購入型クラウドファンディングとは?2つのポイントを弁護士が解説!
2019.10.24

この記事の目次
はじめに
クラウドファンディングは、誰でも簡単に多くの人からお金を出してもらって自分のアイデアを実現することができるため、資金調達の方法として注目されています。
なかでも「購入型」のタイプは特に有名であるため、クラウドファンディングに興味のある事業者のなかには、「購入型」をやってみたいと考えている方も多いのではないでしょうか?
もっとも、そもそも「購入型」とはどういうものなのか、よくわかってない事業者の方も多いと思われます。
そこで今回は、「購入型」とはどのようなものかといったことから、「購入型」の実施の流れやメリット・デメリットなどを事業者が注意すべきポイントとあわせて弁護士がわかりやすく解説していきます。
このように、購入型クラウドファンディングは、
購入型クラウドファンディングを実施する主なメリットは、以下の2点です。
購入型クラウドファンディングを実施する主なデメリットは、以下の2点です。
購入型クラウドファンディングを実施する事業者は、以下の2つのルールを守らなければなりません。
「購入型」を実施する事業者は、出資者に提供するリターンを出資額とつり合っていないものに設定しないように気を付けてください。
どのようなものが出資額とつり合っていないとされるかというと、たとえば、以下のようなものが考えられます。
「購入型」の成功例としては、たとえば、以下のようなプロジェクトがあります。
このように、事業者は、クラウドファンディング提供会社を通して、
https://camp-fire.jp/readyfor
CAMPFIREの主な特徴は、以下のとおりです。
https://www.makuake.com/apply/
Makuakeの主な特徴は、以下のとおりです。
「購入型」はクラウドファンディングのサイトを利用すれば誰でも簡単にできるし、事業者にとって、お金を集める以上に、新しく開発する商品やサービスを事前に宣伝できたりするなど、多くのメリットがあり非常に魅力的なものであるといえます。
もっとも、「購入型」を実施するには、特商法や民法の瑕疵担保責任など守らなければいけないルールがあります。ルールを守らないで実施すると、罰則(ペナルティ)を科される可能性もあるため、事業者はしっかりとルールを守って実施しているかを確認する必要があります。
1 購入型クラウドファンディングとは?
(1)購入型クラウドファンディングとは?
「購入型クラウドファンディング」とは、事業者が、商品・サービスを開発するために不特定多数の人から出資を募り、その対価として開発した商品・サービスをリターンとして提供する資金調達方法のことをいいます。 購入型クラウドファンディングは、以下のような流れで進行します。
このように、購入型クラウドファンディングは、
-
- プロジェクトの起案・掲載
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- 出資する
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- お金をわたす
- 商品やサービスをリターンとしてわたす
①プロジェクトの起案・掲載
事業者は、「〇〇を作るために●円を集めたい」といった内容の企画(=プロジェクト)を起案し、クラウドファンディング提供会社のサイトにプロジェクトを掲載してもらいます。②出資する
支援者や投資家などの出資者に、プロジェクトに対して一口●円といった形でお金をだしてもらいます(=出資)。③お金をわたす
クラウドファンディング提供会社から事業者に対し、プロジェクトに集まったお金が渡されます。その際、集まったお金の中から、クラウドファンディングを仲介してもらった手数料が差し引かれます。④商品やサービスをリターンとしてわたす
事業者は、出資してくれた支援者や投資家に対して、出資のお礼として、プロジェクトで開発した商品やサービスをリターンとして提供します。 購入型クラウドファンディングは、このような仕組みで実施されますが、この「購入型」は、以下で見るように2つの方式に分かれます。(2)購入型クラウドファンディングの方式
「購入型」は、集まった資金の受け取り方で、以下の2つの方式に分かれます。- 「All or Nothing」
- 「All in」
①「All or Nothing」
