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ドローン

屋外イベントでドローン撮影をする際の4つの法律規制を弁護士が解説

2019.01.242019.01.24
ドローン 屋外イベント
この記事の目次
    はじめに クライアントから屋外イベントの様子をドローンで空撮してほしいと依頼された際に、「法律規制を知らないために必要な申請が漏れていた」、「国からの許可や承認がおりないため撮影できない」、なんてことにはなりたくないですよね。 そこで、今回は屋外イベントにおいてドローン撮影をする際の法律規制にはどんなものがあるのか?、どんな場合に国からの許可・承認が必要で、その許可・承認の基準はどうなっているか?について弁護士が詳しく解説します。

    1 屋外イベントでのドローン活用事例

    ドローン 屋外イベント 屋外イベントには、コンサートやフェス、花火大会、お祭りといったように様々なものがあります。昨今、これらのイベントのPR動画やCMの撮影にドローンが活用されています。 それでは、クライアントには、どのような要望があるのでしょうか。 以下をご覧ください。
      【クライアントの要望】
    • イベント会場の真上で大勢の観客が集まっている様子が分かるように撮影して欲しい
    • フェスで盛り上がっている人の表情が分かるように撮影して欲しい
    • コンサートで観客だけでなくアーティストも含めて一体感ある映像を撮影して欲しい
    • 花火の撮影のため夜間に撮影をして欲しい
    このような要望に応えるために、屋外イベントでドローンを活用するサービスを提供する事業者が増えてきています。 もっとも、ドローンを飛ばすサービスである以上、自由にいつでもドローンを飛ばせるというわけではありません。 それでは、屋外イベントなどでドローン撮影をする場合、どのような法律規制を受けるのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。

    この記事を書いた人

    勝部 泰之勝部 泰之弁護士
    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。
    一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科に在籍中。主な興味分野は経営学、高次元統計、自然言語処理、ゲーム理論、金融アルゴリズム、ブロックチェーン。
    研究リポジトリはこちら↗

    2 法律規制の全体像

    ドローンの法律規制 屋外イベントでドローン撮影をする際には、大きく分けて以下の4つの法律規制を検討する必要があります。
    1. 航空法
    2. プライバシー・肖像権
    3. 著作権
    4. 個人情報保護法
    この中でも特に問題となるのは、「航空法」の規制です。 次の項目から、順に見ていきましょう。

    3 航空法の法律規制

    航空法 ドローンを飛ばす際には、「航空法」に違反しないか?の検討が最も大事になってきます。 「航空法」は、ドローンを屋外で飛ばす際のルールを定めたもので、
    • 飛行場所(飛行禁止区域)
    • 飛行方法(飛ばし方)
    の二つの観点から「〇〇の場所では飛ばしちゃダメ、××なら飛ばしてOK」といったルールだったり、「△△の方法でなら飛ばしてOK」といったドローンにまつわるルールが書かれています。 そして、安全などの観点から、一定の禁止事項に当たる場合には、事前に国の「許可・承認」の手続きをとらないとドローンを飛ばすことができない、というルールにしてあります。 そのため、屋外イベントでドローンによる撮影を行う場合、事業者としてはまずは、①飛行場所、②飛行方法の二つの観点から、以下のフローで航空法の規制を検討することが必要です。 規制航空法の規制の検討フロー それでは、いったいどのような場合に国の許可・承認が必要になるのでしょうか。 この点について、次の項目から見ていきましょう。

    4 どのような場合に航空法上の許可・承認が必要か?

