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自動運転に関する法律の2つの問題点とは?法改正とともに詳しく解説

2019.12.032025.11.27
この記事の目次
    はじめに 近時、自動運転車の開発や公道での実証実験が盛んに進められており、自動運転車を利用したビジネスを始めたいと考えている事業者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。 もっとも、自動運転車は、自動運転システムが人に代わって車を運行するため、事故が起きたときに誰が責任をとるのか?といったことを始め、様々な法律上の問題点があります。 そのため、事業者が知っておくべきポイントは多く、また、一部の法律が改正されたこともあり、何からチェックしていけばいいのかわからないという方も多いと思います。 そこで今回は、自動運転に関する法律の問題点を、法改正の内容とともに、弁護士がわかりやすく解説していきます。  

    1 自動運転とは

    (1)自動運転とは?

    「自動運転」とは、人工知能を用いたシステムが、人間に代わって、車を走らせたり止まらせたりするなどの運転行為の全部または一部を実施することをいいます。 自動運転は、AI(人工知能)が司令塔のような役割を担い、以下のような仕組みで実施されます。 このように、自動運転は、
    1. 様々なデータを収集し組み合わせる ↓
    2. 判断する ↓
    3. 車をコントロールする
    という流れで実施されます。  

    ①様々なデータを収集し組み合わせる

    自動運転のシステムが、車についているカメラやレーダー、センサーを通じて車周辺の情報を収集します。そして、収集したデータを人工衛星などの外部から提供される地図情報や他の車両の状況などのデータと組み合わせます。  

    ②判断する

    組み合わせたデータから、AIが歩行者や他の車両がどのように動くかなどを予測し、自分の車がどのように動くべきかを判断します。  

    ③車をコントロールする

    AIの判断に基づいて、自動運転のシステムが車を発進させたり、止めたりといったコントロールを行います。 このように、自動運転はAIを司令塔として、その判断に従って、車内の自動運転システムが車をコントロールすることにより実施されます。 もっとも、ひとくちに自動運転といっても、システムが完全に自立して運転するものから、単に運転の補助をするだけのものまで、自動運転には、様々な技術レベルがあります。  

    (2)自動運転の技術レベル

    自動運転の技術レベルは、「SAEレベル」によって決まります。 「SAEレベル」とは、国が公表している「官民 ITS 構想・ロードマップ 2018」が採用している自動運転の技術レベルのことをいいます。 SAEレベルは、以下の図のように0~5の6段階に分かれています。 このように、SAEレベル0~2は運転者が、SAEレベル3~6は自動車に搭載されたシステムが主体となって運転します。 各SAEレベルにおける自動運転技術の内容は、以下のとおりです。
    • SAEレベル0:運転自動化なし
    • SAEレベル1:運転補助
    • SAEレベル2:部分的に運転が自動化
    • SAEレベル3:運転を自動化するが、困難な場合に運転者の操作が必要になる
    • SAEレベル4:ほとんどの運転を自動化
    • SAEレベル5:完全運転自動化
    SAEレベル0~2では、衝突被害軽減ブレーキや自動追尾機能など、あくまで運転者の補助をする運転支援がメインとなっており、すでに市販車に実装されています。 他方で、SAEレベル3以上では、運転の完全な自動化を前提とした自動運転システムがメインとなっています。 もっとも、SAEレベル3以上の自動運転については、現時点で市販車に実装はされておらず、公道での実証実験にとどまっています。 以上のように、現状において市販車に実装されているのは、SAEレベル2までにとどまっていますが、将来、開発や法整備が進めば、さらに上位レベルの自動運転技術を実装した自動運転車を使用することができるようになります。 そのようになれば、事業者にとっても、ビジネスチャンスが拡大することになります。  

