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著作権(知財)

著作権法改正がビジネスに与える影響とは?2つの問題を弁護士が解説

2019.05.192025.11.29
著作権法改正
この記事の目次
    はじめに 2019年1月1日に改正著作権法が施行されました。 この改正によって著作物を利用できる条件が緩和されたため、ビジネスチャンスも広がり、これまでは利用できなかった著作物を利用する新しいビジネスを始めようとする事業者が増えてきました。 とはいえ、著作権法が改正されたことにより、具体的にどのようなことができるようになったのかを正確に理解している事業者は少ないのではないしょうか。 浅い理解で著作物を利用してしまうと、「著作権侵害」という事態にもなりかねません。 そこで今回は、著作権法改正のポイントを中心として改正がビジネスに与える影響やその際の注意点などについて、著作権法に詳しい弁護士がわかりやすく解説していきたいと思います。

    この記事を執筆したのは

    弁護士 勝部 泰之
    弁護士・中小企業診断士 勝部 泰之
    東京弁護士会 所属
    注力:知的財産権・著作権/ライセンス、ブロックチェーン、データ・AI法務 GWU Law LL.M.(知的財産法) 事業の成長とリスクを両立する実務寄りの助言に注力しています。
    詳しいプロフィールはこちら

    1 著作権法の改正

    著作権法改正 今回の著作権法の改正は、主に、以下の4点にポイントがあります。
    1. デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備
    2. 教育の情報化に対応した権利制限規定の整備
    3. 障害者の情報アクセス機会の充実に係る権利制限規定の整備
    4. アーカイブの利活用促進に関する権利制限規定の整備
    これらのポイントの中でもビジネスとの関係で特に重要となるのは、【ポイント①】の「デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定」が整備された点です。 「著作権」は、自分が作った画像や文章などの著作物を独占して自由に利用できる権利をいいます。 ただ、他人の作品を模倣・活用して新しい創作物が生まれていくという現在のモノづくりにおけるエコシステムを前提にすると、個人に著作権という独占的な権利を広く認めすぎると、新しい物が生まれにくくなり、社会全体としては損失です。 そこで設けられたのがこの「権利制限規定」です。 「権利制限規定」とは、本来著作物を利用するためには著作権者の許可を受ける必要がありますが、一定の場合に著作権を制限し、著作権者の許可なく自由に著作物を使うことを許すという決まりのことを言います。

    (1)ポイント①:デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備

    従来、実物を直接手にして利用することが多かった写真や音楽などのアナログ情報が、デジタル化が進んだことにより、インターネット上で利用されることが増えてきました。 そこで、このようにネット上で利用されるようになった著作物を、著作権法上いかにして扱うかということが問題となります。 今回の改正は、このような問題に対応することを改正理由の一つとしています。 具体的には、本改正によって、以下の2つの条件をみたす場合には、著作権者に許可をもらうことなく、自由に著作物を使うことができるようになりました。
    1. 著作物の利用が自己利用のためではないこと
    2. 著作権者に対する侵害が軽微であること

    ①著作物の利用が自己利用のためではないこと

    「自己利用のため」というのは、音楽を聴いたりするなどして、著作物に表現された思想などを堪能する主体が自分であることを意味します。このように、「自分で知識を得たい」「自分が堪能したい」といった欲求を満たすための著作物の利用については、著作権者の許可がなければ認められません。 そうすると、以下の5つのような場合は、「自己利用のため」にはあたらないことになります。
    • 技術開発・実用化の試験
    • 情報解析目的
    • 表現の知覚を伴わない利用
    • PC利用の円滑化のため付随的に利用する
    • PCの利用状態維持や回復など
    例えば、「技術開発・実用化の試験」の一例としては、動画圧縮技術の開発のためにTV番組を録画・変換するということが挙げられます。 また、「情報解析目的」の一例としては、AIのディープラーニングの開発が挙げられます。「ディープラーニング(深層学習)」とは、AIがたくさんのデータの中から自分で必要な情報を選んで勝手に賢くなっていく、というとても便利な機会学習手法です。 改正前の著作権法は、たくさんある情報の中からある特徴や法則を見つけ出す機械学習においてだけ、著作物を自由に使うことが認められていました。 今回の改正によって、機械学習だけでなく、さらにディープラーニングにおいても自由に著作物を使うことができるようになり、AI開発がより発展していくことを期待できるようになりました。 これらはいずれも、自分が楽しむために著作物を利用しているのではなく、新しい技術をつくったり、情報を分析したりする目的で著作物が利用されています。 そのため、著作権者の許可なく自由に著作物を使うことができます。

