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スタートアップ

5分でわかる!カーシェアリングの法的問題と対応策【IT企業向け】

2017.06.162025.11.27
カーシェアリングの法的問題点とは?
この記事の目次

    はじめに

    IT業界では、個人が持つ空き家や自動車などの遊休資産を貸し借りする「シェアリングエコノミー」のビジネスモデルが流行っていますよね。

    例えば、
    • Airbnb(エアビーアンドビー):部屋を貸したい個人と、借りたい個人をマッチングするサービス。
    • Uber(ウーバー):運送サービスを提供したい個人と、運送サービスを利用したい個人をマッチング。
    • Anyca(エニカ):車を貸したい個人と、車を利用したい個人をマッチング。
    などです。

    しかし、これらは比較的、新しいビジネスモデルなため、
    どういった法律が
    どのように適用されるのか or 適用されないのか

    が不明確です。

    そのため、ノリと勢いでシェアリングエコノミーサービスを開始した場合、後々、管轄の省庁や裁判所から、

    「このサービスは違法です!サービスをすぐに中止しなさい!」

    というお叱りを受けて、泣く泣くサービスを中止せざるをえないといった事態に陥りかねません。

    以下では、数あるシェアリングエコノミーのうち、カーシェアリングサービスを開始する場合の法的問題点とその対応策を解説していきます。

    この記事を書いた人

    勝部 泰之勝部 泰之弁護士
    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。
    一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科に在籍中。主な興味分野は経営学、高次元統計、自然言語処理、ゲーム理論、金融アルゴリズム、ブロックチェーン。
    研究リポジトリはこちら↗

    1 シェアリングエコノミーとは

    シェアリングエコノミーとは

    「シェアリングエコノミー」とは、自家用車や空き家など個人が保持している遊休資産を他の個人と”シェア”するサービスを意味します。

    シェアリングエコノミーのメリットは、利用者にとっては、従来なら仲介企業などに取られていた流通コストが抑えられ、比較的安い料金でサービス・モノを利用できるようになることです。

    次に企業側のメリットは、特に個人の「技術・能力」をシェアするサービスを利用する場合に顕著です。

    自社にはない技術を、採用コスト・人件費などのリスクを回避しつつ利用できるからです。

    2 カーシェアリングとは

    カーシェアリングとは

    「カーシェアリング」とは、シェアリングエコノミーの一つで、自動車を貸したい個人と、他人の車を利用したい個人とマッチングするプラットフォームサービスです。

    「Uber」のように、運転手付のサービスとは違い、車だけをシェアするサービスです。

    車のオーナーからみると、自分が乗っていない時間帯に、遊休資産としての自家用車を活用してお小遣い稼ぎができます。

    他方で、「車には乗りたい、でも、買うのは金銭的に厳しい」というユーザーからみると、安価な費用で、好きなときに車を利用できます。

    このようにカーシェアリングは、車のオーナーとユーザー双方にとってメリットのあるサービスで、日本でも「エニカ(Anyca)」や、「カフォレ(CaFoRe)」などが有名です。

    3 法的問題点~「レンタカー事業」にあたるか?~

    レンタカー事業に該当してしまうのではないか?

    (1)道路運送法

    さて、カーシェアリングサービスを導入するにあたっては、道路運送法という法律の「レンタカー事業」(=自家用自動車有償貸渡事業)への該当性が問題となります。
    【道路運送法第80条(レンタカー事業について)】

    自家用自動車は、国土交通大臣の許可を受けなければ、業として有償で貸し渡してはならない。ただし、その借受人が当該自家用自動車の使用者である場合は、この限りではない。

    (2)問題点の整理

    仮に、カーシェアリングサービスが「レンタカー事業」に該当してしまう場合には、車のオーナーが、わざわざ、個別に、役所(国土交通省)に対して「車のレンタルをしたいのでOKしてくれませか?」という許可申請を行う必要があります。

    役所がOKとした場合に初めて、他人に車をレンタルすることが可能になります。

    しかし、車のオーナーがカーシェアリングサービスのサイトを利用するメリットは、サイトを通じて、面倒な手続きをすることなく、遊休資産としての車をレンタルしてお小遣い稼ぎができる点にあります。

    ところが、カーシェアリングのサイトを利用しても、個別に役所へ申請をしないと車をレンタルできないのであれば、そもそも、そのようなサイトは利用しないでしょう。

    そのため、カーシェアリングサービスを開始したいのであれば、どうにかして、道路運送法の「レンタカー事業」ではないんだ!という前提において、サイトを運用する必要があります。

    4 対応策

    対応策とは

    それでは、IT企業がカーシェアリングサービスを開始する場合に、「レンタカー事業」の適用を回避するためにはどうすればよいのしょうか?

    (1)エニカ(Anyca)方式

    エニカ(anyca)ロゴ

    出展:https://anyca.net/

    カーシェアリングサービスの中でも人気のエニカ(Anyca)と同様のスキームを採用することが考えられます。
    • 【エニカ(Anyca)方式】
    • ■車のオーナーとユーザーとの間で、「共同使用契約」を締結してもらう。
      ⇒その結果、道路運送法80条のただし書に該当するから、貸渡し事業の許可はいらなくなる
      ■以上のことを「利用規約」に記載する
    という方法です。

    道路運送法上は、オーナーがユーザーに対して、車を「貸している」場合に適用されます。

    他方で、車を貸しているのではなく、「共同で使用している」場合には、同法80条の規制は適用されない、とされています。

    この点、エニカ(Anyca)においては、このスキームを採用し、オーナーとユーザーに対しては、サービスを利用する際には、両者の間で「共同使用契約」を結んでくださいね、ということルールに組み込むことで、レンタカー事業にはあたらないという解釈をしています( https://anyca.net/terms_of_use )

