ドローンを用いたソーラーパネル点検の法律規制を弁護士が5分で解説
2019.03.17

この記事の目次
はじめに
近時、ソーラーパネル点検を効率的に行うために、ドローンが活用され始めています。
もっとも、ソーラーパネル点検もドローンを使うとなると守らなければならない法律やルールがたくさんあります。「航空法」や「電気事業法」「FIT法」といった難解な法律があり、しかも、きちんと守らないでいると大きなペナルティを受けてしまうものばかりです。点検が目的であっても、ドローンは自由に飛ばせるものではないのです。
そこで今回は、主にソーラーパネル点検をドローンで行いたい事業者やソーラパネル設置者向けに、具体的にどういった法律規制があり、何を守らなければいけないのか、ITに強い弁護士が詳しく解説していきます。
従来、ソーラーパネル点検は、人が赤外線カメラをもち、ソーラーパネル一つ一つを目視で確認するという方法で行われていました。破損や汚れなど不具合を起こしたパネルがあれば異常発熱を起こすため、異常発熱がないかを赤外線カメラでチェックしていたのです。
最近では、広大な土地に太陽光パネルを並べる大規模な太陽光発電が行われています。このような大規模な太陽光発電は「メガソーラー」と呼ばれています。このようなメガソーラーを、従来のやり方で点検するとなると、そこには多くの人員(人件費)と作業時間が必要になり、ものすごく非効率です。
そこで、ドローンの登場です。
ドローンに赤外線カメラを搭載し、ソーラーパネルの上を飛ばすことで、大量のソーラーパネルをまとめて確認できるため、少人数・短時間での確認が可能になります。
また、ソーラーパネルが屋上や傾斜地など人が点検することが困難な場所に設置されている場合も、ドローンを使えば簡単に点検を行うことができます。
このように、ドローンでソーラーパネルを点検することには様々なメリットがあるため、近時、ソーラーパネル点検にドローンを活用する動きが活発化しています。もっとも、ドローンは自由にいつでも飛ばせるわけではなく、ソーラーパネル点検においても同様で法律に書かれた厳しいルールを守って飛ばす必要があります。その中でも特に注意しなければいけないのが空のルールを定めた「航空法」です。
「航空法」とは、航空機の安全運航や秩序を守ることを目的とした法律です。空の秩序を守るため、ドローンも「無人航空機」として規制の対象となっています。
規制の対象となる「無人航空機」とは、以下の4つの条件すべてをみたしたものをいいます。
上の画像は東京近郊の人口集中マップですが、赤く色がついている所が人口集中地区です。東京23区は人口集中地区にあたることになります。
このような人口集中地区では、国の許可なくドローンを飛ばすことはできません。
ソーラーパネルの設置場所についても、人が少ないように見えて、実は人口集中地区に指定されている可能性があります。指定されている場合は、国の許可を得たうえで、ドローンを飛ばす必要があります。
もっとも、広大なメガソーラーやソーラーパネルが平地ではない場所に設置されている場合、操縦者の目が届かないケースがあると考えられます。
このような場合も「目視外飛行」にあたるため、国の承認が必要になります。
なお、承認を受けるにあたっては、「機体」・「操縦者」・「安全確保のための体制」という3つの基準について、それぞれ以下の事項を満たす必要があります。
もっとも、ソーラーパネルの設置場所との関係で、30m以上の距離を保つことが難しいケースも想定されます。このような場合でも、可能であれば、国からの承認を必要とすることなく、ドローンを飛ばしたいですよね。
この場合、本人や物件の管理者から、30m以内での飛行の了承をもらうことにより、国からの承認を必要とすることなく、ドローンを飛ばすことが可能となります。
以上のように、ドローンを飛ばす「場所」や「方法」によっては、国の許可や承認が必要になる場合があります。
国の許可や承認が必要であるにもかかわらず、許可や承認を受けずにドローンを飛ばしてしまった場合には、航空法違反となり、次項で解説するペナルティを受けることになります。
