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スタートアップ

2億円調達のオンライン1on1サービス「Yell」のビジネスモデルを解説!

2021.01.262025.11.27
この記事の目次

    はじめに

    2021年1月25日、オンライン1on1サービス「Yell」を提供する「エール株式会社」が、2億円の資金調達を実施したと発表しました。
    エール株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:櫻井将、以下「エール」)は、はたらくFUND(新生企業投資グループ及び一般財団法人社会変革推進財団)と株式会社アカツキ「Heart Driven Fund」を引受先とした第三者割当増資により、2億円の資金調達を完了しましたことをお知らせいたします。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000073135.htmlより
    2020年には、約8,300回にも上る1on1セッションを提供した「Yell」ですが、同サービスはどのようなビジネスモデルとなっているのでしょうか。 今回は、「Yell」について詳しく見ていきたいと思います。

    この記事を書いた人

    勝部 泰之勝部 泰之弁護士
    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。
    一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科に在籍中。主な興味分野は経営学、高次元統計、自然言語処理、ゲーム理論、金融アルゴリズム、ブロックチェーン。
    研究リポジトリはこちら↗

    1 サービスの背景と概要

    近時において「働き方」は多種多様ですが、人材や組織に関する課題は業績に直結する最重要事項の一つです。 「社員にもっと自主性をもって欲しい」「スキルをもっと伸ばして欲しい」「上司と部下との連携力を高めて欲しい」といった課題を抱える企業は少なくありません。 従来、このような課題を解決する立場にあったのは、管理職や人事部であり、結局のところは、いかにして部下とうまくコミュニケーションをとるかということが重要なポイントでした。 コロナ禍によりテレワークが増えている現在では、コミュニケーションのあり方がよりいっそう問われているといえるでしょう。 そこで、上司と部下による一対一の面談(「1on1」)を導入することで、部下とのコミュニケーションを図る企業が増えてきています。 とはいえ、この解決策には、たとえば、多忙で面談の時間が取れなかったり、聞き役であるはずの上司が一方的に話してしまったり、といったように独自の問題に直面するケースもあります。 「YeLL」は、利害関係のない第三者「サポーター」が一対一で社員の話を聴くことにより、社員に向けられた課題や1on1独自の問題の解決に貢献しています。 具体的には、「サポーター」と呼ばれる社外人材との間で業務委託契約を結び、顧客とのコミュニケーションを一対一で図ることにより、組織などのパフォーマンスを向上させるサービスです。 サポーターに対しては、1回あたり30分の単位で報酬が支払われる仕組みになっています。

    2 サービスの特徴

    「Yell」の特徴は、主に以下の3点にあります。
    1. 確実な時間の確保
    2. 高いスキルを有するサポーター
    3. 最適なマッチング

    (1)確実な時間の確保

    上司と部下による一対一の面談を実施するためには、面談を実施する時間が確保されていなければなりません。 ですが、管理職がプレイングマネージャーであることが多いため、時間を確保することが難しいケースが少なくありません。 その点、Yellではサポーターが毎週30分の単位で面談のための時間を確保していますので、じっくり社員の話を聞いて、経験学習プロセスを支援することが可能です。

    (2)高いスキルを有するサポーター

    上司と部下による1on1では、上司に聴くスキルが不足していたり、1on1の経験が不足しているなどして、社員のスキルアップを図ることが難しいという面があります。 その点、Yellに登録されているサポーターの多くは、ビジネスの第一線で活躍している人やビジネスパーソン・コーチング資格を取得している人々で、現在の登録数は約900名となっています。 高いスキルを有するサポーターとの1on1により、社員がスキルアップできる可能性は高まります。

    (3)最適なマッチング

    上司と部下とでは、評価を行う関係にあるため、本音をぶつけることが難しく、また、部下は1on1を実施する上司を選ぶことができないため、相性の悪い上司にあたる可能性もあります。 Yellは、野村総合研究所とマッチングAIを共同開発し、最適となるサポーターをアサインできる仕組みをとっています。 その結果、良質な「聴かれる」を経験することができ、上司と部下、同僚同士のコミュニケーションが「聴き合う」ということを軸に向上していくことが期待できます。

    3 サービスの流れ

    サービスの流れは、以下のようになっています。

    (1)マッチング

    導入研修を行ったうえで、アンケートに回答してもらいます。 アンケートでは、最適なマッチングを実現するために、主に性格特性を調査します。 その調査に基づき、担当となるサーポーターをAIによりマッチングします。

    (2)セッション

    マッチングAIにより担当となるサポーターが決まると、毎週30分電話での1on1セッションを実施します。

    (3)レポートの提出

    担当サポーターとのセッションを振り返り、レポートを作成します。 レポートは管理職や各社員に提出することになります。

    4 料金体系|マネタイズ

    Yellでは、ベーシックプランのほか、まずはサービスを試してみたいという人向けに「トライアル」が設けられています。
      • 【トライアル】
    内  容:6回の1on1 費  用:一人あたり3万円 契約期間:1.5ヶ月
      • 【ベーシックプラン】
    内  容:毎週30分の1on1 費  用:一人あたり月額3.6万円 契約期間:3ヶ月から ベーシックプランに加入する場合には、このほか、アカウント発行費用として1万円が必要です。

    5 ビジネスモデルの評価と法的課題

    (1)ビジネスモデルの評価

    近年、人事系のAIツールが多くリリースされており、導入を検討している会社も多いと思いますが、費用感や効果などを考えると、まだまだ全ての企業にフィットするサービスかどうかは未知数で、見極めが必要です。 これに対し、1on1のセッションであれば効果が分かりやすく、また、必要なセッション数のみ費用を負担すればよいので、企業側の負担も少ないものとなってきます。 特に、社員が100人を超える規模の会社であれば、人事部社員のコストもそれなりに負担しているはずですから、市場はあります。 人事の機能をアウトソーシングして固定費として負担していた人事コストをフレキシブルにコントロールできるメリットがありそうです。

    (2)法的課題

    他方で、使用者と労働者の関係は常に良好なものであるとも限らず、時には労働紛争等の形で争いが顕在化してしまう可能性もあります。 担当サポーターはあくまでの会社から委託を受けてセッションをしている立場ですから、時には利益相反が生じてしまう可能性もあります。 担当サポーターが会社にとってネガティブな情報に触れてしまう可能性もゼロではないですから、そういった場合のリスクはサービス提供時に規約等で整理しておくことが好ましいでしょう。

    6 まとめ

    1on1に重要性を見出している企業は増えてきていますが、1on1の結果を記録に残し、それを基に分析している企業はまだまだ少ないです。 Yellでは、タスクの進捗状況や自身のやる気などを10段階で評価するなどして、組織内の状況を客観的に分析することが可能な仕組みになっています。 1on1により良質な「聴かれる」を経験することにより、それまでのコミュニケーションの図り方や対話力などをいまいちど振り返り、「聴くこと」への関心が強まれば、良好なコミュニケーションを図ることが可能になり、対話力も向上することが期待できます。 人手不足の深刻化によって、若手の早期育成がより重要になってきている現在では、このような観点から組織づくりをしていくことも非常に重要なことだと考えられます。 弊所は、ビジネスモデルのブラッシュアップから法規制に関するリーガルチェック、利用規約等の作成等にも対応しております。 弊所サービスの詳細や見積もり等についてご不明点がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
    AUTHOR
    勝部 泰之

    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。 一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1・清水研究室)。

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