    ②著作権者に対する侵害が軽微であること

    例えば、風景などの写真集を紹介するのに、写真のほんの一部分を使うといったような場合が挙げられます。ほんの少し使うだけであれば、著作物全体を見られることにはならないため、著作権者に対する侵害は軽微であるといえます。 少しだけしか使わないのに何でもかんでも許可をとらないと著作物が利用できない、となると面倒になってしまって、著作物を使いたくなくなりますよね。 著作権法は、著作物に対する権利者の権利を保護することとは別に、著作物をどんどん利用させて社会を発展させようという目的も持っています。著作物のほんの一部の利用であるにもかかわらず、その都度著作権者の許可を求めてしまうと、著作物の利用に消極的になる者が増え、著作物をどんどん利用してもらって社会を発展させようという著作権法の目的が達成できなくなってしまいます。 そこで今回の改正により、「著作権者に対する侵害が軽微であること」といえるような著作物の一部利用であれば著作権者の許可なく著作物を利用することができるようになったのです。

    (2)ポイント②:教育の情報化に対応した権利制限規定の整備

    教育現場において、通信技術を活用して、著作物を利用しやすいようにするためのルールが整備されました。 従来、学校などの授業で使う教材について、著作権者の許可なく自由に利用できたのは、以下の2つの場合に限られていました。
    1. 対面授業において著作物を印刷し、資料として配布すること
    2. 対面授業で使用した資料を、同時中継の遠隔合同授業が行われている教室に送信すること
    この点について、授業に利用できる範囲が狭すぎる!という声が多数あり、教育現場で問題視されていました。 そこで、今回の著作権法改正により、上の2つの場合に加えて、同時中継の遠隔合同授業以外の場合でも、著作権者の許可なく自由に著作物を利用した資料を送信できるようになりました。 例えば、以下のような場合が挙げられます。 (ⅰ)対面授業での予習や復習のために、著作物を利用した資料をメールで送信すること (ⅱ)オンデマンド授業で、著作物を利用した資料や映像を送信すること なお、改正前から認められている対面授業における著作物の配布と、同時中継の遠隔合同授業における著作物の送信は、従来通り、無償で自由に著作物を利用できますが、今回の改正で新たに認められた方法での利用は、一定の補償金の支払いが必要になります。

    (3)ポイント③:障害者の情報アクセス機会の充実に係る権利制限規定の整備

    障害者にもっと著作物に触れてもらう機会を増やすためのルールが整備されました。 従来では、障害者の著作物利用について、以下のことが認められていました。
    1. 本の音訳などを許可なく自由におこなうこと
    2. 音訳などをコピーしたり、ウェブサイトにアップすること
    この点について、障害者が著作物を利用する機会が限られてしまっていることが問題となっていました。 そこで、今回の改正によって、上の2つに加え、以下の2点が認められました。 (ⅰ)対象者として新たに手足が不自由な人を追加した (ⅱ)音訳などをメール送信すること

    (4)ポイント④:アーカイブの利活用促進に関する権利制限規定の整備

    国が持っている文化資料を適切に収集・保存し、その利用を促すことで、知的インフラを強化するためのルールが整備されました。 従来では、国が持っている文化資料の利用について、以下のことが認められていました。
    1. 国会図書館が他の図書館に絶版資料などを送信すること
    2. 美術館などが、展示作品の解説・紹介目的で、小冊子に著作物を掲載すること
    3. 国の審査、補償金の預託を条件として、著作者不明の作品を利用すること
    このように、従来は国の持つ資料を利用する機会が限られていたうえ、著作者不明の作品を利用するにも国の審査を経なければならないなど、スムーズに利用できるものではありませんでした。 そこで、今回の改正により、以下のことができるようになりました。 (ⅰ)国会図書館が海外の図書館にも絶版資料などを送信すること (ⅱ)美術館などが、展示作品の解説・紹介目的で、タブレット端末に著作物を掲載すること (ⅲ)著作権者と連絡が取れた場合に補償金を確実に支払うことができる国や公共団体などに関しては、補償金を預けなくてよい   以上のように、今回の改正により、著作権者の許可を得ることなく著作物を利用できる範囲が広がりました。そのため、ビジネスとの関係においても、これまでに著作物の利用ができずに断念していた分野にまで手を拡げることが可能となりました。 それでは、今回の改正により可能となった点を活かしたサービスにはどのようなものがあるでしょうか。