※航空法による法律規制について、詳しく知りたい方は、「ドローン企業が知るべき航空法とは?3つのポイントを弁護士が解説!」をご覧ください。
航空法に違反した場合、
ドローンを飛ばすための許可・承認を受けるためには、まずは、そのための申請を行う必要があります。
※各提出先の連絡先については、国土交通省が出している「本省運行安全課、地方航空局及び空港事務所の連絡先等一覧」をご覧ください。
航空法以外に留意しなければいけない法律規制は以下の2つです。
ドローンは好きなタイミングで飛ばせるものではありません。飛行場所や飛行方法について定めた航空法のルールをきちんと守る必要があります。これは、ソーラーパネルの点検にドローンを用いる場合であっても同じです。
にもかかわらず、航空法のルールに違反してドローンを飛ばすと、航空法違反となり、ペナルティを受ける可能性があります。
このようなことにならないためにも、航空法のルールを十分に理解したうえで、適切にドローンを飛ばすようにしましょう。
1 ソーラーパネル点検におけるドローンの導入
従来、ソーラーパネル点検は、人が赤外線カメラをもち、ソーラーパネル一つ一つを目視で確認するという方法で行われていました。破損や汚れなど不具合を起こしたパネルがあれば異常発熱を起こすため、異常発熱がないかを赤外線カメラでチェックしていたのです。
最近では、広大な土地に太陽光パネルを並べる大規模な太陽光発電が行われています。このような大規模な太陽光発電は「メガソーラー」と呼ばれています。このようなメガソーラーを、従来のやり方で点検するとなると、そこには多くの人員(人件費)と作業時間が必要になり、ものすごく非効率です。
そこで、ドローンの登場です。
ドローンに赤外線カメラを搭載し、ソーラーパネルの上を飛ばすことで、大量のソーラーパネルをまとめて確認できるため、少人数・短時間での確認が可能になります。
また、ソーラーパネルが屋上や傾斜地など人が点検することが困難な場所に設置されている場合も、ドローンを使えば簡単に点検を行うことができます。
このように、ドローンでソーラーパネルを点検することには様々なメリットがあるため、近時、ソーラーパネル点検にドローンを活用する動きが活発化しています。もっとも、ドローンは自由にいつでも飛ばせるわけではなく、ソーラーパネル点検においても同様で法律に書かれた厳しいルールを守って飛ばす必要があります。その中でも特に注意しなければいけないのが空のルールを定めた「航空法」です。
2 航空法による法律規制
「航空法」とは、航空機の安全運航や秩序を守ることを目的とした法律です。空の秩序を守るため、ドローンも「無人航空機」として規制の対象となっています。
規制の対象となる「無人航空機」とは、以下の4つの条件すべてをみたしたものをいいます。
- 飛ぶことができる機体であること
- 人が乗れないこと
- 遠隔操縦または自動操縦ができること
- 機体の重さが200g以上であること
- 飛行場所(飛行禁止区域)
- 飛行方法(飛ばし方)
(1)飛行「場所」の規制
航空法は、以下の3つの場所でドローンを飛ばすことを禁止しています。- 空港などの周辺地域(★)
- 150メートル以上の高度
- 人口密集地域(DID地区)(★)
①空港などの周辺地域
空港などの周辺地域では、国の許可なくドローンを飛ばすことは禁止されています。飛行機やヘリコプターの離着陸の際にドローンと接触し、事故に発展する可能性があるからです。 もっとも、長崎空港や福島空港のように、空港周辺にメガソーラーが設置されていることもあります。 このように空港周辺に設置されたソーラーパネルの点検のためにドローンを飛ばす際には、国の許可が必要となります。 なお、空港周辺のドローン飛行が禁止されている高度やエリアは各空港によって異なりますので、国土交通省の「進入表面等の設定状況」をご確認ください。②150メートル以上の空域
航空法において、航空機は150メートル以上の高度で飛行することとなっているため、ドローンなどの無人航空機は、航空機との接触がないよう、150メートル未満の高度で飛行しなければなりません。 ドローンを150メートル以上の高度で飛ばす場合は、国の許可が必要となります。③人口集中地区(DID地区)