    航空法の規制 航空法には、以下のように無許可ではドローンを飛ばしてはいけない
    • 飛行場所(飛行禁止区域)
    • 飛行方法(飛ばし方)
    が記載されています。これらでドローンを飛ばす場合には、国から許可・承認を受ける必要があります。今回は、屋外イベントでのドローン撮影に関係すると考えられる次の5点に絞って解説します。
    1. 人口集中地区(DID地区)で飛ばす場合
    2. 催し場所の上空で飛ばす場合
    3. 目視外飛行をする場合
    4. 人・物件との間に30m以上の距離を保たずに飛ばす場合
    5. 夜間に飛ばす場合
    以下で詳しく見ていきましょう。

    (1)人口集中地区(DID地区)で飛ばす場合

    人口集中地区 ドローンはその性質上落下する可能性があるため、人などに危害を与えるおそれがあります。そこで航空法は、人や建物の安全を確保するという観点から、「人や家屋が密集している場所」でドローンを飛ばすことを禁止しています。 「人や家屋の密集地域」とは、具体的には「人口集中地区(DID地区)」のことをいいます。 「人口集中地区」の範囲については、国土地理院の「人口集中地区マップ」で確認することができます。 上の画像は東京近郊の人口集中マップです。赤く色がついている所が人口集中地区です。 このような人口集中地区で開かれる屋外イベントで、ドローン撮影をする場合には、国からの「許可」を得る必要があります。ご覧になればわかりますが、都内でドローンを飛ばす際には、ほとんどのケースで航空法の許可が必要になってしまいます。 反対に、ドローンを飛ばす場所がDID地区の範囲外であれば、飛行場所の観点からは、許可なくして飛ばすことができます。

    (2)催し場所の上空で飛ばす場合

    イベント会場での飛行禁止 多数の人が集まる「催し場所」の上空でドローンを飛ばすことは禁止されています。このルールも「人や建物の安全を確保する」という観点から定められています。 ここでいう「催し」とは、特定の場所や日時に開催されるものです。国土交通省は、「催し」に該当する例、該当しない例を以下のように挙げています。 「催し」の例 「催し」に該当する屋外イベントの会場上空からドローンで撮影をする場合、国からの「承認」が必要となります。コンサートやフェス、花火大会、お祭りなどの屋外イベントは、場所・日時を指定して開催し、そこには多数の人が集まるため、「催し」に該当することが多いと考えられます。

    (3)目視外飛行をする場合

    目視の範囲内 ドローンの操縦者が目視できる範囲から外れた場所での飛行は禁止されています。 「目視外飛行禁止」のルールは、操縦者にドローンの位置や姿勢、周囲の障害物を確実に把握させ、ドローンの周囲にいる人の安全を守ることを目的としています。 屋外イベントの会場が非常に大きい場合や、障害物によって操縦者が目視できないような場合には、国からの「承認」が必要となります。

    (4)距離30m未満での飛行禁止の規制

    距離の確保 ドローンを飛ばす際には、ドローンと「人」や「物件(建物など)」との距離が30m以上離れていることが必要とされています。距離が近すぎると、ドローンがぶつかり人や物を傷つけてしまうリスクがあるからです。 ここでいう「人」や「物件」には、ドローン飛行の関係者は含まれません。屋外イベントにおいては、ドローンの操縦者やイベントのエキストラ、クライアント、クライアントが管理する建物などは対象に含まれないことになります。 そのためドローンとこれらの関係者を除く「人」や「建物」との距離が30m未満にならざるをえない場合には、国からの「承認」が必要となります。

    (5)夜間に飛ばす場合

    ドローンを自由に飛ばしてよい時間帯は、日出から日没までの間の日中(⇔夜間)と決められています。そのため、花火大会などの撮影のため「夜間」にドローンを飛ばしたい場合には、国からの「承認」が必要となります。 夜間における飛行が禁止されているのは、ドローンの位置や姿勢だけでなく、周囲の障害物などの把握が困難であり、落下による事故のおそれが高まるためです。   以上のように、航空法が規制する「飛行場所」や「飛行方法」でドローンを飛ばすためには、国から許可や承認を得る必要があります。自社がドローン撮影をする際には、国から許可・承認を受ける必要があるのかどうかをしっかりと確認することが重要です。 さてこれまでは、どのような場合に、航空法上の許可・承認が必要になるか?を見てきました。 もっとも、国の許可・承認が必要な場合において、申請さえすれば、誰でも許可・承認を受けられるわけではありません。 申請を受けた国の方で、安全性はきちんと保たれているのか?など様々な観点からドローンの飛行を許可すべきかどうかが審査されます。 しかも、屋外イベントでドローンを飛ばす際には、通常の許可基準に加えて「追加的な安全対策」を取ることが求められています。 そこで、次の項目では、通常の許可基準と国が定める「追加的な安全対策」について、詳しく見ていきましょう。

