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利用規約

【ひな形付】web・アプリ利用規約の書き方と9つのポイントを解説

2017.05.302026.10.31
web・アプリ利用規約の書き方
この記事の目次

    はじめに

    新しいwebサービスやアプリを開始する際には、「利用規約」が必要です。 ただ、利用規約の書き方って、正直さっぱりわからないですよね。ネットでこれをきちんと解説しているサイトも少ないし、専門書を買って読むのも面倒。 そのため、似たサービスを提供している他社の利用規約を適当にアレンジして作ったり、あるいは、ネットに転がっているテンプレート(雛形・書式)を利用している企業が多いのではないでしょうか? 利用規約は、多数のユーザーとの間で結ぶ「契約書」であって、その内容は、提供するサービスに応じて、違ったものになります。それにもかかわらず、他社のあるいは、テンプレートを模しただけの利用規約を利用していると、
    • 大炎上して、記者会見をする羽目になり、企業の信用がガタ落ちした(「mixi事件」)
    • ユーザー同士のトラブルに巻き込まれて損害賠償をする事態となった
    • ユーザーの責任なのに、第三者から訴えられて、アプリ・サイトを閉鎖する羽目になった
    といった事態に陥りかねません。 そこで、こういった事態を未然に回避するため、これから利用規約を作りたいあるいは、すでに作成しているが内容を見直したいと考えている企業向けに、webサービス・アプリにおける利用規約の書き方を解説いたします。  

    この記事を書いた人

    勝部 泰之勝部 泰之弁護士
    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。
    一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科に在籍中。主な興味分野は経営学、高次元統計、自然言語処理、ゲーム理論、金融アルゴリズム、ブロックチェーン。
    研究リポジトリはこちら↗

    1 利用規約とは

    利用規約とは 多くの方は、webサービスやアプリを利用する際に、画面上にあるバーをスクロールしながら、ズラズラと記載された小難しい文書を読んだうえで、「同意」ボタンをクリックした経験があるのではないでしょうか? そこに書かれている小難しい文書こそが、一般に、「利用規約」と呼ばれているものです。 「利用規約」は、サービスを利用する際の申込手続きや注意点が書かれた、サービス運営側とこれを利用するユーザーとの間で結ばれる「契約書」です。 「契約書」といえば、普通は、1対1で契約し、当事者のそれぞれが、「〇〇契約書」と書かれた書面に署名してハンコを押す、という姿をイメージするかと思います。 しかし、アプリやwebサービスの場合、ものによっては数十万人ものユーザーが利用します。 しかも、ユーザーは、日本国内に限らないのであり、外国に住んでいる方も利用することが考えられます。 それなのに、いちいち、個々のユーザーとの間で契約書を作らないとダメ、ということになれば、サービスを開始することは事実上、不可能となってしまいます。 そこで、便宜的に、「利用規約」という形で、運営側が一方的に「これが本サービスに関する契約書です。サービスを利用したい人は、同意ボタンをクリックしてね」という形で、画一的・自動的に処理できるようにしたのです。

    2 利用規約作成の流れ

    利用規約作成の流れ まず、利用規約を作る際の流れを見てみましょう。

    (1)盛り込みたい内容を考える

    利用規約は、提供するサービスをめぐる、運営者とユーザーとの間の「約束事」を記載したものです。 そのため、利用規約を作成する際には、サービス性質・ビジネスモデルに応じて、「何をユーザーに守らせるべきなのか」「反対に、運営側も、何を守らないとダメなのか」「あらかじめきちんと書いておかないと、後々、言った・言わないといったトラブルになりそうな事は何か?」という視点で、書くべき内容を考える必要があります。 具体的には
    • サービスの内容はどのようなものか(①SNS型、②アプリ内課金、③ECサイトなど)
    • 利用料は、有料か無料か
    • 有料の場合には、支払方法は、銀行振込・クレジット支払いとするか
    • 禁止したい事項は何か
    • トラブル・クレーム発生時に、運営者としてどこまでなら責任を取れるのか
    • UGC要素のあるものであれば、投稿されたコンテンツの権利はどうするのか
    • クレームその他の連絡の受付窓口をどうするか
    • 訴訟などのトラブル発生時の解決方法をどうするか
    などについて、検討することになります。