    ただし、車の利用者とオーナーとの間で、「共同使用契約」という書面を取り交わしさえすれば、規制を免れるわけではありません。

    共同使用という以上は、
    1. ユーザーが特定されていること
    2. オーナーとユーザーとの間で、権利・義務が、原則として平等になっていること
    3. ユーザーによる車の使用期間が「共同で使用しており、レンタルしているわけではない」と評価できる程度の期間設定がされていること
    などの利用実態が必要になります。

    そして、以上のことを「エニカ(Anyca)利用規約」のように、利用規約の中に記載してweb上にアップします。

    とはいえ、エニカ(Anyca)方式は、役所から「合法ですよ」とのお墨付きを得ているわけではありません。

    ただ、現状知る限り、エニカ(Anyca)のサービス自体が、公に違法であるとはされていませんので、カーシェアリングサービスを開始する差には、Anyca方式は参考になります。

    (2)カフォレ(CaFoRe)方式

    カフォレのロゴ

    出展:http://cafore.jp/

    次に、エニカ(Anyca)と同じく、カーシェアリングサービスの中でも人気の「カフォレ(CaFoRe)」と同様のスキームを採用することが考えられます。
    • 【カフォレ(CaFoRe)方式】
    • オーナーからユーザーに対して、車をレンタルしていることは認める。しかしユーザーからオーナーに支払う金銭の名目を「情報提供料、独占交渉権の対価」とすることで、「車自体」を有償で貸しているわけではない、だから、「有償の」貸渡し事業にあたらず、許可はいらない
    という方法を採用することが考えられます。

    カフォレ(CaFoRe)で貸し出されている自動車にはそれぞれ「価格」が設定されています( http://cafore.jp/lender_cars/view/5007 )。

    カフォレ(CaFoRe)のスタンスは、車の価格表記は、自動車を貸すことについての対価ではない。あくまでも、自動車の貸出可能な日時などの「自動車」に関する情報や「出品者」に関する「情報提供の対価」であり、また、出品者との「独占交渉権に対する対価」にすぎない.

    したがって、「有償」の貸渡しには該当しない、という解釈を採用しています。

    しかし、カフォレ(CaFoRe)方式は、見方によっては詭弁にすぎないともいえます。

    カフォレ(CaFoRe)方式は、エニカ(Anyca)方式よりも、よりリスキーな方法といえるかもしれません。

    (3)許可申請をする方式

    エニカ(Anyca)方式も、カフォレ(CaFoRe)方式のいずれも、お役所から合法であるとのお墨付きを得ているわけではありません。

    そのため、カーシェアリングサービス開始後に、お役所から「新サービスは、レンタカー事業にすぎない!だから違法だ!」と認定され、サービスが廃止になるリスクが残ります。

    そこで、より安全な方法として、カーシェアリングが「レンタカー事業」に該当することを前提に、車のオーナーの方には、一律に、レンタカー事業(=自動車有償貸渡事業)の許可申請をしてもらい、役所から許可を得てもらう方法が考えられます。

    ※【レンタカー事業の許可申請書のひな形】

    ※【許可申請書の書き方】

     

    この許可申請をすれば、法律上
    「国土交通大臣は、自家用自動車の貸渡しの態様が自動車運送事業の経営に類似していると認める場合を除くほか、前項の許可をしなければならない。」
    とされていることから、基本的には許可がおりる運用となっています。

    この許可をもらえれば、少なくとも道路運送法に関する限り、役所などから後ろ指をさされることはなくなります。

    そのため、リスクを最小限にする方法を採りたいのであれば、この方式を採用することが考えられます。

    しかし、この方式の場合、たしかに許可は下りやすいとしても、オーナーに申請手続きの負担(そこまでは重くないが、申請にともない、約款などの作成による手続き負担が伴う。)があることから、冒頭で説明したとおり、サービスの利用率が低下する可能性が高いのが難点です。

    5 小括

    小括

    以上のことから、カーシェアリングサービスが「レンタカー事業」に該当し、道路運送法80条違反を指摘されるリスクについては、
    • A案 許可を取る方式:比較的リスクが低い
    • B案 エニカ(Anyca)方式:A案に比して、リスクが低い
    • C案 カフォレ(CaFoRe)方式:A案・B案に比して、リスクが比較的高い
    のようになっております。

    そのため、安全策を採用するならA案を採用するのがベターかもしれません。

    ただし、A案を採用した場合、実際上は、車のオーナー・ユーザーがともに集まりにくいため、B案かC案を採用することになります。

    6 まとめ

    以上の解説をまとめますと以下のとおりです。
    • 「カーシェアリング」とは、シェアリングエコノミーの一つで、自動車を貸したい個人と、他人の車を利用したい個人とマッチングするプラットフォームサービス。エニカ(Anyca)・カフォレ(CaFoRe)のサービスが有名。
    • カーシェアリングサービス開始の際に問題となるのは、道路運送法上の「レンタカー事業」に該当するか否か
    • レンタカー事業に該当すると、車のオーナーには個別に役所への許可申請をしてもらわないといけない。しかし、そんな面倒なサービスでは利用者が増えないため、別の方策が必要
    • 対応策には二つある
    • エニカ(Anyca)方式:車のオーナーとユーザーとの間で、共同使用契約を締結してもらい、その結果、道路運送法80条のただし書に該当するから、貸渡し事業の許可はいらない、という方法。
    • カフォレ(CaFoRe)方式:車を貸していることは認めるが、ユーザーからオーナーに支払う金銭の名目を「情報提供料、独占交渉権の対価」とすることで、車自体を「有償」で貸しているわけではない、だから、「有償の」貸渡し事業にあたらず、許可はいらない、という方法。
    AUTHOR
    勝部 泰之

    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。 一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1・清水研究室)。

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