    この記事を書いた人

    勝部 泰之勝部 泰之弁護士
    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。
    一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科に在籍中。主な興味分野は経営学、高次元統計、自然言語処理、ゲーム理論、金融アルゴリズム、ブロックチェーン。
    研究リポジトリはこちら↗

    2 検索・分析サービスと著作権法との関係

    検索・分析サービス 著作権法改正により、可能になった点を活かしたサービスとして、「検索・分析サービス」があります。

    (1)検索・分析サービス

    「検索サービス」とは、サービスのユーザが、キーワードを入力して自分の欲しい情報がのっている本など(著作物)のデータを提供してもらうサービスをいいます。 例えば、書籍検索サービスなどが検索サービスにあたります。 「分析サービス」の代表的なものとして、「情報分析サービス」があります。 「情報分析サービス」とは、情報を分析することで新しい情報を生み出すサービスのことをいいます。例えば、「論文剽窃サービス」が情報分析サービスにあたります。 「剽窃」とは、他人の物の一部を盗んで自分のものとして使うことを言います。論文剽窃サービスは、例えば、教授が、学生の提出した論文について、すでに発表されている論文をパクっていないかを調べるような場合に使うことができます。 もっとも、書籍検索などは本屋で昔から存在していましたし、その他検索サービスも見かけていましたよね。今回の改正ではいったい何がどう変わったのでしょうか。 まずは、どう変わったかを理解するために、これらのサービスどのような流れで行われるのかをみていきましょう。 以下のような流れで提供されることになります。 このように、「検索・分析サービス」は、
      1. 事業者が情報を集める

    ↓

      1. 集めた情報をためてデータベースを作る

    ↓

      1. ユーザがキーワードでデータベースから情報を検索(リクエスト)

    ↓

    1. ヒットした情報が、事業者からユーザに提供される
    改正前は、このような検索サービスについて、インターネット上のデジタル情報だけが許可なく自由に使える対象とされていました。 具体的に「書籍検索サービス」と「論文剽窃サービス」がどのような流れでユーザに情報提供されるのかを以下の図で見ていきたいと思います。 書籍検索サービスの流れ 論文サービスの流れ このように、書籍検索サービスも論文剽窃サービスも、
      1. 事業者が情報を集める

    ↓

      1. データベースを構築

    ↓

      1. ユーザがデータベースに対して欲しい情報を検索してリクエストする

    ↓

    1. ヒットした情報を、事業者がユーザに提供する
    という流れは同じです。 ですが、どちらのサービスにおいても文章や画像の一部といったアナログ情報を収集の対象としています。 そして、これらの情報(本の表紙の画像や文章の一部、論文の一部)は、作成者が存在するため「著作物」にあたります。 そのため、次の項目で見るような著作権法上の問題があったわけです。 このように、改正前においても、一定の所在検索サービスを提供することは可能でしたが、上の図で挙げたような検索・分析サービスを行うことは著作権法上の問題があったためできませんでした。

    (2)著作権法上の問題

    まずは、下の図をご覧ください。 検索・分析サービス このように、事業者が「著作物」にあたる情報を収集し、データベースをつくる段階で「複製」、ユーザがリクエストし、事業者が「著作物」にあたる情報を提供する段階で「自動公衆送信」の問題が生じていました。 「複製」とは、著作物などを印刷、写真、複写、録音、録画などの方法で再現することをいいます。 「自動公衆送信」とは、サーバーなどに集められた情報にアクセスすると、自動的にその情報がアクセスした者に対し送信されることをいいます。 これらはいずれも著作者に認められた権利であるため、著作者以外の事業者が勝手に行っていいものではありません。 検索・分析サービスにおいて、改正前のこの著作権法上の問題は、以下のように考えられていました。
      • 事業者が情報を集めて、データベースを作る行為