    (2)アイデアをテキストに落とし込む

    これらの点について考えがある程度まとまったら、出てきたアイデアを今度は、テキストに落とし込んでいきます。 具体的に何を書けばいいのかについては、後で解説いたします。

    (3)同意取得画面を設ける

    次に、アプリ・webサービスの中に、
    • 利用規約への「同意チェックボックス」を設ける
    • 同意をしますという「ボタン」を設ける
    など、「利用規約への同意を求める画面」を実装し、利用規約への同意を得られるような仕組みを設けてください。 これは、冒頭でご説明したように、利用規約は、契約書そのものであるため、利用規約に書かれた内容でユーザーをしばるためには、その前提として、ユーザーが利用規約に同意している必要があるからです。 以上が、利用規約を作成して、公開するまでの流れになります。

    3 汎用的な利用規約のひな形【ひな形ダウンロード付】

    汎用的な利用規約のひな形 さて、実際に利用規約の内容を解説していきますが、百聞は一見にしかず。 汎用的なアプリ・Webサービスにおける利用規約のひな形を用意いたしましたので、ダウンロードしてください。 【ひな形・テンプレート】汎用的なweb・アプリ利用規約

    4 汎用的な利用規約の書き方

    汎用的な利用規約の書き方 まずは上のひな形をベースに、アプリ・webサービス一般に共通する利用規約の書き方を解説し、その後、ビジネスモデル別の利用規約の書き方を解説していきます。

    (1)タイトル付け

    はじめに、利用規約に「タイトル」をつけましょう。 タイトルの有無によって、法律上の効果の面で違いはありませんが、複数のサービスを展開している場合などに、ユーザーがどのサービスの利用規約なのか見分けられるようにしておくためです。
      • 【例-1】
     ●●●●サービス 利 用 規 約

    (2)頭書

    タイトルのすぐ下の部分(「頭書」)に、この利用規約が適用されるサービスの範囲を特定するための記載をします。 特定の際のポイントは、どの会社による、どんなサービスに適用されるものなのかを明確にすることです。 そのため、頭書には、
    • 会社の名称
    • サービスの名称
    を記載してください。
      • 【例-2】
     
      この規約は、お客様が、株式会社●●●●●(以下「当社」)が提供する「●●●●●」サービス(以下「本サービス」)をご利用頂く際の取扱いにつき定めるものです。本規約に同意した上で本サービスをご利用ください。

    (3)定義

    次に、利用規約の中に登場する用語の「定義・意味」を記載します。 あらゆる用語の定義を書く必要はありませんが、頻出の用語、あいまいな用語、専門的な用語、ポイントとなる用語については、可能な限り、網羅的に定義しておきましょう。 これにより、ユーザーとの間で用語の解釈に関する無益な争いを回避できますし、利用規約全体が、とても読みやすいものになります。
      • 【例―3】
     
      • 第1条(定義)
     
      • 本規約上で使用する用語の定義は、次に掲げるとおりとします。
    (1)本サービス 当社が運営するサービス及び関連するサービス
    (2)本サイト 本サービスのコンテンツが掲載されたウェブサイト
    (3)本コンテンツ 本サービス上で提供される文字、音、静止画、動画、ソフトウェアプログラム、コード等の総称(投稿情報を含む)
    (4)●●●●● ●●●●●●●●●●
    (5)××××× ××××××××××
     