「All or Nothing」とは、事業者の起案したプロジェクトが、目標金額に達してプロジェクトをスタートすることができる場合のみ、出資金を受け取れる方式をいいます。 そのため、目標としていた金額に達さなかった場合には、プロジェクトをスタートさせることができず、事業者は出資金を受け取ることはできません。 このように、All or Nothing方式では、目標金額に達さないと、集まったお金は出資者に全額返金されることになるため、出資者にとってはリスクが低く、出資が集まりやすいといえます。②「All in」
「All in」とは、事業者の起案したプロジェクトが、目標金額を集めることができなかったとしても、事業者がそれまでに集めたお金を受け取ることができる方式をいいます。 All in方式は、事業者にとっては、お金を必ず受け取れるというメリットがあります。 もっとも、目標金額に達していないため、プロジェクトが失敗に終わることも想定されます。その場合、出資者は、リターンももらえず、また、出資したお金も返してもらえないというリスクを負うことになるため、その意味ではデメリットが大きいといえます。 そのため、出資者にとっては、All or Nothing方式によるよりも、出資することへの障害が高くなります。 以上のような特性を踏まえると、以下のようなケースであれば、出資者にとってもリスクが軽減されるため、出資を受けられる可能性が高くなると考えられます。- プロジェクトを実施することが確実に決まっている
- 途中までプロジェクトを実施しているけど追加資金が欲しい
2 購入型クラウドファンディングのメリット
購入型クラウドファンディングを実施する主なメリットは、以下の2点です。
- 商品のPRができる
- テストマーケティングができる
(1)商品のPRができる
まだ世に出ていない商品やサービスを開発するためにお金を集めようとする事業者は、「購入型」を選択することが多いようです。 事業者にとって、新しい商品やサービスが本当に売れるのか、ということは、一番の関心事でもあります。 そこで「購入型」を利用することにより、新しく開発する商品やサービスのプロジェクトを公開し、多くの人に知ってもらうことで、新しい商品やサービスを宣伝することが可能になります。 また、クラウドファンディング提供会社も、webや紙媒体などでプロジェクトを宣伝してくれるため、より広く新しい商品やサービスについて消費者にPRすることができます。(2)テストマーケティングができる
「テストマーケティング」とは、新しく開発した商品やサービスを一般に提供する前に、地域や期間などを限定した市場で、消費者におためしで販売して、その反応をみるという実験のことをいいます。 「購入型」では、出資者に対するリターンとして、開発した商品やサービスを提供することが多いため、開発した商品やサービスを、一般に提供する前に、出資者におためしで使ってもらうことができます。 そのことにより、出資者から意見を聞くことができ、商品やサービスの改善点、顧客層の情報などを得ることができます。 このように、「購入型」を活用することにより、事業者は商品・サービスの向上に役立てることができます。 このほかにも、- 集めたお金を出資者に返さなくてよい(※「All or Nothing」の場合は除く)
- インターネットを使って手軽にお金を集めることができる
3 購入型クラウドファンディングのデメリット
購入型クラウドファンディングを実施する主なデメリットは、以下の2点です。
- アイデアの流出
- 広報活動が必要になる
(1)アイデアの流出
事業者は、出資者を集めるために、プロジェクトの概要として、新しく開発する商品やサービスについて詳しく説明を載せています。 そのため、その商品やサービスについて、誰もが詳しく知ることができるため、そのアイデアを盗まれ、事業者よりも先に商品やサービスを開発されて市場に出されたり、類似品を作られたりする可能性があります。(2)広報活動が必要になる