    →「著作物」にあたるデータをコピーするなどして集め、それをもとにデータベースという一つのものを作り上げているといえるため著作物の「複製」にあたる

      • ユーザが、データベースにリクエスト(アクセス)するだけで、結果(欲しい情報)が自動的に送られてくる

    →サーバーなどに集められた情報にアクセスすると、自動的にその「著作物」にあたる情報がアクセスした者に対し送信されるといえるため「自動公衆送信」にあたる

    このような問題が今回の改正により、事業者が情報(著作物)を集めてデータベースを作ることも、ユーザにその情報を提供することも認められ、事業者は新しい検索・分析サービスを提供できるようになりました。 もっとも、今回の改正より以前から、わたしたちが日常的に利用している「WEB検索サービス」は提供することが可能でした。

    (3)WEB検索サービス

    「WEB検索サービス」とは、グーグルやヤフーのように、ユーザがインターネット上の情報を探して、事業者がヒットした情報を提供するサービスのことを言います。 WEBサービスも、事業者が集めた情報を蓄積してユーザに提供するという点で、先に見た検索・分析サービスと同じです。 ですが、WEB検索サービスを提供することは例外的に許されていました。 なぜなら、WEB検索サービスは、改正前に許されていたインターネット上のデジタル情報だけを対象とするサービスであったためです。 もっとも、WEB検索では、URL、スニペット(WEBページ要約部分)、サムネイル(写真や絵などの画像の一部)といった情報が表示されることがあります。この点は、改正前の著作権法で問題にならなかったのでしょうか。 これらのうち、URLは文字列であり「著作物」ではないため、改正前の著作権法においても何ら問題はありませんでした。 ですが、スニペットには、その文章を作った作成者が存在していますし、サムネイルもその画像を撮ったり加工したりした作成者が存在していますので、「著作物」にあたります。 そのため、スニペットやサムネイルを作成者に無断で使ってしまうと、著作権法に違反するようにも考えられます。 ですが、改正前の著作権法において、スニペットとサムネイルだけは、WEB検索結果に使っても著作権法に反しないとされていました。 この理由は、著作権法が改正された理由と同じです。どんな場合でも著作物を利用するたびに許可を取らなきゃいけないとなると面倒であるうえ、使用料が必要となる場合もあるため、著作物が利用されなくなってしまう可能性がありました。そうなると、先にも見た著作権法の目的に反してしまうことにもなりかねません。   以上のように、ここまでは、著作権法の改正により、「検索・分析サービス」についてどのような点が可能となったのかということを中心に解説してきました。 ここで、いまいちど、今回の改正、特に、デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定が整備されたことによって、どのようなことが可能になったのかについて、わかりやすく整理してまとめてみましょう。

    3 改正により可能になったこと

    可能になったこと 「デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備」により、改正されたポイントは、
    1. 収集できる情報の種類
    2. 収集した著作物の「軽微利用」
    という2点です。

    4 改正ポイント①:収集できる情報の種類

    情報の種類 収集できる情報の種類が増え、以下の情報を収集できるようになりました。
    1. インターネット上のデジタルの情報(改正前から可能)
    2. 刊行された本や論文、映像や音声といったアナログ情報(改正により追加)
    例えば、書籍検索サービスにおける文章の一部分の提供だとか、映画検索サービスにおける映像の一部提供などが今回の改正により可能となりました。