    (3)MaaS関連ビジネス

    上位レベルの自動運転技術を備えた車は、MaaS関連の事業で活用することが期待されています。 「MaaS」とは、「Mobility as a Service」を略したもので、様々な交通手段による移動を、垣根なくつないで1つの移動手段とすることをいいます。 MaaSによって、ユーザーは、複数の交通手段を使っても一括で支払ができたり、必要に応じた移動だけを行うことができるため、移動の効率化を図ることができます。 たとえば、MaaS関連の事業として、以下の図のように、指定した場所に商品を積んだ自動運転車がやってきて買い物を行うことができる「移動型コンビニ」というサービスが考えられます。   このように、「移動型コンビニ」は、自動車メーカーとコンビニ事業者が以下のような連携を図り、サービスを提供することになります。
    • 自動車メーカーとコンビニ事業者が「配車プラットフォーム」を共同開発する
    • 自動車メーカーは、自動運転車を開発し、ユーザーに提供する
    • コンビニ事業者は、移動型コンビニの車にのせる商品の補充や管理などといったサービスを提供する
    ユーザーは、配車プラットフォームにアクセスすることで移動型コンビニとして自分のいる場所に配車してもらうことができます。 このことにより、ユーザーは、コンビニまで徒歩などで移動しなくても、コンビニのほうから自分のもとへ来てくれるため、移動時間の無駄を省くことができます。 このように、自動運転車は、MaaS関連事業での活用が期待されています。 これは、仮に、上位レベルの自動運転技術を備えた車を販売するとなると、高額となる可能性が高いため、自動運転車を販売するよりも、自動運転車を活用したサービスを展開していく方が、ビジネスとして成立しやすいと考えられるからです。 以上のように、上位レベルの自動運転技術を備えた自動運転車が普及するようになれば、ビジネスの幅も広がるものと考えられます。 もっとも、上位レベルの自動運転技術を備えた自動運転車をビジネスで利用するには、様々な法律規制をクリアしなければなりません。  

    この記事を書いた人

    勝部 泰之勝部 泰之弁護士
    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。
    一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科に在籍中。主な興味分野は経営学、高次元統計、自然言語処理、ゲーム理論、金融アルゴリズム、ブロックチェーン。
    研究リポジトリはこちら↗

    2 自動運転に関する法律の問題点

    自動運転車を利用してMaaS関連ビジネスを行う場合、事業者が注意しなければならない法律の問題点は以下の2点です。
    1. 事故が起きた場合の責任者は?(自賠法)
    2. 旅客・貨物の運送の許可を得られるか?
     

    (1)事故が起きた場合の責任者は?(自賠法)

    ①問題の所在

    通常の自動車による交通事故により、人に被害が生じた場合、運転者は「自動車損害賠償保障法(自賠法)」による責任を負うことになります。 「自賠法」とは、自動車事故の被害者を迅速に救済することを目的として、被害者への損害賠償を保障する仕組みを定めている法律のことをいいます。 この点、自動運転システムが備わった車であっても、運転者が運転に関与する形で事故を起こして人にケガなどをさせた場合、自賠法に基づく責任を負う可能性があります。 もっとも、運転者を不要とする技術レベルの自動運転車が、システムの故障により事故を起こしたケースでは、そもそも運転者が存在しないため、運転者が責任を負うことにはなりません。 そこで、このようなケースで、誰が自賠法上の責任を負うべきなのかという点が問題となります。  

    ②国交省の見解

    自賠法上、自動車事故による責任を負うための条件は、以下の2点とされています。
    1. 自動車の運行を支配していること(運行支配)
    2. 自動車の運行による利益を得ていること(運行利益)
    この2つの条件を満たす者を「運行供用者」といいます。 自動運転車を利用したビジネスを行う事業者は、自動運転車の運行を支配する立場にあることから、(ⅰ)の運行支配を肯定することができます。 また、自動運転車を走らせることにより利益を得ているといえることから、(ⅱ)の運行利益も肯定することができます。 そのため、事業者は、「運行供用者」といえると考えられます。 このように見てくると、自動運転車を利用したビジネスを行う事業者は、自動運転車が事故を起こした場合には、自賠法上の責任を負うための条件を満たしていると考えることができます。 ※国交省の見解について詳しく知りたい方は、国交省が公開している「自動運転における損害賠償責任に関する研究会」をご覧ください。  

    ③留意点

    事業者は、自動運転車を利用する場合、他にも以下の3点に留意する必要があります。
    1. 自動運転システムのハッキング
    2. 自賠法上の上限を超える分の損害賠償
    3. 将来的な保険料の負担
     
