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事業承継とは?初心者でもわかる!事業承継3つのポイント

2017.06.102017.06.10
【コンテンツ④事業承継】その2
この記事の目次
    はじめに ITの会社を創業し何十年と会社を運営してきて、「正直疲れた」「もう引退したい」「でも適当な後継者がいない」・・・ということで、お悩みの経営者様は多いのではないでしょうか? 引退を考えた経営者がやらなければならないのは、「事業承継」という方法です。 事業承継については、「事業承継のセミナー・資格・本」などいろいろな媒体で解説されています。 ですが、税制がなんだとか、M&Aやら種類株式など、こむずかしい説明ばかりで正直さっぱりわからないですよね。 ただ、「さっぱりわからない」で済まされないのが、事業承継です。 経営者自身が事業承継のポイントを理解していないために、無用なトラブルが発生し、事業承継を失敗してしまった事例はたくさんあります。 実際、全国の中小企業の数は、約430万社以上もありますが、毎年、7万社もの企業が、有能な後継者がいないなどの理由で、事業承継に失敗しています。 経営者の方は、事業承継の細かいところまで知る必要はありませんが、勘所・ポイントだけは押さえておく必要があります。 そこで、今回は、経営者が事業承継をスムーズに実現するために必要な3つのポイントを解説していきます。

    1 事業承継とは

    「事業承継」とは、会社の経営者が、自社の経営権などを後継者に譲って、後継者に事業そのものを引き継ぐことをいいます。 ただ、「事業承継」と一口に言っても、その内容を分解すると、
    • 後継者を誰にするのか
    • オーナーシップ(株式)を誰にどの程度持たせるのか
    • 税金・相続問題をどうするか
    の問題に切り分けることができます。

    この記事を書いた人

    勝部 泰之勝部 泰之弁護士
    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。
    一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科に在籍中。主な興味分野は経営学、高次元統計、自然言語処理、ゲーム理論、金融アルゴリズム、ブロックチェーン。
    研究リポジトリはこちら↗

    2 事業承継が増えている背景

    近時、事業承継が注目されている理由は、戦後に設立された数多くの中小企業による後継者不足が原因とされています。 戦後、いわゆる「団塊の世代」の経営者が多くの中小企業を作りましたが、直に、この世代が、大量かつ一斉にリタイヤすることになります。 多くの中小企業の経営者は、事業承継のことなどは考えずに(当然、何らの準備もせずに)定年を迎えるのが実情です。 そのため、いざ事業承継をしようという段階になったときには、後継者となるべき人物と親族、あるいは株主との間で、それぞれの思惑が衝突します。 その結果、多くの企業の経営が立ち行かなくなるのではないか?ということが問題視されているのです。

    3 事業承継のポイント①

    事業承継の1つ目のポイントは、「誰に」事業を承継させるかという点です。 承継先の候補として考えられるのは、
    1. 親族
    2. NO.2の役員や従業員
    3. M&Aによる承継
    の3つです。 一昔前は、事業承継といえば、子供や孫などの親族に承継させるのが普通でした。 ですが、それ以外にも、
    • 自社役員への承継(MBO:Management Buyout、経営陣による買収。)や、
    • 合併などの手法で事業を第三者へ売却する形での事業承継(M&A:merger and acquisition、企業買収。)
    という手法も考えられます。 実際、最近のデータでは、
    • 親族への承継が35%、
    • 親族以外の承継が65%
    となっており、役員や従業員への事業承継、M&Aでの事業承継が頻繁に利用されています。 出展: http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/jigyousyoukei/2016/160426jigyousyoukei5.pdf 現経営者の親族だからといって、必ずしも有能であるとは限らず、むしろ、中には会社を私物化して、企業価値をおとしめる二代目経営者も少なくありません。 他方で、親族以外でも、会社の内情を熟知し、会社をけん引してきた役員などの方が、(現経営者の思惑は別としても)企業価値の維持・向上の観点からは後継者にふさわしい場合がありえます。 また、会社内部にも適任がいない場合には、事業を企業価値を高めてくれそうな企業に売却してしまうM&Aの手法も優れた手法といえます。 このような背景から、近時、親族への承継以外の事業承継が増えているのです。 以上を踏まえて、現経営者は、事業承継における後継者選びをする際には、「身内に任せればいいや」と安易に考えるのではなく、「誰を後継者に選べば企業価値の維持・向上に資するのか」という視点から、事業承継スキームを選びましょう。

    4 事業承継のポイント②

    事業承継の2つの目のポイントは、「種類株式の発行」など「会社法」という法律を活用することです。 「会社法」とは、会社にまつわるルールが書かれた堅苦しい法律です。 しかし、そこには、事業承継をする経営者にとって、とても便利な事業承継ツールが用意されています。 特に、「種類株式の発行」という株式に関するルールは、非常に使えるツールです。 「種類株式」を説明します。 普通の「株式」には、会社から配当をもらい、かつ、会社の経営に口を出す権利(議決権)が与えられています。 他方で、「種類株式」とは、普通の株式に認められた権利を制限したり、新しい権利を追加したりと、株主のニーズに応じてオーダーメイドされた株式のことをいいます。 事業承継の局面では、例えば、後継者となる人物へ株式を集中させたいが、ほかの口うるさい株主がそれを認めてくれない、という場合があります。 このような場合には、経営に口出しされると困る株主に対して、議決権を制限しつつ、その見返りとして配当を優先的にもらえる種類株式を発行する(議決権制限+優先配当株式)、あるいは、「無議決権株式」といって、議決権を完全に奪う株式を発行することで対処する手法がよく使われます。 また、後継者が経験未熟で会社を私物化してしまう恐れがある場合には、「黄金株」(拒否権付株式)といって、その保有者がNO!と言えば、後継者の独断で会社の重要事項を決定できなくする株式を発行し、現経営者に持たせておくこともできます。 このように、個々の会社の状況や現経営者の事業承継ニーズに応じて種類株式を活用することで、スムーズに事業承継を進めることができます。

    5 事業承継のポイント③

    事業承継の3つ目のポイントは、税務問題と相続問題をうまい具合にクリアすることです。 事業承継でネックなのは、後継者選びやオーナーシップ(株式の保有割合など。)をうまく整えたとしても、株式譲渡や種類株式の発行に関連して、高額な税金を納めなくてはならないことがあります。 この点については、
    • 「事業承継税制」( http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2013/130517flyer.pdf )や
    • 相続税や贈与税の「納税猶予制度」(http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/pamphlet/2012/download/1003Shoukei-2.pdf )
    など活用することで、無用な税務負担を回避しましょう。 また、後継者(例えば、自社役員。)に自社株を集中すると、他の親族から「私たちの取り分が少ないのはおかしい!」といった不満が爆発し、遺留分減殺請求という妨害を入れられるリスクがあります。 このようなことが起きないように、現経営者は、事前に「経営承継円滑化法」に基づく「除外合意」( http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/pamphlet/2012/download/1003Shoukei-3.pdf )などを活用することで、これらリスクを未然に回避するようにしましょう。

    6 まとめ

    これまでの解説をまとめると、以下のようになります。
    • 事業承継には、3つのポイントがある
    •   ■ポイント①:後継者は、事業価値の維持・向上できる人を選ぶこと   ■ポイント②:オーナーシップは承継ニーズに応じてカスタマイズすること   ■ポイント③:税金・相続問題は、各種制度を使ってうまく回避すること
    • 経営者は、以上の3つのポイントを理解し、現役時代に事業承継の準備を整えておくこと
    AUTHOR
    勝部 泰之

    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。 一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1・清水研究室)。

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