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ドローン

農薬散布用ドローンに免許は必要?2つの法律規制をIT弁護士が解説

2019.02.142019.02.14
この記事の目次
    はじめに 近年、農業における人材不足・従事者の高齢化などが深刻化しています。そういった状況下で、人材不足などの問題を少しでも解消しようと、農業にドローンを活用したビジネスが急速に広まっています。 農薬散布にドローンを活用することもその一環ですが、農薬散布のためとはいえ、ドローンに変わりはない以上、自由にいつでも飛ばせるわけではないということはわかっているが、具体的にどのような法律規制があるのか、よくわからないですよね。 また、通常のドローンとは仕様が違うことから、「免許」などが必要になるのではないだろうか、といった点は事業者にとって関心事だと思います。 そこで今回は、農薬散布用ドローンにそもそも「免許」は必要なのか、また、その他にも知っておくべき重要な法律規制について、ITに強い弁護士が解説します。

    1 農薬散布におけるドローンの必要性

    農薬散布ドローンの必要性  近時、ドローンを使って農薬を散布するサービスが急速に普及しています。 これまでは、農業に従事する人が直接農薬を散布したり、導入した無人ヘリコプターによって農薬散布をする手法で対応していました。ですが昨今、農業に従事する人の高齢化・減少が進んでおり、状況は深刻です。 そのような現状を踏まえると、従来の手法では限界があり、とってかわる労働力の確保が早急な課題となっていました。「ドローン」の活用は、このような課題を解消するものとして期待されています。 ドローンは、機体が小さくて軽く、小回りがきくため、人間や無人ヘリでは散布することが難しい中山間部や狭小な農地での散布も可能です。また、ドローンは無人ヘリにくらべ、コスト面でも低価格で購入することができます。 また、ドローンを活用することにより、短時間で広範囲に農薬を散布することが可能になるため、労働力不足を補うことができます。 さらには、ドローンにAIなどといった最新の技術を組み合わせてさらなる生産性の向上を図る動きも進んでいます。 ドローン導入によるメリットをまとめると、以下のようになります。
    1. 地理的な制約が少ない
    2. 低コスト
    3. 労働者不足の解消
    4. 生産性向上
    これら4つの利点から、これまで空中散布を行っていなかった農業従事者だけでなく、無人ヘリを利用していた農業従事者の間でもドローンの導入が進んでいます。 もっとも、ドローンは時間・場所を問わずにいつでも自由に飛ばせるものなのでしょうか。たとえば、車や飛行機などのように「免許」が必要なのでしょうか? 次の項目で、見てみましょう。

    この記事を書いた人

    勝部 泰之勝部 泰之弁護士
    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。
    一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科に在籍中。主な興味分野は経営学、高次元統計、自然言語処理、ゲーム理論、金融アルゴリズム、ブロックチェーン。
    研究リポジトリはこちら↗

    2 ドローンを飛ばすのに免許は必要か?

    ドローン免許

    (1)通常のドローン

    ドローンは「空を飛ぶもの」であるため、航空機やヘリコプター、近辺の建物や人などに衝突する危険があります。そのような観点から、ドローン飛行に対してはいくつかの法律規制が存在します。 ですが、基本的に「免許」は不要です。 もっとも、常に免許が不要となるわけではなく、「電波法」という法律との関係では、免許が必要になる場合がありますので、注意が必要です。 「電波法」とは、電波を使う際の基本的なルールを定めている法律です。 ドローンは、操縦や映像の送信にあたって電波を使うため、電波法を守って使う必要があるのです。 電波法では、電波を使うために開設される無線局について、総務大臣の免許を受けることを求めています。ドローンを飛ばすという行為も新たに無線局を開設する行為にあたるとされているため、原則として、総務大臣の免許を受ける必要があります。 もっとも、ドローンについて「技術基準適合証明」を受けている場合には、総務大臣の免許がなくともドローンを飛ばすことができます。 「技術基準適合証明」とは、無線設備が電波法令が求める技術基準を満たしていることを証明するもので、その機体に技適マークが付いているかどうかで確認することができます。技適マークは、現在のマークだけでなく、旧タイプのマークも有効です。 技適マーク このように、電波法では、ドローン飛行に関し、
      【原則】免許必要 【例外】技適マークがあれば免許不要
    というルールを設けています。 ただし、ドローンを飛ばす際に使う無線の周波数帯が「5.8GHz(ギガヘルツ)帯」である場合には、技適マークの有無にかかわらず、免許を受ける必要があります。 仮に、この電波法に違反すると、
    • 最大1年の懲役
    • 最大100万円の罰金
    のいずれかを科される可能性があります。 以上に見てきた電波法のルールについては、農薬散布用のドローンについても同様にあてはまります。 それでは、農薬散布用ドローンには通常のドローンとは別に必要とされる免許などがあるのでしょうか? 以下で、見てみましょう。 ※ドローン飛行に関する電波法上の免許制について、詳しく知りたい方は、「ドローンを飛ばす際に理解すべき「電波法」4つの規制を弁護士が解説」をご覧ください。