    (ⅰ)自動運転システムのハッキング
    自動運転のシステムはネットにつながっているため、ハッキングされる危険があります。仮に自動運転のシステムがハッキングされたことが原因で事故が起きた場合、事業者のあずかり知らないことが理由となって事故が起きているにもかかわらず、事業者は責任を負わなければならないのでしょうか。 自賠法によると、運行供用者が、自動車の管理責任を尽くしていた場合には、運行支配と運行利益が否定され、運行供用者は損害賠償責任を負わなくていいということになっています。 このことからすると、事業者が、自動運転のシステムに対して、
    • 信頼性の高いプロテクトをかけるなどしてセキュリティ体制を整える
    • ハッキングをされないような管理を行っている
    などの対策をとっていた場合には、仮に、自動運転システムがハッキングされて事故が生じたとしても、事業者は損害賠償責任を負わなくてもよくなる可能性があります。 反対に、事業者が、自動運転システムのハッキングに備えた対策を何ら講じていなかった場合には、事業者が損害賠償責任を負う可能性が高いということができます。  
    (ⅱ)自賠法上の上限を超える分の損害賠償
    自動運転車によって人に重大なケガをさせるなどした場合には、自賠法に基づいて被害者に一定の保険金が支払われますが、その上限を超えた損害が発生している場合、その超えた分は、
    • 製造物責任法(自動車に欠陥がある場合)
    • 民法(不法行為責任)
    といった自賠法以外の法律で解決することになります。 「製造物責任」とは、製造物に欠陥があった場合に、そのことが原因となって、他人にケガなどを負わせた場合に、製造者が負う損害賠償責任のことをいいます。 このことからすると、自動運転車に欠陥があった場合に、そのことが原因となって交通事故を起こし人にケガなどを負わせると、自動運転車を作ったメーカーは、被害者に対して損害賠償責任(製造物責任)を負うことになります。 また、自動運転車に欠陥があることにつき、事業者に故意(わざと)または過失(不注意)がある場合には、民法上の損害賠償責任(不法行為責任)を負うことになります。  
    (ⅲ)将来的な保険料の負担
    将来的に、自動運転車の技術レベルが上がっていくと、自動車の運転や管理に関しては、その大部分を自動運転システムが負担し、運転者などの負担が低くなっていきます。 このように、自動運転システムの「運行支配」の度合いが増すにつれて、事業者の「運行支配」の度合いは低下していきます。 そうすると、事業者としては、自身の運行支配の度合いが低いにも関わらず、自賠責保険の保険料を支払わなければいけないことになり、納得がいかないと考えるかもしれません。 もっとも、自動運転車の技術レベルが上がり、「運行支配」の度合いが増すということは、自動運転車が事故を起こした場合の事故原因が、自動運転車によるところが大きくなるということがいえます。 その場合、被害者に補償を行った保険会社が、自動車メーカーなどの製造者に対して求償(被害者への保険金の支払いにより保険会社に移転した保険金請求権に基づき、保険会社が加害者などに請求すること)していけるだけの仕組みが整っているかということも問題となります。 そのため、今後、自動運転車の技術レベルが上がっていくことに伴い、自賠責保険の仕組みを変えなければならなくなる可能性があります。 以上のように、事業者は、基本的に自賠法上の責任を負うことになりますが、システムがハッキングされた場合などに免責される可能性があるなど、留意すべきケースもあるため、しっかりと確認するようにして下さい。  

    (2)旅客・貨物の運送の許可を得られるか?

    ①原則

    自動車を使ったタクシー事業などの「旅客運送」や、宅配便サービスなどの「貨物運送」を行うには、原則として、国土交通大臣から許可をもらう必要があります。 もっとも、現行法においては、「旅客運送」や「貨物運送」は、運転者が自動車を運転することを前提としているため、自動運転車によってこれらの事業を行うには、法改正をまたなければなりません。 この点、運転者の人手不足などの問題を解決できる可能性のある自動運転車について、国は、「自動運転車の安全技術ガイドライン」を制定するなど、自動運転実現に向けて制度や環境を整えたり、実証実験を進めたりしています。 もっとも、「旅客運送」については、以下のように許可が不要になるケースがあると考えられます。  