    5 航空法の許可・承認の基準をどうすれば満たせるのか?

    航空法

    (1)通常の許可基準

    ドローンの飛行に関する許可基準は、細かく決められていますが、通常の許可基準は、以下の3つの視点から構成されています。
    1. 「ドローン自体」の機能とその性能
    2. ドローンを飛行させる「人」の飛行経験、知識や能力
    3. ドローンを飛行させる際の「体制」
    簡単にそれぞれを見ていきましょう。

    ①「ドローン自体」の機能とその性能

    この基準は、ドローンの「機体そのもの」に求められる基準です。 たとえば、機体の性能として、ドローンの位置や向きが把握できるような灯火などを有していることや、操縦者がバッテリーの状態を確認できることが必要となっています。

    ②ドローンを飛行させる「人」の飛行経験、知識や能力

    この基準は、ドローンを飛ばす「人」に求められる基準です。 たとえば、操縦者に航空法などの規制の知識があることや、安全飛行に関する知識があることが必要となっています。

    ③ドローンを飛行させる際の「体制」

    この基準は、「ドローンを飛ばす際に求められる体制」の基準です。 たとえば、第三者の上空でドローンを飛行させないことや、飛行前に気象や機体の状況、飛行経路について、安全に飛行できる状態であることを確認することが必要となっています。 ※ドローンを飛ばす際に求められる通常の許可基準について詳しく知りたい方は、「ドローンの飛行許可申請のやり方は?5つのポイントを弁護士が解説!」をご覧ください。

    (2)屋外イベントの撮影に際しての追加の安全対策

    屋外イベントでドローンを飛ばす際には、通常の許可基準に加えて国が定める「追加的な安全対策」を守る必要があります。以下3点が安全対策として挙げられます。
    1. 立入禁止区画の設定
    2. 機体要件
    3. 風速制限・速度制限
    それぞれの安全対策について、以下で詳しく見ていきましょう。

    ①立入禁止区画の設定

    ドローンが落下して被害が生じないよう、屋外イベントでドローンを飛ばす際には、ドローン飛行の関係者以外の立入を禁止する区画を設定する必要があります。 ドローンを飛ばす
    • 高さ
    • 範囲
    に応じて、立入禁止区画の範囲は設定されます。立入禁止区画をわかりやすく説明すると以下の図のようになります。 立入禁止区画の設定 立入禁止区画では、関係者以外のイベント参加者などが間違えて立ち入らないような安全対策を取る必要があります。そのため、警備員や注意喚起を行う補助員を配置する、あるいは立入禁止であることがわかるよう柵やロープ、案内板を設置するなどの対応をする必要があります。

    ②機体要件

    ドローンの機体要件としては、以下2つの安全対策を取る必要があります。
    • 「プロペラガード」など、人に接触した際の被害を軽減させるための措置がドローンにとられていること
    • ホームページ掲載のドローン以外を飛ばす場合には、申請時と同じ機体の条件下で十分な飛行実績(飛行時間:3時間以上、飛行回数:10回以上目安)を有し、安全に飛行できることを確認していること
    「プロペラガード」はドローンが何かに接触した際に、プロペラが直接触れないようにするためのバンパーです。プロペラガードをつけることにより、万が一人に接触した際も、被害を軽減することができます。もし、機体に純正のプロペラガードがついていない場合は、装着する必要があります。 また、安全に飛行することができる機体であることを事前に確認する必要があります。申請時には、飛行予定の機体での、「飛行時間」と「飛行回数」を記載することになっています。そのため、飛行時間3時間以上、飛行回数10回以上を目安として申請前に安全飛行ができるか確認しましょう。 ※「ホームページ掲載のドローン」とは、国土交通省のホームページの「資料の一部を省略することが出来る無人航空機」です。