    (2)農薬散布用ドローン

    農薬散布用ドローンについても、通常ドローンと同様、基本的に「免許」は必要ありません。 もっとも、農薬散布用ドローンについては、法的拘束力はないものの、国土交通省や農林水産省が要領や指針を定めています。 特に農林水産省が定める「空中散布等における無人航空機利用技術指導指針」には、以下のような指針が示されています。
      オペレーター(ドローンの操縦士)については、空中散布に用いられる機種の操縦技術に習熟しており、かつ、無人航空機を用いた農薬等の散布に関する技術及び無人航空機の安全な飛行に関する知識を習得している者として、登録認定機関等の認定を受けたものであること
    この指針によれば、オペレーターは空中散布に使われるドローンの操縦技術に加え、それを使った農薬散布の技術や安全飛行に関する知識も備えていなければなりません。 そして、これらの素養を備えている者として、「一般社団法人農林水産航空協会」から認定を受ける必要があるとされています。 以上の指針に法的拘束力はありませんが、ドローンはその性質上、人や物件などに大きな損害を与える危険性をもっています。そのため、自らの技術や知識などが農薬散布用ドローンを飛ばすにふさわしいかどうかを確認することは重要であるといえます。 それでは、具体的にどのような方法で農林水産航空協会の「認定」を取得するのでしょうか。次の項目で見てみましょう。

    3 協会の「認定」を取得する方法

    境界の認定取得 認定オペレーターになるためには、農林水産航空協会が指定した教習施設(産業用マルチローター教習施設)における教習を受ける必要があります。 もっとも、この教習は誰でも受けられるわけではなく、
    1. 満16歳以上であること
    2. 視力・聴力が正常であること
    3. 運転免許証などの身分証明書が提出できること
    4. 心身ともにオペレーターとしての適正があること
    といった4点をすべてみたす場合にかぎり、受講することができます。 教習内容は、ドローン・散布装置の操作や取扱いなどに関する「操作実技教習」と農林水産航空事業や農薬の安全使用などに関する「学科教習」とに分かれており、受講費用は15万円から25万円というのが大体の相場です。教習期間は3日から5日ということが多く、受講生のレベルに応じて経験者コースや初心者コースなどに分けられているところもあります。 また、機体によって操縦方法が異なるため、技能の認定は機種ごとに行われます。農薬散布用ドローンとして使用できる機種・機体は限定されているため、その点をあらかじめきちんと確認しておくことが必要です。 なお、技能認定を受けた場合、その技能認定証の有効期間は交付した日から5年とされており、更新するためには期限内に更新研修を受ける必要があります。 以上のように、一定の資格を備え、かつ一定の教習をクリアした人は、晴れて認定オペレーターとして農薬散布用ドローンを飛ばすことができるわけです。 もっとも、この農薬散布用ドローンを飛ばすにあたっては、既に説明した「電波法」よりもはるかに重要な法律規制として、「航空法」という法律があります。次の項目で、見ていきましょう。 ※協会によるオペレーター技能認定について詳しく知りたい方は、協会が出している「産業用無人ヘリコプターオペレーター技能認定基準」をご覧ください。

    4 航空法による法律規制

    航空法の法律規制 農薬散布用ドローンの法律問題を検討するにあたっては、まずは、
    1. 「無人航空機」
    2. 飛行「場所」
    3. 飛行「方法」
    を規定している「航空法」の適用について考える必要があります。 以下で、詳しく見ていきましょう。