    ②例外

    「旅客運送」は法律で、有償のものであると決められています。 そのため、「旅客運送」があくまで他のサービスに付随しているもので、運送自体に対価性がないケースにおいては、旅客運送を含むサービスであっても、旅客運送事業にはあたらず、許可が不要になると考えることができます。 たとえば、子どもを預かる学童のようなサービスにおいて、子どもを自宅まで送迎することがサービスに含まれているケースが考えられます。 このケースでは、あくまでサービスの主体は「子どもの預かり」です。このようなサービスにおいて、子どもを預かってもらうことに対してのみ対価が支払われ、子どもの送迎に対しては、対価の支払いが予定されていない場合には、子どもを送迎することが旅客運送事業にあたらず、「旅客運送」の許可は不要と考えることができます。   もっとも、同サービスであっても、
    • 送迎の有無によって、サービスの値段や内容が変わる
    • 送迎の対価を特定できる
    といったように送迎(=旅客運送)に対する対価が支払われていると考えられる場合には、送迎(=旅客運送)が有償で行われているといえ、許可が必要になると考えられます。 そのため、事業者は、旅客運送を、他のサービスに付随するサービスとして提供する場合でも、サービス内容や料金の設定の仕方に注意しなければなりません。 このように、自動運転車を使ってビジネスを行うには、解決しなければならない法律の問題が存在し、自動運転に関する法整備はまだまだ不十分です。 このような状況にある中、以下のように、改正されたものもいくつかあります。  

    3 法改正

    自動運転に関して、以下の2つの法律に改正がありました。
    1. 道路交通法
    2. 道路運送車両法
     

    (1)道路交通法

    ①問題点

    近時、高速道路で使える自動運転車(SAEレベル3)や、限定された地域で無人で移動する自動運転車(SAEレベル4)の開発が、2020年に実装化できるように進められています。 そこで、自動車と同じように、自動運転車が公道を走る際にも「道路交通法(道交法)」を守らなければならないのか、ということが問題となります。 この点、道交法は、運転者が実際に乗車して自動車を運転することを前提に作られた法律であるため、SAEレベル3以上の自動運転車のように、人が運転しない場合を想定していません。 そのため、SAEレベル3以上の自動運転車が実装化されることに向けて、新しくルールを作らなければいけないということになりました。  

    ②改正のポイント

    自動運転車に関する主な道路交通法の改正ポイントは以下の3点です。
    1. 「自動運行装置」とは?
    2. 運転者の義務
    3. 作動状態記録装置による記録
     
    (ⅰ)「自動運行装置」とは?
    「自動運行装置」とは、道路運送車両法で定められているものであり、プログラムにより自動的に自動車を運行させるための装置のことをいいます。要するに、自動運行装置とは自動運転システムのことをいいます。 改正法では、自動運行装置を使う場合も道路交通法上の「運転」に含まれることが規定されました。このような定義が新しく追加されたことにより、緊急時にのみ運転者が運転をする「レベル3」以上の自動運転ができるようになりました。
    (ⅱ)運転者の義務
    自動運行装置を使う運転者は、先に見たように、一定の条件から外れた場合に、運転者が直接運転しなければならないことが義務付けられました。 また、適切に自動運行装置を使う場合には、携帯電話などを保持しながら使用することやカーナビ等の画面を注視することを禁止する規定の適用が除外されます。  
    (ⅲ)作動状態記録装置による記録
    改正道交法では、自動運転車に作動状態記録装置を搭載することが義務付けられました。 「作動状態記録装置」とは、自動運行装置の稼働データを確認するのに必要な情報を保存する装置のことをいいます。 作動状態記録装置を搭載することにより、交通事故の原因究明を行ったり、自動運転車が整備不良であるかどうかの確認をすることが可能になります。 また、事業者はこの装置によって記録したデータを保存することが義務付けられます。 事業者は、事故などが生じた場合に、警察から記録したデータを提出するように求められることもあるため、しっかりとデータを保存しておく必要があります。 このように、改正された道交法では、SAEレベル3以上の自動運転車の実装化を想定した新たなルールが設けられました。 もっとも、現状では、SAEレベル3、4の自動運転車は、公道での実証実験にとどまっており、いまだに実装化されるには至っていません。 なお、改正道交法は、2020年5月23日までに施行される予定です。  