ドローンを飛ばす場合に想定される事故としては、航空機との接触事故のほかに、ドローンの落下事故が挙げられます。ドローンが落下すると、地上にいる人や物に危害を及ぼす可能性があります。そのため、「人や物の安全を確保する」という観点から、このルールが定められました。 「人口集中地区」の範囲については、国土地理院の「人口集中地区マップ」で確認することができます。
上の画像は東京近郊の人口集中マップですが、赤く色がついている所が人口集中地区です。東京23区は人口集中地区にあたることになります。
このような人口集中地区では、国の許可なくドローンを飛ばすことはできません。
ソーラーパネルの設置場所についても、人が少ないように見えて、実は人口集中地区に指定されている可能性があります。指定されている場合は、国の許可を得たうえで、ドローンを飛ばす必要があります。
(2)飛行「方法」の規制
ドローンを以下の6つの方法で飛ばすことは禁止されています。- 夜間の飛行
- 目視外飛行(★)
- 人や建物などとの間の距離が30m未満の飛行(★)
- イベント会場上空の飛行
- 爆発物などの危険物の輸送
- 物の投下禁止
①【規制②】目視外飛行
ドローンやその周辺の状況を正確に把握できていなければ、ドローンを安全に飛ばすことはできません。そのため、ドローンを飛ばす人が直接その目でドローンの位置や周りの状況を確認しなければなりません。
もっとも、広大なメガソーラーやソーラーパネルが平地ではない場所に設置されている場合、操縦者の目が届かないケースがあると考えられます。
このような場合も「目視外飛行」にあたるため、国の承認が必要になります。
なお、承認を受けるにあたっては、「機体」・「操縦者」・「安全確保のための体制」という3つの基準について、それぞれ以下の事項を満たす必要があります。
-
【機体】
- 自動操縦システムの装備
- 機体の位置および異常を地上で把握できること
- 自動帰還機能などの危機回避機能の装備
-
【操縦者】
- モニター越しに意図した飛行が可能な能力
-
【安全確保のための体制】
- ドローンの飛行状況や周囲の気象状況の変化を常に監視できる補助者の配置
②【規制③】人や建物などとの間の距離が30m未満の飛行
ドローンを飛ばす際には、ドローンと人や建物など(物件)との直線距離が30m以上離れていることが必要とされています。距離が近すぎると、ドローンがぶつかり人や建物などを傷つけてしまうリスクがあるからです。 そのため、人などとの間が30m未満の距離でドローンを飛ばす際には、国の承認が必要になります。ⅰ「人」や「建物など(物件)」とは?
「物件」とは、以下のいずれかにあたるものをいいます。- 中に人が存在することが想定される機器
- 建築物その他の相当の大きさを有する工作物など
ⅱ「人」や「建物など(物件)」に含まれないもの
「物件」には土地そのものや樹木は含まれません。 ここでいう「人」や「物件」には、ドローン飛行の関係者や関係者が管理する物は含まれません。そのため、ソーラーパネルの設置者が、自分で点検するためにドローンを飛ばす際には、ソーラーパネルとの距離が30m未満でも問題ありません。 また、設置者から点検を依頼された事業者がドローンを飛ばす際にも、設置者は関係者といえるため、ソーラーパネル・設置者との距離が30m未満でも問題ありません。 一方で、設置者が管理していない周辺の住居や自動車は、ドローン飛行の関係者が管理する物には含まれないため、ドローンとの距離を30m以上保つ必要があります。 このことをまとめると、以下の図のようになります。
もっとも、ソーラーパネルの設置場所との関係で、30m以上の距離を保つことが難しいケースも想定されます。このような場合でも、可能であれば、国からの承認を必要とすることなく、ドローンを飛ばしたいですよね。
この場合、本人や物件の管理者から、30m以内での飛行の了承をもらうことにより、国からの承認を必要とすることなく、ドローンを飛ばすことが可能となります。
以上のように、ドローンを飛ばす「場所」や「方法」によっては、国の許可や承認が必要になる場合があります。