    (1)「無人航空機」

    「無人航空機」とは、以下の4つの要件をすべてみたすものをいいます。
    1. 飛ばすことが可能な機体であること
    2. 人が乗れないこと
    3. 遠隔操作or自動操縦が可能であること
    4. 機体が200g以上であること
    順番に見てみましょう。

    ①飛ばすことが可能な機体であること

    空中で飛ばすことが可能な機体であることが必要です。

    ②人が乗れないこと

    人が乗れるかどうかの判断は、機体の大きさだけでなく、その構造や性能なども含めて判断されます。

    ③遠隔操作or自動操縦が可能であること

    ラジコンを想像してもらうと分かりやすいと思いますが、リモコンなどで機体を上昇・下降させたり、ホバリングを行えることを「遠隔操作」といいます。 他方で、機体そのものに搭載されたプログラムにより自動的に操縦することができることを「自動操縦」といいます。 無人航空機にあたるといえるためには、このいずれかの操縦が可能であることが必要です。

    ④機体が200g以上であること

    機体が200g未満である場合には、航空法の規制対象から外れます。あくまで、航空法のが規制対象としているのは、200g以上の機体です。 以上からすると、クワッドコプターに代表されるドローンだけでなく、たとえ無人ヘリコプターであっても、以上の要件をすべてみたすのであれば、それは「無人航空機」にあたることになり、航空法の規制を受けることになります。

    (2)飛行「場所」の規制(DID地区)

    空を飛ぶドローンは、飛行機やヘリコプターなどの航空機や、近辺の建物・人に衝突する危険があるため、どこでも自由に飛ばして良いというわけにはいきません。 そこで航空法は、
    1. 航空機の安全に影響を及ぼすような場所
    2. 人や建物の密集地域(DID地区)
    におけるドローンの飛行を規制しています。 以下で、簡単に見ておきましょう。

    ①航空機の安全に影響を及ぼすような場所

    具体的には、空港周辺の上空や、空港周辺ではなくても航空機の運行に影響を与える可能性のある、高度150m以上の空域でもドローンの飛行が規制されています。

    ②人や建物の密集地域(DID地区)

    「人や建物の密集地域(DID地区)」とは、人口が集中している地域のことをいいます。その範囲は国土地理院の「人口集中地区マップ」で確認することができます。 人口集中地区マップ 上の画像において、赤く色がついている場所が人口集中地区です。このような地区では、原則としてドローンを飛ばすことはできません。   以上のように、ドローンを飛ばす「場所」には飛行禁止区域が設けられており、仮に、この飛行禁止区域でドローンを飛ばすためには、国土交通大臣の許可を受けなければなりません。 もっとも、ここで規制されている以外の場所であれば、自由にドローンを飛ばすことができるというわけではありません。ドローンが空を飛ぶ機体である以上、飛ばし方を誤ると不測の事態にもなりかねません。 そこで、航空法はドローンを飛ばす「場所」とは別にその「飛ばし方」についても一定の規制を設けています。以下で、見てみましょう。

    (3)飛行「方法」の規制

    航空法は、ドローンの飛ばし方について、以下の6つのルールを設けています。仮に、このルールに反する形でドローンを飛ばす場合には、あらかじめ国土交通大臣の承認を得る必要があります。
    1. 日中(日の出から日没までの間)に飛ばすこと
    2. 直接目で見てドローンや周辺を常に監視すること
    3. ドローンと人や物件との距離を30m以上に保つこと
    4. 祭りや展示会など、人の多く集まるイベントの上空で飛ばさないこと
    5. 爆発物などの危険物を輸送しないこと
    6. ドローンから物を投下しないこと
    この項目では、農薬散布用ドローンの場合に特に問題となる以下の4つのケースに絞って解説したいと思います。

    ①ドローンから物を落下しないこと

    物の投下禁止 ドローンから物を投下した場合、地上にいる人に危害を与えたり、機体がバランスを崩して落下するなどといったように適切な制御に支障をきたす可能性があります。 そのため、ドローンから物を投下することは禁止されています。 このことは、ドローンから水や農薬を散布する場合も同様にあてはまるため、農薬を散布することも物の投下にあたるとされており、ドローンによって農薬を散布する場合には、国土交通大臣の承認を得る必要があります。

