういった場合に顧問弁護士をつけるべきなのでしょうか。事例を挙げて確認していきましょう。

    (2)顧問弁護士が必要な場合

    以下の事例①~⑥に挙げたような状況にある場合、一般的に顧問弁護士が必要とされるケースであるといえます。

    【事例①】新規事業を立ち上げる場合

    新規事業を立ち上げる場合、必ずといっていいほど、法的にクリアしなければならない問題が出てきます。また、既に契約している顧問弁護士では新規事業の分野に対応できないといったこともあります。

    【事例②】取引先と契約する場合

    契約書の中には、自社が持っている大事な権利が勝手に取引先に移転する、といった条項や、損害は責任の有無にかかわらず自分側が全額負担する、といった条項が入っているケースが少なくありません。こういった点は、顧問弁護士によるリーガルチェックにより判明することが少なくありません。

    【事例③】カスタマー対応が多い場合

    カスタマー対応を自社で行うのは大変です。悪質なクレーマーが出てきたり、クレームの数が多くなると、そちらの対応に付きっきりになってしまい、通常業務に支障を来しかねません。顧問弁護士がいれば、こういった対応をすべて任せて、経営に専念することができ、また、クレームを迅速に解決することができます。

    【事例④】交渉、訴訟対応の場合

    取引先や顧客などとの間に紛争が生じることは珍しくありません。このような場合に交渉から訴訟に至るまで、その対応を自社で行うのは得策ではありません。自社に不利な解決がなされる可能性があり、また、時間・労力もそれなりに割かなければなりません。

    【事例⑤】労働問題に対応する場合

    労働問題にはさまざまなケースがあり、法律の知識も必須です。問題が大きくなる前に解決することが重要です。 また、仮に裁判にまで発展した場合、重要な証拠となるのが「就業規則」や「雇用契約書」です。こういった書面に法改正や社内の実情がきちんと反映されていなければ、裁判で証拠として使うことすらできません。

    【事例⑥】M&AやIPOを視野に入れている場合

    顧問弁護士と長い付き合いをしていれば、内部事情に詳しくなるため、M&AやIPOといったように特殊な対応が必要になる場合にも、相対的に事がスムーズに進みます。   ここに挙げたケースのほかにも顧問弁護士が必要とされる場面は存在します。法的問題に直面した場合や経営に専念したい場合、将来的に組織再編や資金調達を予定している場合などには、顧問弁護士をつけた方が企業にとって得策だと考えらえます。 では、顧問弁護士が必要であるとの判断に至った場合、具体的にどのような方法で顧問弁護士を探すのでしょうか。 次の項目では、顧問弁護士の探し方について具体的に見ていきたいと思います。

    8 顧問弁護士の探し方

    弁護士の探し方 顧問弁護士の探し方に決まった方法はありません。そのため、今回は一般的によく使われている以下の4つの方法について見ていきたい思います。
    1. インターネット
    2. 紹介
    3. 弁護士会などが主催する法律相談
    4. 相談や案件委任
    順番に見てみましょう。

    (1)インターネット

    最近は独自にウェブサイトを設けたり、マッチングサイトなどに登録している弁護士が増えてきました。たとえば、ITに強い弁護士を探そうとする場合、まず始めにインターネットで「IT 弁護士」「ITに強い 弁護士」などといったワードを入力して検索をかける人が多いと思います。弁護士が開設しているウェブサイトには、得意とする分野や顧問料などといったように顧問弁護士を検討する際に必要な情報が掲載されていることもあります。 もっとも、実際に会ってみないとわからないことも多々ありますが、迅速に自社のニーズに合った弁護士に絞ることができるという意味では有効的なツールです。

    (2)紹介

    他の企業の経営者や自社の顧問税理士などから弁護士の紹介を受けられる場合があります。実際に弁護士と交流がある人からの紹介であるため、ある程度安心・信用ができます。独自で探す手間を省くことができるうえ、人の紹介ということで優先的に対応してくれる弁護士も少なくありません。

    (3)弁護士会などが主催する法律相談

    弁護士が加入している弁護士会では、定期的に法律相談が実施されています。このような法律相談を利用するというのも一つの方法です。もっとも、実施されている法律相談の多くは一般市民向けのものであるため、企業法務に詳しい弁護士が見つかるかどうかはわかりません。ですが、法律相談で知り合った弁護士から企業法務に詳しい弁護士に繋いでもらえる可能性もあります。