    ③風速制限・速度制限

    強風が吹く環境では、ドローンの落下の危険性が高くなります。そのため、風速が5m/s以上の場合、屋外イベントでドローンを飛ばすことはできません。また、ドローンを素早く移動させた場合、立入禁止区画の範囲外に落下する可能性があります。そのため、風速と速度の和が7m/s以下となるようにする必要があります。 もっとも、これらの追加的な安全対策を例外的に緩和できる場合があります。 以下のような場合です。
    • ドローンに係留装置(ドローンスパイダーなど)の装着をする場合
    • ネットの設置などを活用した安全対策を講じている場合
    • ドローンの機体メーカーが自社の機体性能にあわせ落下範囲を保証しているなど、その技術的根拠について問題ないと判断できる場合
    「ドローンスパイダー」はドローンと装置をワイヤーで繋ぎ、飛行範囲を限定する装置です。中には、突然の突風などにより飛行範囲外にでた際に、ワイヤーを巻き取ることで飛行範囲内に戻す機能をもっているものもあります。ドローンスパイダーなどの係留装置を装着することで、立入禁止区画の範囲を緩和することができる可能性があります また、イベント参加者全員をネットで覆い、ドローンの落下時に被害が発生しないような安全対策をとることで、立入禁止区画を設けなくとも、イベント会場の上空でドローンを飛ばすことが承認される可能性があります。   以上のように、屋外イベントでドローンを飛ばす際には、安全対策を徹底する必要があります。ドローンで撮影を行う事業者は、クライアントやイベント主催者とどのような安全対策をとるか十分に協議することが重要となります。 ここまでは、航空法による規制を詳しくみてきましたが、航空法以外にも知っておくべき法律規制があります。次の項目からは、航空法以外の法律規制を順に見ていきましょう。

    6 プライバシー権・肖像権を侵害しないか?

    プライバシー 屋外イベントでドローン撮影を行う場合、会場周辺やイベント参加者などが写り込んでしまうことがあり、プライバシー権、肖像権を侵害するのではないかという問題が出てきます。以下で、順番に見ていきましょう。

    (1)プライバシー権

    「プライバシー権」とは、何の理由もなく私生活を公開されることのない権利です。たとえば、花火大会のPR用の動画をドローンで撮影する際に、会場近くのAさんの家の中の様子が鮮明に撮影されてしまった場合を考えてください。家の中を勝手に撮影されたり、公開されたりするのは、誰でも嫌ですよね。 このようにプライバシーが分かってしまう映像を撮影したり、公開したりすると、プライバシー権を侵害する可能性があります。

    (2)肖像権

    「肖像権」とは、何の理由もなく自分の容姿を他人に撮影されたり使用されたりすることのない権利です。たとえば、コンサートの動画をドローンで撮影する際、観客が写り込むことがあるかと思います。誰が写っているか分からないほど観客が小さい場合や、一瞬しか写っていない場合には問題ないと考えられますが、特定の個人が長時間大写しになっているような場合には肖像権を侵害している可能性があります。 不要なトラブルを避けるためにも、撮影時・公開時には以下の対応をとることが望ましいと考えられます。
      【撮影時】
    • 屋外イベントで撮影をする際には住宅街にカメラを向けない
    • 特定の個人を長時間大写しで撮影しない(撮影が必要な場合は同意を得る)
      【公開時】
    • プライバシーが分かるものや公開されたくないであろう映像については、削除したり、ぼかしを入れるなどといった加工をしたうえで公開する
      以上のように、ドローン撮影者は第三者のプライバシー権、肖像権を侵害しないよう、撮影時、公開時ともに配慮することが大切です。また、一度インターネットに公開してしまうと、完全に削除することが難しくなります。そのため、公開前に撮影した映像を慎重に確認し、適切な加工を施すことが重要です。 なお、ドローンで撮影した映像をインターネット上に公開する場合については、総務省が出している「『ドローン』による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン」にその見解がまとめられています。 これまでは主に、会場周辺やイベント参加者が被写体である場合の法的問題点について見てきました。それでは、ここで被写体を変えてみましょう。たとえば、コンサートを開くアーティストをドローン撮影する場合に、どのような法的問題点があるのでしょうか。次の項目で見ていきたいと思います。