プロジェクトを公開しさえすれば、資金が集まるというわけではありません。クラウドファンディングサイトにおいて、独自の広告媒体などを持っている場合には、プロジェクトを宣伝してくれることもありますが、事業者自身もSNSで宣伝するなどして、プロジェクトの存在を周知したり、支援者を集めることが必要になってきます。 このように、「購入型」を実施する場合には、せっかく考えた新しい商品やサービスのアイデアが盗まれ、勝手に利用されてしまったり、広報活動が必要になるといった点がデメリットとなります。 そのため、購入型によるクラウドファンディングを検討する場合には、メリットだけでなく、以上のデメリットをきちんと把握しておくべき必要があります。 また、以下で見ていくように、「購入型」を実施する事業者には、一定の規制が課されることとなるため、その点も併せて理解しておくことが必要になります。4 購入型クラウドファンディングのルール
購入型クラウドファンディングを実施する事業者は、以下の2つのルールを守らなければなりません。
- 特定商取引法に基づく表記
- 瑕疵担保責任
(1)特定商取引法に基づく表記
①問題点
「購入型」は、特定商取引法(以下、特商法といいます。)上の「通信販売」にあたるため、特商法のルールを守らなければなりません。 「特商法」とは、消費者の利益を守ることを目的とし、トラブルを生じやすい取引について、事業者が守るべきルールなどを定めている法律です。 「通信販売」とは、広告などを見た消費者が、電話やインターネットなどの通信を利用して商品などを購入することをいいます。 「購入型」では、ネットに掲載されているプロジェクトをみた出資者が、そのサイトを通じて出資し、リターンとして商品やサービスの提供を受けています。 これは、事業者が、クラウドファンディングサイトを通じて商品やサービスを販売していると考えることができるため、「通信販売」にあたるとされています。 そのため、「購入型」を実施する事業者は、以下で見る特商法のルールを守らなければなりません。②事業者が守るべきルール
事業者が守るべき特商法上のルールとしては、以下の2点が挙げられます。 (ⅰ)表示義務 (ⅱ)誇大広告 (ⅰ)表示義務 事業者は、出資者に対して「特定商取引法に基づく表記」という広告の表示を義務付けられています。 表示しなければいけない事項は、たとえば、以下のとおりです。- 事業者の名前
- 会社の所在地や連絡先
- 商品の販売価格、サービスの対価
- 代金(=出資金)の支払時期や支払方法
- リターンの引渡時期、サービスの提供時期
- 事実とかけ離れている
- 実際のものよりもいいものである
- 実際のものよりもいいものであると誤解させる
- 最大100万円の罰金
(2)瑕疵担保責任
①問題の所在
「購入型」では、出資者がお金を出し、事業者がリターンとして商品やサービスを提供する仕組みになっているため、見かけ上は、出資者が事業者から商品・サービスを購入しているのと同じであり、その意味で「売買」であるということがいえます。 そのため、「購入型」を実施する事業者は、商品などの販売者が負う「瑕疵担保責任」を課されます。 「瑕疵担保責任」とは、販売した商品に「瑕疵(欠陥)」があった場合に、事業者が購入した者に対して負う民法上の責任のことをいいます。 「瑕疵担保責任」の具体的な内容は、以下のとおりです。- 出資者から出資したお金を返してくれといわれる(契約の解除)
- 損害賠償請求をされる
②契約不適合責任
「契約不適合責任」とは、契約内容に合致しない商品を販売した事業者が、その購入者に対して負う責任のことをいいます。 具体的には、- 出資者から出資したお金を返してくれといわれる(契約の解除)
- 損害賠償請求をされる
- 追完請求をされる
- 代金減額請求をされる
5 その他の留意点
「購入型」を実施する事業者は、出資者に提供するリターンを出資額とつり合っていないものに設定しないように気を付けてください。
どのようなものが出資額とつり合っていないとされるかというと、たとえば、以下のようなものが考えられます。
- お礼のメールや手紙
- 自社ホームページへの名前の掲載
- ちょっとした特産品の詰合せ
6 成功例
「購入型」の成功例としては、たとえば、以下のようなプロジェクトがあります。
- 片渕須直監督による『この世界の片隅に』(原作:こうの史代)のアニメ映画化を応援
- 自転車+バイク=glafitバイク スマートな折り畳み式電動ハイブリッドバイク
(1)片渕須直監督による『この世界の片隅に』(原作:こうの史代)のアニメ映画化を応援
【プロジェクト概要】 「この世界の片隅に」という漫画作品をアニメ映画にしようとするプロジェクト-
- 【
-
- 】
-
- 2160万円
- 制作支援メンバーへの会員登録を行うことにより、マスコミより早く進捗状況などがわかる