    5 改正ポイント②:収集した著作物の「軽微利用」

    著作物の軽微利用 文章や画像のほんの一部なら、著作権者に対する侵害も少ないため、「軽微利用」として、許可なく自由に利用できるようになりました。 では、「軽微利用」とはどの程度のことをいうのでしょうか。 この点は、改正著作権法に具体的な決まりが定められていないため、使う著作物によって判断が変わってくるものと言えます。 例えば、書籍の文章を1ページだけ利用しようとする場合、10ページしかない本と1000ページある本とでは、侵害の大きさが違ってきてしまいますよね。同じ1ページでも、その利用する部分が全体の何パーセントにあたるか、利用する著作物ごとに検討しなければなりません。 また、著作権法は、既に見たように、著作物を利用してもらって社会を発展させることだけでなく、著作権者の利益を保護することも目的としています。そのため、著作物を利用されることにより著作権者がうける侵害はできるだけ軽いものでならなければなりません。 例えば、書籍検索サービスにおいて、本の一部を無断で提供したり、映画検索サービスで、映像の一部を無断で提供することは、原則として、その本や映画の著作権を害するものです。 もっとも、その提供の対象がたった20字ほどの1文であったり、映画の冒頭部分だけといったように、全体から見てほんの一部であれば、侵害の度合いは低いものといえ、著作物の「軽微利用」にあたるといえます。 このような場合には、著作権者の許可なく自由に著作物を利用することができます。 以上のように、「軽微利用」にあたる著作物の利用は許可なく自由に行うことができます。とはいえ、どんな場合でも自由に使えるというわけではありません。次に挙げるように少し注意しなければならないポイントがあります。

    6 その他の留意点

    その他の留意点 著作物の「軽微利用」といえるためには、その対象となる情報の収集・提供について、以下の5つの条件を満たしていなければなりません。
    1. 提供者の同意
    2. 情報収集の禁止
    3. 情報漏えい
    4. 条件の適合性
    5. 連絡先などの明示

    (1)提供者の同意

    ネット上の情報であっても、登録を必要とするもので、登録して初めて得られるような情報は提供者(著作権者)の同意が必要になります。 このような情報は、誰でも自由に利用することが許されている情報ではないためです。

    (2)情報収集の禁止

    タグなどに「情報収集禁止」と付されているものは、収集・提供ができません。

    (3)情報漏えい

    収集した情報の複製物(コピー)などに関する情報がもれないような措置を講じる必要があります

    (4)条件の適合性

    著作物の「軽微利用」といえるためには、そのための条件を満たしていなければなりません。そのため、満たすことが必要となる条件をきちんと理解しておくことが必要です。著作権法に書かれている条件はごちゃごちゃしていてすぐに理解できるという代物でもないため、場合によっては、弁護士などの専門家に相談することを検討しましょう。

    (5)連絡先などの明示

    著作物の「軽微利用」に関し、問い合わせを受けるための連絡先を用意して適切な方法で明示しておくことが必要です。   以上のように、著作物の「軽微利用」といえるためには、5つの細かい注意点がありますので、気を付けましょう。

    7 小括

    まとめ 改正著作権法が施行されたことで、著作物を利用した新しいビジネスチャンスが広がったということがいえます。 また、既存のビジネスにおいても、これまで障害となっていた著作物の利用条件が緩和されたことにより、より使いやすいサービスとして提供できるようになりました。 新しくビジネスを始める事業者はもちろんのこと、既に事業を展開している事業者は、著作権法のどのような部分が改正され、何ができるようになったのかをきちんと把握しておくことが必要です。 自社で勉強しておくことはもちろんのこと、専門家に相談するなどして、今回の改正に応じたビジネスプランをしっかりと立てていくようにしましょう。

    8 まとめ

    これまでの解説をまとめると、以下のようになります。
    • 著作権法の改正のポイントは、①デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備、②教育の情報化に対応した権利制限規定の整備、③障害者の情報アクセス機会の充実に係る権利制限規定の整備、④アーカイブの利活用促進に関する権利制限規定の整備、の4点である
    • ビジネスとの関係で特に重要となる改正は、「デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備」である
    • 改正によって、①自己利用でない、②著作権者に対する侵害が軽微、であるなら、許可なく自由に著作物を使えるようになった
    • 改正によって、「複製」「自動公衆送信」の問題が解決され、検索・分析サービスが提供できるようになった
    • WEB検索サービスは改正前から認められているサービスである
    • 改正によってインターネット上のデジタル情報だけでなく、本や論文などのアナログ情報も収集できるようになった
    • スニペットとサムネイル以外も、軽微利用なら許可なく自由に使えるようになった
    • 軽微利用にあたるためには、①提供者の同意、②情報収集の禁止、③情報漏えい、④条件の適合性、⑤連絡先などの明示、という5つの条件をみたす必要がある
    AUTHOR
    勝部 泰之

    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。 一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1・清水研究室)。

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