アプリケーションプラットフォームと独禁法の問題点を弁護士が解説
2022.08.14

この記事の目次
はじめに
かつて、ソフトウェア(アプリケーション)というと、DVD-ROMなどのパッケージを購入して利用するのが当たり前でしたが、現在、パソコンやスマートフォンでソフトウェアを使う場合、アプリケーション・マーケット(プラットフォーム事業者)を通じてダウンロードすることが多くなっています。 むしろ、アプリ提供事業者から直接ソフトウェアを買う機会などほとんどないというくらいの状況になっています。 近年は、プラットフォーム事業者の力が強くなりすぎて、独占禁止法上の問題(拘束条件付取引や取引妨害など)が生じることもあります。 今回は、アプリケーションを提供するプラットフォーム事業者にフォーカスして、法的問題点などを中心に解説していきたいと思います。1 アプリケーション・マーケットの当事者関係
「アプリケーション・マーケット」に関係してくる当事者は、①アプリ提供事業者、②マーケット利用者(ユーザー)、③プラットフォーム事業者(アプリケーション・マーケット運営事業者)の三者です。
プラットフォーム事業者が運営するプラットフォーム上で、アプリ提供事業者がモバイル端末などを対象としてアプリを提供し、ユーザーがアプリを無償もしくは有償でダウンロードして利用するという構図になります。
三者間では、以下のようにそれぞれに規約などを使って契約が締結されていることが一般的です。
(1)プラットフォーム事業者とアプリ提供事業者
アプリ提供事業者がプラットフォーム事業者が運営するプラットフォームを利用するためには、プラットフォーム事業者による規約(プラットフォームの利用料や禁止事項などが定められているもの)に同意することが求められます。 両者の関係で見ると、プラットフォーム事業者は、アプリ提供事業者からアカウントの登録手数料やアプリの売上に応じた手数料を支払ってもらうことにより収益を上げていることが多いです。(2)プラットフォーム事業者とマーケット利用者
ユーザーがプラットフォームを利用する場合も、アプリ提供事業者と同様に、プラットフォーム事業者による規約(コンテンツの提供や返金、規約に違反した場合の措置などが定められているもの)に同意する必要があります。 ユーザー向けの規約では、アプリに不具合が見つかったとしても、プラットフォーム事業者は責任を負わないと定められていることがほとんどです。2 アプリに不具合があった場合の責任の所在
アプリに不具合があったからといって、プラットフォーム事業者にその責任を負わせることは酷でしょう。
なぜなら、プラットフォーム事業者は、アプリを販売する場を提供しているに過ぎないからです。
また、既に見たように、プラットフォーム事業者による規約においても、アプリに不具合があった場合について、プラットフォーム事業者が責任を負わないとする旨の定めが置かれていることが多いです。
そのため、アプリに不具合があった場合には、アプリ提供事業者がその責任を負い、プラットフォーム事業者は責任を負わないのが原則となります。
もっとも、ユーザーを保護する必要もあることから、プラットフォーム事業者が任意で返金に応じる可能性はあります。
また、現在の市場においては、アプリケーション・マーケットを通さずに、アプリ提供事業者がアプリを提供することは事実上困難です。
そのため、プラットフォーム事業者がアプリ提供事業者に対して返金の責任を負わせることは、それがプラットフォーム事業者の優位的立場を利用したものである場合には、独占禁止法との関係で問題となる可能性もあります。
3 手数料の徴収について
プラットフォーム事業者による規約のなかには、アプリを提供するにあたり、プラットフォーム事業者が提供するアプリ開発ツールや決済システムを使用することが義務付けられている場合があります。
このような場合、アプリ提供事業者はこれらのシステムを使用する対価としてシステム使用料を支払わなければならない可能性があります。
また、既に見たように、アプリ提供事業者において、アカウントの登録手数料やアプリの売上額に応じた手数料を支払うことが条件となっていることが多いです。
もっとも、現在ではアプリケーション・マーケットなくしてアプリ提供事業者がユーザーにアプリを配信することは事実上難しくなっています。
にもかかわらず、プラットフォーム事業者がシステム手数料などの負担を強制することについて、アプリ提供事業者からは反対の声が上がっています。
最近の例ですと、人気オンラインゲーム「FORTNITE」を提供するEpic Gamesが、App Storeでの手数料が高額すぎるとして、アップル社に対し訴訟を起こしています(係争中)。
この点につき、公正取引委員会は以下のような指摘をしています。