    ②ドローンと人や物件との距離を30m以上に保つこと

    距離の確保 農薬を散布するドローンから30m以内に他人の農地や電柱がある場合には、農地で作業する人や農機・倉庫などが存在する可能性があるため、国土交通大臣の承認が必要となります。 もっとも、他人の土地や農作物などといったように、土地と一体となった自然物はここでいう「30m以上の距離を保つべき物件」に含まれないものとされています。そのため、他人の土地やそこで育てられている農作物から30m以上の距離を保つ必要はありません。

    ③爆発物などの危険物を輸送しないこと

    危険物の輸送禁止 散布する農薬によっては、燃えやすい可燃性物質を含む場合があります。火薬類、高圧ガス、引火性液体などといった可燃性物質を含む物をドローンによって輸送する場合には、国土交通大臣の承認が必要となります。これ以外にも輸送する農薬が、毒物、酸化性物質、腐食性物質等に該当する場合にも、国土交通大臣の承認が必要になります。 仮に、危険物を輸送しているドローンが落下したり、輸送している間に危険物が漏れてしまうと、機体が爆発するなどして、人や第三者の物件に危害を与える可能性が高いためです。

    ④日中に飛ばすこと

    日中の飛行 夜間にドローンを飛ばすと、ドローンの位置や姿勢、周囲の障害物などを正確に把握することが困難になります。そのため、適切な操縦に支障をきたし、ドローンの落下などの可能性が高まります。 そのため、ドローンは日の出から日没までの日中に飛ばさなければならず、夜間に飛ばすためには、国土交通大臣の承認が必要になります。 このことは、農薬散布用ドローンについても同様にあてはまります。

    ⑤小括

    ドローンを飛ばす際には、その飛ばし方として以上のようなルールを守らなければなりません。中には、国土交通大臣の承認が必要なのかどうかについて、微妙な判断を求められるケースが出てくるかもしれません。ですが、農薬を散布する行為が「物件の投下」にあたることに争いはないため、国土交通大臣の承認は必ず必要となります。そうである以上、微妙な判断が求められる項目があれば、その項目も併せて国土交通大臣の承認を受けておいた方がよいでしょう。 以上に見てきたように、ドローンを飛ばす際には、飛行「場所」と飛行「方法」に関するルールをきちんと守らなければなりません。 それでは、このルールに違反してしまった場合、どのようなペナルティを科されることになるのでしょうか。 次の項目で、簡単に見てみましょう。 ※ドローンを飛ばす際の航空法による規制について詳しく知りたい方は、「ドローン企業が知るべき航空法とは?3つのポイントを弁護士が解説!」をご覧ください。

    5 航空法に違反した場合の罰則(ペナルティ)

    ペナルティ 航空法で規制される飛行場所や飛行方法であるにもかかわらず、国土交通大臣の許可・承認を受けることなく、ドローンを飛ばすと、
    • 最大50万円の罰金
    を科される可能性があります。 また、法人の業務などの一環で、その従業員などが航空法に違反した場合には、実際にドローンを操縦した者に加え、その法人に対しても、
    • 最大50万円の罰金
    を科せられる可能性があります。 それでは、最後にドローンを飛ばす際に必要となる航空法上の許可・承認申請の方法について、確認しておきましょう。

    6 航空法上の許可・承認申請のやり方

    航空法上の許可承認申請

    (1)飛行許可・承認申請の期日

    国土交通省への飛行許可や承認の申請は、飛行を開始する予定日の10開庁日前までに所定の方法で申請する必要があります。

    (2)申請方法

    インターネットを利用したオンライン申請と申請用紙に直接記入して申請する2種類の方法があります。 オンライン申請は、ドローン情報基盤システムを利用します。 このホームページにアクセスして、質問に答えていく形で進めていくと自動的に申請書が完成するという仕組みになっています。記入方法などに複雑な点もないため、簡単に申請手続きが行えるようになっています。 他方で、記入した申請書を提出する形で申請する場合は、指定された方式に従って申請書を作成し、完成した申請書を郵送または指定された窓口に直接提出する方法で提出することになります。 【申請書様式】 航空局ホームページの「無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書(様式)」からダウンロードできます。

    (3)申請先

    申請用紙に直接記入して申請する場合、申請先は以下の2つに分かれています。
    1. 空港事務所
    2. 航空局
    以下で、簡単に見ておきましょう。