    (2)道路運送車両法

    ①問題点

    「道路運送車両法」とは、自動車の安全性を確保して適切な使用をさせるためのルールを設けている法律のことをいいます。道路運送車両法では、自動車の安全基準を設けていますが、道交法と同様、運転者が人である場合(SAEレベル2以下)を想定して作られた法律であるため、条件付でしか人が運転することのないSAEレベル3以上の自動車の安全基準が存在しませんでした。 そのため、SAEレベル3以上の自動運転車の安全基準がどうなるのかが問題となります。  

    ②改正のポイント

    自動運転車に関する主な道路運送車両法の改正ポイントは、以下の3点です。
    1. 自動運行装置の保安基準への追加
    2. 自動運転システムの安全性確保
    3. 許可制度の創設
     
    (ⅰ)自動運行装置の保安基準への追加
    自動運転システムである「自動運行装置」を保安基準の対象に追加しました。 「保安基準」とは、自動運転車が運行するために必要とされる環境保全上の技術基準などのことをいいます。 また、自動運行装置を使うための条件を国土交通大臣が付することとなりました。
    (ⅱ)自動運転システムの安全性確保
    自動車を検査する方法として、電子的な検査が導入されます。 実効性のある検査を担保するために、事業者は、検査に必要な技術情報の管理に関する事務を独立行政法人自動車技術総合機構に行わせることになります。
    (ⅲ)許可制度の創設
    事業者が、自動運行装置に組み込まれたプログラムを、自由に改変できるとすると、法が求める保安基準などを満たせなくなるおそれがあります。 そのため、自動運行装置に組み込まれるプログラムを改変などする場合は、その改変したプログラムなどがしっかりと保安基準などを満たしているかをチェックするために、国土交通大臣の許可が必要になります。 このように、道路運送車両法の改正では、自動運行装置の検査に法人をかませたり、場合によっては許可を受けることを必要とするなど、様々な変更点があるため、留意するようにしてください。  

    4 小括

    自動運転の技術レベルの進化にともなって法整備も進められていますが、現段階では人が運転者として不要となる自動運転車は実装化されていません。 もっとも、実証実験も盛んにおこなわれているため、近い将来は、上位レベルの自動運転車を活用したMaaS関連事業を行うことができるようになる可能性が高いといえます。 事業者は、自動運転車を活用する場合、どのようなことが法的に問題となるかということに加え、頻繁に行われている法改正の動向にも注目し、具体的な改正内容やそのことに伴う注意点をしっかりと把握しておくことが重要です。  

    5 まとめ

    これまでの解説をまとめると、以下のとおりです。
    • 「自動運転」とは、人工知能を用いたシステムが、人間に代わって、車を走らせたり止まらせたりといった運転行為の全部または一部を実施することをいう
    • 自動運転の技術レベルは、0~5の6段階のSAEレベルによって決まる
    • 上位の技術レベルの自動運転システムを備えた車は、MaaS関連の事業で活用することが期待されている
    • 自動運転車を利用する場合、事業者が注意しなければならない法律の問題点は①事故が起きた場合の責任者(自賠法)、②旅客・貨物の運送の許可の2点である
    • 自動運転車を利用したビジネスを行う事業者が、事故により人にケガなどを負わせた場合には、自賠法上の責任を負う
    • 事業者が留意すべき点は、①自動運転システムのハッキング、②自賠法上の上限を超える分の損害賠償、③将来的な保険料の負担の3点である
    • 「旅客運送」も「貨物運送」も、運転者が自動車を運転することを前提とした決まりになっているため、自動運転車によってこれらの事業を行うには、法改正をまたなければならない
    • 旅客運送が単に他のサービスに付随するもので、旅客運送を有償としているわけではないケースでは、許可が不要になる可能性がある
    • 自動運転に関して、①道路交通法(道交法)、②道路運送車両法、の2つの改正があった
    • 道交法改正のポイントは、①「自動運行装置」とは?、②運転者の義務、③作動状態記録装置による記録の3点である
    • 道路運送車両法の改正のポイントは、①自動運行装置の保安基準への追加、②自動運転システムの安全性確保、③許可制度の創設、の3点である
    AUTHOR
    勝部 泰之

    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。 一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1・清水研究室)。

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