    7 著作権を侵害しないか?

    書作権 コンサートにおいて、アーティストが演奏している姿を撮影、録音する場合、著作権やそこから派生した著作隣接権という権利を侵害しないか?という問題が出てきます。 以下で順に見ていきましょう。

    (1)著作権

    「著作権」は、作成したもの(著作物)を勝手に使用されない、変更されないといった、著作物の創作者に認められている権利です。演奏する曲の作曲者には、著作権の一つとして、無断で曲を複製(コピー)されない「複製権」が認められています。撮影することも複製と考えらえるため、権利を侵害しないよう、撮影の許諾をとることが必要となります。

    (2)著作隣接権

    「著作隣接権」は、創作者ではないため著作権は持たないが、著作物の伝達に重要な役割を果たしている俳優、歌手、演奏家などに認められている権利です。演奏を行うアーティストも曲(著作物)を世の中に伝えるのに重要な役割を果たしています。そのため、アーティストには著作隣接権の一つとして、ステージ上での自分のライブパフォーマンスを録画、録音する「録画権・録音権」が認められています。 無断で撮影をした場合、この権利を侵害してしまうことになるため、アーティストからも撮影の許諾を得る必要があります。   以上のように、アーティストが演奏している姿を撮影する場合、作曲者とアーティストにも撮影の許諾を得ることが必要となりますので注意するようにしましょう。 最後に被写体を問わず、ドローン撮影で人の「顔」を撮影した場合に問題となる「個人情報保護法」について解説します。

    8 個人情報保護法に違反しないか?

    個人情報 屋外イベントで撮影をする場合には、程度にこそ差はあれど、人の「顔」が写っていることが多いと思います。 個人情報保護法にいう「個人情報」とは、わかりやすく説明すると、個人を特定できる情報を指します。人の「顔」も、それぞれ違った特徴をもっており、その人が誰なのかを特定できるものであるため、個人を特定できるような鮮明な画像は、「個人情報」に該当します。 これまで、個人情報の保有件数が5000件以下の事業者は、個人情報保護法の規制対象となっていませんでしたが2017年の個人情報改正後、件数の要件は撤廃されて、個人事業主のような小規模事業者でも個人情報保護法のルールを守る必要が出てきました。 もっとも、個人情報を保有するすべての事業者が法律で規制されるわけではなく、個人情報保護法が定める「個人情報取扱事業者」という概念に当てはまる事業者のみが規制の対象となります。 そこで、まずは、規制対象となる個人情報取扱事業者とはどのような事業者のことを指すのか見ていきましょう。

    (1)個人情報取扱事業者

    「個人情報取扱事業者」とは、「個人情報データベース等」をもっている事業者です。「個人情報データベース等」とは、事業として、個人情報をデータベース化し、検索可能な状態にすることを指します。 たとえば、以下が具体例となります。
    • 名刺の情報をエクセルに入力、整理している場合
    • アドレス帳(氏名とメールアドレス)を保管している場合
    たとえ、ドローンで撮影した人の「顔」をデータベース化していなくとも、顧客の管理のため、上記具体例に該当するようなデータベースをもっている事業者は、個人情報の件数に関わらず、個人情報保護法の規制対象となります。