- 作者の描きおろしイラスト
- 片渕監督による制作裏話の披露、作品資料の配布、本編の一部先行上映などを行うミーティングへの参加権
- 本編のエンドロールに出資者の名前をクレジット
(2)自転車+バイク=glafitバイク スマートな折り畳み式電動ハイブリッドバイク
【プロジェクト概要】 ペダルがついていて、自転車とバイクの両者をあわせたアシスト走行の3タイプの乗り方ができる次世代型の乗り物「glafitバイク」を開発するプロジェクト-
- 【
-
- 】
-
- 300万円
- オリジナルのポロシャツ
- バッテリーなどの付属品
- 様々なカラーのglafitバイク
7 購入型クラウドファンディングサイト
(1)「購入型」の実施の流れ
クラウドファンディング提供会社のサイトを通じて「購入型」を実施すると、以下の図のようになります。
このように、事業者は、クラウドファンディング提供会社を通して、
-
- 相談・申込み
-
- プロジェクトのページを作成
- 審査・公開
①相談・申込み
事業者は、クラウドファンディング提供会社に、自社が予定しているプロジェクトについて問題がないかなどを相談し、同社の提供するサイトを利用するための申込みを行います。②プロジェクトのページを作成
事業者は、自社のプロジェクトについて、概要やリターン、目標金額、募集する期間などを掲載するページを作成します。③審査・公開
プロジェクト実施におけるトラブルを防ぐため、作成したプロジェクトのページは、公開前にクラウドファンディング提供会社によって審査されます。審査通過を経て、そのページがサイトで公開されることになります。(2)サイトの具体例
「購入型」を実施できるサイトとして、以下の2つをご紹介します。- CAMPFIRE
- Makuake
①CAMPFIRE
https://camp-fire.jp/readyfor
CAMPFIREの主な特徴は、以下のとおりです。
- 日本最大規模のサイトであるため、出資者が集まりやすい
- CAMPFIRE独自の融資システムがある
- 日本初のクラウドファンディング保険を備えている
- 手数料が最も安く、集まったお金の振込みも早い
②Makuake
https://www.makuake.com/apply/
Makuakeの主な特徴は、以下のとおりです。
- 特許取得済みの独自の分析ツールを使うことができる
- メディア掲載数が多いため、PR力が大きい
- モノづくりに関するプロジェクトが多い
- プロジェクト実施中に商品を展示したり、後に販売もできる
8 小括
「購入型」はクラウドファンディングのサイトを利用すれば誰でも簡単にできるし、事業者にとって、お金を集める以上に、新しく開発する商品やサービスを事前に宣伝できたりするなど、多くのメリットがあり非常に魅力的なものであるといえます。
もっとも、「購入型」を実施するには、特商法や民法の瑕疵担保責任など守らなければいけないルールがあります。ルールを守らないで実施すると、罰則(ペナルティ)を科される可能性もあるため、事業者はしっかりとルールを守って実施しているかを確認する必要があります。
9 まとめ
これまでの解説をまとめると、以下のとおりです。- 「購入型クラウドファンディング」とは、事業者が、開発した商品・サービスを出資者にお返し(=リターン)として提供するタイプのクラウドファンディングのことをいう
- 「購入型」は、①プロジェクトの起案・掲載、②出資する、③お金を渡す、④商品やサービスをリターンとしてわたす、という流れで行う
- 「購入型」には①「All or Nothing」、②「All in」の2つのタイプがある
- 「購入型」の主なメリットは、①商品のPRができる、②テストマーケティングができるの2点である
- 「購入型」のデメリットは、①アイデアの流出、②広報活動が必要になる、の2点である
- 「購入型」を行う事業者が守るべきルールは、①特定商取引法に基づく表記、②瑕疵担保責任の2点である
- 事業者は、「購入型」を実施する場合、出資者に与えるリターンを出資額に見合わないものに設定しないように留意すべきである
- クラウドファンディング提供会社のサイトを利用する場合、①相談・申込み、②プロジェクトのページを作成、③審査・公開といった流れで手続きを行う
- 「購入型」を行うのに利用するサイトとしては、主に、①CAMPFIRE、②Makuakeの2つが有名である











