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スタートアップ

飲食店と料理人のマッチングサービス「smallkitchens」を解説

2021.01.272021.01.27
この記事の目次

    はじめに

    2021年1月26日、飲食店と料理人のマッチングプラットフォーム「smallkitchens(スモールキッチンズ)」を運営する「株式会社Gifukuru(ギフクル)」が、エンジェルラウンドでの資金調達を終えたと発表しました。
    挑戦者の踏み出す半歩を生み出し支える 株式会社Gifukuru(ギフクル 本社:神奈川県茅ヶ崎市、代表取締役:箕浦恒典、以下ギフクル)が個人投資家複数名からエンジェルラウンドの資金調達を終えた事をお知らせします。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000062928.htmlより
    smallkitchensは、料理が得意な人にとって、自身の手掛けたオリジナル弁当を一般に向けて販売できるサービスで、「自分の料理を販売するハードルを下げる」ことを解決すべき課題とするサービスです。 今回は、この「smallkitchens」についてビジネスモデルなどを詳しく見ていきたいと思います。

    この記事を書いた人

    勝部 泰之勝部 泰之弁護士
    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。
    一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科に在籍中。主な興味分野は経営学、高次元統計、自然言語処理、ゲーム理論、金融アルゴリズム、ブロックチェーン。
    研究リポジトリはこちら↗

    1 サービスの背景と概要

    わたしたちの食生活や食に関するニーズは、さまざまな社会事象に伴う生活スタイルの変化などに応じて、日々変わっていきます。 最近でいうと、新型コロナウイルス感染症の拡大により、飲食店などは時短営業・休業を、一般人についても自粛生活を余儀なくされています。 そのような状況から、店舗内での飲食を前提とした需要が急激に落ち込んでおりますが、他方で、フードデリバリーや持ち帰り弁当に対する需要は飛躍的に伸びています。 もっとも、フードデリバリーは配達コストが販売価格にダイレクトに転嫁されており割高に感じてしまうこともあります。 持ち帰り弁当であれば配達コストはかかりませんが、提供者側に開業コストの負担や調理や販売の場所を確保する手間が発生してしまいます。 近年、飲食店舗の廃業・撤退から市場に空き店舗が多く出ており、また、料理人になることを目指している人、料理を趣味にしている人、料理の腕に自信がある人など、持ち帰り弁当などを販売して料理を仕事にしたいという供給ニーズがあり、マッチングニーズが存在します。
    • 消費者:持ち帰り弁当が買いたい
    • 店舗オーナー:空き店舗を活用して欲しい
    • 料理を仕事にしたい人:開業リスクを抑えて弁当を販売したい
    「smallkitchens」は、以上の状況を前提に、料理を得意にしている人などが、飲食店の空き時間を使って、自身の手掛けたオリジナル弁当を販売できるマッチングプラットフォームです。 また、料理を仕事にしたいという作り手の挑戦を支えてくれるサービスでもあるのです。 飲食店は、全産業の平均に対して廃業率が約2倍ともいわれており、重い開業負担もネックとなり、開業率は16%程度とまだまだ低いのが現状です。 新型コロナウイルス感染症の拡大により、開業のハードルはさらに上がることが予想されますが、一方で開業を希望している人が多いのも事実です。 smallkitchensは、このようにまだ踏み出せていない挑戦者をターゲットとしており、今回の資金調達を皮切りに店舗展開を進めていくとしています。

    2 サービスの特徴

    「smallkitchens」の特徴は、主に以下の点にあります。
    1. 作り手が毎日変わる
    2. 作り手側の低リスク
    3. 新たな「働き方」の提供
    4. 遊休資産の活用

    (1)作り手が毎日変わる

    smallkitchensには、料理人を目指している人や料理に自信がある主婦の方など多数の作り手が登録しており、1人ずつ交代でシフトに入るといった方法がとられているため、作り手が毎日変わります。 販売される弁当は日替わりの1種類のみで、作り手さんごとのオリジナルとなっており、作り手ごとに違った味が楽しめるようになっています。 作り手にとっては、毎日ではないからこそ、弁当の献立をじっくりと考えることができるのです。 「弁当」というと、飽きがくることも少なくありませんが、smallkitchensでは、作り手ごとに違う味を楽しむことができるため、何度食べても飽きません。 献立は毎日LINEで送られるようになっているため、食べ手は自分に好みの献立や作り手が誰かということなどを確認することができます。

    (2)作り手側の低リスク

    作り手の中には、ゆくゆくは自分のお店を持つなどして、料理人になることを目指している人もいます。 ですが、自分のお店を持つためには、店舗の建設費・賃料や内装費といった初期費用だけでなく、集客のための広告費といったコストもかかります。 当然、そこには、お店の経営に失敗した場合のリスクも伴います。 smallkitchensでは、初期費用が一切かからないうえに、集客も運営側が行ってくれます。 作り手は、自分のペースに応じてシフトを入れるだけで、最小限のリスクで料理を仕事にすることが可能です。

    (3)新たな「働き方」の提供

    料理を得意とする主婦(夫)にかぎらず、たとえば、産後の主婦などに対しても、smallkitchensは新しい「働き方」を提供しているといえます。 smallkitchensでは、売り上げの55%が作り手に支払われる仕組みになっているため、一個人が「料理」を通じて、収益を上げられるわけです。 産後のキャリア形成などにも資する役割を果たしています。

    (4)遊休資産の活用

    smallkitchensは、使われていない空き店舗を間借りすることによって、運営されています。 そうすることで、店舗などにかかるコストを抑えながらも、遊休資産を有効活用することができるのです。

    3 料金体系|マネタイズ

    作り手として料理を仕事とする場合、smallkitchensでは、初期費用および集客費用は一切かかりません。 そのため、すぐにサービスを利用することが可能です。 作り手は、実際に販売した弁当の売り上げのうち、55%(最低保証あり)を支払ってもらえるため、smallkitchensには、残りのおよそ45%が収益として入る仕組みになっています。

    4 ビジネスモデルの評価と法的検討

    (1)ビジネスモデルの評価

    コロナ禍により、フードデリバリーをはじめ、「食」に関するサービスの形態が変化してきています。 そのなかで、smallkitchensは「作り手」に視点を置いたサービスであり、その意味では、サービスとして新たな形態であると評価できます。 もっとも、店舗型サービスであるため、コロナ禍による外出自粛を余儀なくされている現状では、まだまだ課題がありそうです。

    (2)法的課題

    一般的に、弁当屋を開始する場合には、その店舗に「食品衛生責任者」を置く必要があります。 また、調理をした弁当を販売するには、飲食店と同じように「飲食店営業許可」が必要となります。 さらに、牛乳や乳飲料などの乳類のように、販売する商品によっては、個別に必要となる許可もありますので、これらの規制をクリアしているかをきちんと確認することが大切です。

    5 まとめ

    smallkitchensは、作り手にとって料理を挑戦しやすい仕組みになっており、また、利用者は弁当に飽きることなくさまざまな料理を楽しむことができます。 店舗の貸し手にとっても、遊休資産を有効に活用することができますし、需要の落ち込みやテナント価格の下落といった社会情勢にも配慮した、まさに三方良しのサービスです。 これから、店舗拡大を進めていくなかで、smallkitchensが社会に浸透し、料理を仕事とすることへの挑戦が増えることが期待されます。 弊所は、ビジネスモデルのブラッシュアップから法規制に関するリーガルチェック、利用規約等の作成等にも対応しております。 弊所サービスの詳細や見積もり等についてご不明点がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
    AUTHOR
    勝部 泰之

    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。 一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1・清水研究室)。

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