    (2)個人情報取扱事業者が守るべきルール

    個人情報取扱事業者が守るべき個人情報に関するルールとしては、以下の3つが挙げられます。
    1. 取得時における利用目的の特定・通知・公表
    2. 利用範囲の制限・安全管理措置
    3. 不正な手段での個人情報取得の禁止
    順に見ていきましょう。

    ①取得時における利用目的の特定・通知・公表

    個人情報取扱事業者は、個人情報を取得する際には、その利用目的を具体的に特定し、速やかに通知、または公表する必要があります。ドローン撮影で多数の者を撮影するような場合には、「通知」ではなく、自社のホームページなどに掲載するという方法によって「公表」することが考えられます。

    ②利用範囲の制限・安全管理措置

    個人情報の利用範囲は、上記①で特定された範囲に限定され、データベースを構成する情報が漏えい、滅失しないよう適切な管理をする必要があります。 たとえば、イベント参加者が互いに交流できるよう、ドローンで撮影した人の「顔」を検索できるようデータベース化した場合、それ以外の目的(別サービスの案内など)での情報の使用は禁止されます。 また、個人情報取扱事業者は、原則として本人の同意を得ないで、個人情報を第三者に提供することはできません。そのため、個人情報にあたるといえるような人の「顔」が写った映像をクライアントに提供する場合には原則として被写体である本人の同意が必要となります。

    ③不正な手段での個人情報取得の禁止

    個人情報取扱事業者は、不正な手段によって個人情報を取得することを禁止されています。そのため、隠し撮りにより取得した写真などは、個人情報保護法に違反するおそれがあります。 ドローン撮影というと、どうしても航空法による規制などに気を取られがちですが、ドローン事業者が個人情報取扱事業者に当たる場合には、個人情報保護法のルールも守る必要がありますので、注意しましょう。 ※個人情報保護法の改正について詳しく知りたい方は、「2017年個人情報保護法改正の概要とは?4つのポイントを徹底解説」をご覧ください。 ※個人情報の第三者提供について詳しく知りたい方は、「個人情報の第三者提供とは?事業者が知るべき4つのポイントを解説!」をご覧ください。

    9 小括

    まとめ 屋外イベントには多くの人が集まります。ドローンの出現により、安く、簡単に空からの撮影が可能になりましたが、その反面、ドローンが落下するようなことになると、イベントに集まった人を危険な目に合わせてしまいます。 そのようなことにならないためにも、ドローンに対する航空法などの規制をきちんと理解したうえで、適切にドローンを飛ばし撮影するようにしましょう。

    10 まとめ

    これまでの解説をまとめると以下のようになります。
    • 屋外イベントでドローンを飛ばし撮影する際には、①航空法、②プライバシー権・肖像権、③著作権、④個人情報保護法の4つの法律規制を検討する必要がある
    • 屋外イベントでドローンを飛ばし撮影する際に、国からの許可や承認が必要となるのは、①人口集中地区(DID地区)で飛ばす場合、②催し場所の上空で飛ばす場合、③目視外飛行をする場合、④人・物件との間に30m以上の距離を保たずに飛ばす場合、⑤夜間に飛ばす場合、といった航空法が禁止する5つの「場所」や「方法」でドローンを飛ばすときである
    • 屋外イベントでドローンを飛ばす際には、通常の許可基準に加えて「追加的な安全対策」が求められる
    • 国が定める「追加的な安全対策」は①立入禁止区画の設定、②機体要件、③風速制限・速度制限の3つである。
    • 例外措置として「追加的な安全対策」を緩和できる場合がある
    • 撮影した映像は、プライバシー権、肖像権に配慮した措置を取ることが望ましい
    • コンサートにおいてアーティストが演奏している姿を撮影する際には、作曲者、アーティストにも許諾を得る必要がある
    • ドローンによる撮影者も個人情報保護法の規制対象となる可能性がある
    AUTHOR
    勝部 泰之

    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。 一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1・清水研究室)。

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