    (4)相談や案件委任

    顧問契約を結ぶ前に一度法律相談を受けたり具体的な案件を依頼して、その弁護士の対応や仕事ぶりを見たうえで顧問契約を結ぶかどうかを決めます。このことにより、案件処理を含めその弁護士がどのような弁護士なのかという点に触れることができ、企業との相性などを確認することもできます。実際には、この方法を採る企業が多いようです。   以上に挙げた方法は代表的なものですが、顧問弁護士とは長い付き合いになるため、自社のニーズや自社との相性をきちんと見極めることができる方法を見出すことが重要です。 このようにして、自社に合った顧問弁護士が見付かれば、その弁護士との間で顧問契約を結ぶことになります。契約の際に交わす顧問契約書は、多くの場合弁護士が作成・準備してくれますが、どのような点をチェックすべきか、わからない方もいると思います。最後の項目で見ていきましょう。

    9 顧問弁護士との契約

    弁護士との契約 顧問弁護士と結ぶ顧問契約書について、注意すべき主なチェックポイントは以下の4項目です。
    1. サービスの内容
    2. 顧問料額
    3. 締め日、支払日
    4. 契約期間
    以下で順番に見ていきましょう。

    (1)サービスの内容

    顧問契約において、最も重要な要素です。顧問弁護士が顧問先に対して、どのようなリーガルサービスを提供するのか、その具体的な内容や範囲がきちんと特定されていることが必要です。そのうえで、サービス内容が自社のニーズと合致していなければなりません。両者に齟齬があると、何のために顧問契約を結んだかわからなくなります。

    (2)顧問料額

    顧問弁護士に支払う顧問料の金額をいまいちど確認する必要があります。顧問弁護士との間で合意した金額になっているかどうかを確認するようにしましょう。 また、先立つ合意がない場合は、自社のニーズに見合った金額になっているかを検討する必要があります。

    (3)締め日、支払日

    顧問料の締め日と支払日が顧問弁護士との間で合意した内容になっているかを確認するようにしましょう。先立つ合意がない場合は、締め日や支払日が自社にとって無理のないものかなどを検討する必要があります。

    (4)契約期間

    契約期間が顧問弁護士との間で合意した契約期間になっているかを確認します。先立つ合意がない場合は、自社が希望する契約期間をいまいちど確認するようにしましょう。また、自動更新を採用しているかどうかも併せて確認しておきましょう。   以上に挙げた項目のほかにも、顧問契約書におけるチェックポイントは契約内容によってさまざまです。さほどの労力ではありませんので、上記のチェックポイントを中心にまんべんなくチェックすることをお勧めします。

    10 小括

    サマリー 顧問弁護士を選ぶには、いくつかの検討すべきポイントがあります。弁護士であれば誰でもいいということではありません。 いったん顧問契約を結べば、相談・事案の有無に関係なく、顧問料は発生します。顧問料を無駄にしないためにも、対応の早さや優先対応など見落としがちなポイントをきちんと検証したうえで、自社のニーズに応えてくれる顧問弁護士を選ぶようにしましょう。

    11 まとめ

    これまでの解説をまとめると、以下のようになります。
    • 「顧問弁護士」とは、会社が直面する法律問題について相談を受けアドバイスなどをしてくれる弁護士のことをいう
    • 顧問弁護士の役割は、主に①契約書作成、リーガルチェック、②法的アドバイス、③優先対応である
    • 日本にある多くの法律事務所は、①一般民事・家事を中心に扱っている事務所、②企業法務に特化している事務所の2つのタイプに分けることができ、①における顧問料は②に比べ低額であるのが通常である
    • 顧問料の相場は3万円~5万円(月額)である
    • 顧問料額は主に企業から求められている仕事量とその内容によって決まる
    • 顧問弁護士のメリットは、①業務内容に理解のある弁護士に相談できる、②経営上のコンサルタントが受けられる、③会社の信頼性が上がる、④コストを抑えられる、⑤すみやかに対応できる、⑥経営に専念できることである
    • 顧問弁護士のデメリットは、相談・事件処理の有無に関係なく定期的に顧問料を支払う必要があるということである
    • 顧問弁護士を選ぶ際の大事なポイントは、①自社のニーズと合致しているか、②対応が早いか、③顧問料がいくらかかるのか、④リーガルサービスを受けられる範囲、⑤相性の5点である
    • 顧問弁護士への相談は、通常の弁護士への相談に比べ、満足度が高い
    • 顧問弁護士が必要とされる一般的なケースとして、①新規事業を立ち上げる場合、②取引先と契約する場合、③カスタマー対応が多い場合、④交渉、訴訟対応の場合、⑤労働問題に対応する場合、⑥M&AやIPOを視野に入れている場合が考えられる
    • 顧問弁護士の探し方として一般的な方法は、①インターネット、②紹介、③弁護士会などが主催する法律相談、④相談や案件委任である
    • 顧問契約書について、注意すべきチェックポイントは①サービスの内容、②顧問料額、③締め日、支払日、④契約期間の4項目である
    AUTHOR
    勝部 泰之

    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。 一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1・清水研究室)。

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