    ①空港事務所

    以下の場所でドローンを飛ばす際には、その地域を管轄する空港事務所が申請先となります。
    • 空港周辺の空域
    • 150m以上の空域

    ②航空局

    以下の場所・飛行方法でドローンを飛ばす際には、東京航空局または大阪航空局が申請先となります。
    • DID地区
    • 夜間飛行
    • 目視外飛行
    • 人や建物との間の距離が30m未満の飛行
    • イベント会場上空における飛行
    • 危険物の輸送
    • 物件の投下
    どちらの航空局が申請先となるかは、ドローンを飛ばすことを予定している地域によって分かれています。

    (4)農薬散布用ドローンを飛ばす場合

    農薬散布用のドローンを飛ばすためには、申請書とは別に空中散布事業計画書を提出する必要があります。空中散布事業計画書には、以下のような事項を記入・作成し、各都道府県協議会へ提出する必要があります。
    • 実施主体名
    • オペレーター名
    • 機体登録番号
    • 実施場所
    • 実施予定月日
    • 作物名
    • 10a当たり散布量、など
    農業散布用ドローンに関しては、既に見たように、農薬の散布が「物件投下」にあたるため、飛行予定地域に応じた航空局が申請先となります。 そのため、申請書と空中散布事業計画書の提出先は異なりますのでご注意ください。さらに、空中散布事業計画書の提出期限も申請書とは異なり、農薬散布の予定日の前月末までとなっていますので、この点も注意してください。 ※空中散布事業計画書の提出先について、詳しく知りたい方は、農林水産省が出している「無人航空機による空中散布等の実施計画・実施に係る報告先機関の一覧」をご覧ください。 【事業計画書様式】 農林水産省ホームページの「空中散布等における無人航空機利用技術指導指針」からダウンロードできます。

    7 小括

    まとめ 農薬散布用のドローンとはいえ、基本的には通常ドローンと同様の規制を受けることになります。特に、農薬散布=物件投下にあたるとされていますので、農薬散布用ドローンを飛ばす際には、必ず国土交通大臣の承認を受ける必要があります。 また、農林水産航空協会による技能認定など、知っておくべき制度もあります。 農薬散布用を含むドローンに対する法律規制・技能認定制度などを十分に理解したうえで、安全にドローンを飛ばすようにしましょう。

    8 まとめ

    これまでの解説をまとめると、次のようになります。
    • ドローンを飛ばすためには、技術基準適合証明を受けていないかぎり、総務大臣の免許を受ける必要がある
    • 5.8GHz帯を使用するドローンは、技適マークの有無にかかわらず、総務大臣の免許が必要である
    • 電波法に違反すると、①最大1年の懲役、②最大100万円の罰金のいずれかを科される可能性がある
    • 農薬散布用ドローンについても、基本的に「免許」は必要ない
    • 法的拘束力はないものの、農林水産省は農林水産航空協会による技能認定を受ける必要があることを指針で示している
    • 認定オペレーターになるための教習は、①満16歳以上であること、②視力・聴力が正常であること、③運転免許証などの身分証明書が提出できること、④心身ともにオペレーターとしての適正があることの4点をすべてみたしている必要がある
    • 「無人航空機」といえるためには、①飛ばすことが可能な機体であること、②人が乗れないこと、③遠隔操作or自動操縦が可能であること、④機体が200g以上であることが必要である
    • 空港周辺や人口密集地域、高度150m以上でドローンを使用する場合は、国土交通大臣の許可が必要である
    • 農薬散布用ドローンを飛ばす際には、特に、①ドローンから物を落下しないこと、②ドローンと人や物件との距離を30m以上に保つこと、③爆発物などの危険物を輸送しないこと、④日中に飛ばすこと、というルールとの関係で問題となる
    • 農薬の散布は物の投下にあたるため、国土交通大臣の承認が必要である
    • 航空法で規制される飛行場所や飛行方法で、許可・承認を受けずに、ドローンを飛ばすと、最大50万円の罰金を科される可能性がある
    • 法人の業務などの一環で、その従業員などが航空法に違反した場合には、ドローンを操縦した者に加え、その法人に対しても、最大50万円の罰金を科せられる可能性がある
    • 農薬散布用のドローンを飛ばすためには、申請書とは別に空中散布事業計画書を提出する必要がある
    AUTHOR
    勝部 泰之

    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。 一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1・清水研究室)。

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