国の許可や承認が必要であるにもかかわらず、許可や承認を受けずにドローンを飛ばしてしまった場合には、航空法違反となり、次項で解説するペナルティを受けることになります。
※航空法による法律規制について、詳しく知りたい方は、「ドローン企業が知るべき航空法とは?3つのポイントを弁護士が解説!」をご覧ください。
3 航空法に違反した場合の罰則(ペナルティ)
航空法に違反した場合、
- 最大50万円の罰金
- 就職・転職の際に不利になる可能性がある
- 資格制限を受けたり、欠格事由にあたる可能性がある
- 渡航制限を受ける可能性がある
4 航空法上の許可・承認申請のやり方
ドローンを飛ばすための許可・承認を受けるためには、まずは、そのための申請を行う必要があります。
(1)申請の種類
申請をするにあたり、まず検討しなければならないのが、どの申請を行うかという点です。というのも、ドローンの飛行許可申請には以下の2つの申請パターンが用意されているからです。- 個別申請
- 包括申請
①個別申請
「個別申請」とは、 飛行日や飛行経路(飛行場所)を特定して行う申請です。最も基本的で一般的な申請方法です。②包括申請
「包括申請」とは、飛ばす日や、飛行場所に範囲を設けて行う申請方法です。 たとえば、飛行期間を「1年間」、飛行範囲を「東京都全域」といった内容で行う申請が「包括申請」です。 もっとも、包括申請を行った場合には、以下のタイミングで飛行実績の報告が必要となりますので留意が必要です。- 許可・承認期間の開始日からり3ヶ月ごと
- 許可・承認期間の終了時
(2)申請書の提出先
申請書の提出先は以下の3つのいずれかになります。- 空港事務所
- 航空局
- 国土交通大臣
※各提出先の連絡先については、国土交通省が出している「本省運行安全課、地方航空局及び空港事務所の連絡先等一覧」をご覧ください。
(3)申請方法
申請方法は、以下の4つが用意されています。- 郵送
- 窓口に持参
- オンライン申請
- 電話、電子メールまたはファクシミリ
5 航空法以外に留意すべき規制
航空法以外に留意しなければいけない法律規制は以下の2つです。
- 電気事業法
- FIT法(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)
- 最大30万円の罰金
6 小括
ドローンは好きなタイミングで飛ばせるものではありません。飛行場所や飛行方法について定めた航空法のルールをきちんと守る必要があります。これは、ソーラーパネルの点検にドローンを用いる場合であっても同じです。
にもかかわらず、航空法のルールに違反してドローンを飛ばすと、航空法違反となり、ペナルティを受ける可能性があります。
このようなことにならないためにも、航空法のルールを十分に理解したうえで、適切にドローンを飛ばすようにしましょう。
7 まとめ
これまでの解説をまとめると、以下のようになります。- 「航空法」はドローンについて、①飛行場所、②飛行方法という2つの視点からルールを設けている
- 飛行「場所」の規制として、①空港などの周辺地域、②150メートル以上の高度、③人口密集地域(DID地区)という3つの場所における飛行を禁止している
- 飛行「方法」の規制として、①夜間の飛行、②目視外飛行、③人や建物などとの間の距離が30m未満の飛行、④イベント会場上空の飛行、⑤爆発物などの危険物の輸送、⑥物の投下禁止という6つの方法による飛行を禁止している
- 国の承認を得て目視外飛行を行うためには、①機体、②操縦者、③安全確保のための体制の基準を満たす必要がある
- ドローン飛行の関係者や関係者が管理する物に対しては、30m未満の距離での飛行も可能である
- 航空法に違反した場合、最大50万円の罰金を科される可能性がある
- 航空法上の許可・承認申請には、①個別申請と②包括申請の2つがある
- 申請書の提出先は、①空港事務所、②航空局、③国土交通大臣のいずれかである
- 申請方法としては、①郵送、②窓口に持参、③オンライン申請、④電話、電子メールまたはファクシミリの4つがある