    (4)規約への同意

    ユーザーに対して、利用規約への同意を慎重に検討させる趣旨で「本規約への同意」という項目を設けましょう。 ポイントは、「未成年者」がサービスを利用する際の注意点を記載しておくことです。 特にスマートフォンについては、未成年者でも簡単に操作できるような仕様になっています。そのため、親の気づかないうちに、子どもがアプリ内課金などの有料コンテンツを大量に買ってしまい、利用料金が高額になるトラブルが多発しています。この場合、親は、同意をしていないことを理由に、法律上、コンテンツの購入契約を取り消して、運営側に対し、支払った代金の返還を求めることができることになっています。 こういったリスクを可能な限り減らすために、【例―4】第2条4・5項のように書いておく必要があります。
      • 【例―4】
     
      • 第2条(本規約への同意)
     
      • 1 利用者は、本利用規約に同意頂いた上で、本サービスを利用できるものとします。
     
      • 2 利用者が、本サービスをスマートフォンその他の情報端末にダウンロードし、本規約への同意手続を行った時点で、利用者と当社との間で、本規約の諸規定に従った利用契約が成立するものとします。
     
      • 3 利用者が未成年者である場合には、親権者その他の法定代理人の同意を得たうえで、本サービスをご利用ください。
     
      • 4 未成年者の利用者が、法定代理人の同意がないにもかかわらず同意があると偽りまたは年齢について成年と偽って本サービスを利用した場合、その他行為能力者であることを信じさせるために詐術を用いた場合、本サービスに関する一切の法律行為を取り消すことは出来ません。
     
      5 本規約の同意時に未成年であった利用者が成年に達した後に本サービスを利用した場合、当該利用者は本サービスに関する一切の法律行為を追認したものとみなされます。

    (4)規約の変更

    サービスの開始後、サービス内容の変更や改善点の修正のために、利用規約を変更したい、といったときも来るでしょう。 そういった場合に備えて、「運営者側の判断のみで、いつでも、利用規約の内容を変更できる」という規定を設けておくと便利です。 もっとも、このような規定を設けたからといって、あらゆるケースで、利用規約を自由に変更できるわけではありません。 無料サービスを有料にしたり、料金を上げるといったように、ユーザーに大きな不利益をもたらすような変更については、後で裁判所から「変更は無効!」と判断されるリスクがあります。 そのため、下記【例-5】第3条4項のように、
    • 「規約変更後にもサービスを利用していることをもって同意したものとみなす」規定を設ける
    • 変更後のサービス利用時に、改めて、同意を取得するための仕様を設ける
    などの、手当が必要になります。
      • 【例-5】
     
      • 第3条(規約の変更)
     
      • 1 当社は、利用者の承諾を得ることなく、いつでも、本規約の内容を改定することができるものとし、利用者はこれを異議なく承諾するものとします。
     
      2 当社は、本規約を改定するときは、その内容について当社所定の方法により利用者に通知します。
    3 前本規約の改定の効力は、当社が前項により通知を行った時点から生じるものとします。 4 利用者は、本規約変更後、本サービスを利用した時点で、変更後の本利用規約に異議なく同意したものとみなされます。

    (5)アカウント管理

    会員登録が不要なサービスは別としても、ユーザーにおいてアカウントを作成するサービスの場合、第三者によって、登録したアカウントが乗っ取られる、といった事態が生じることがあります。 このようなトラブルは、どれだけセキュリティを整備したとしても、不可避的に発生してしまうものです。 そこで、運営者側としては、【例―6】第5条2項のとおり、「このようなケースにおいては運営者側は責任を負わない」といった規定を設けておくことが必要になります。
      • 【例―6】
     
      • 第5条(アカウントの管理)
     
      • 1 利用者は、利用に際して登録した情報(以下、「登録情報」といいます。メールアドレスやID・パスワード等を含みます)について、自己の責任の下、任意に登録、管理するものとします。利用者は、これを第三者に利用させ、または貸与、譲渡、名義変更、売買などをしてはならないものとします。
     
      2 当社は、登録情報によって本サービスの利用があった場合、利用登録をおこなった本人が利用したものと扱うことができ、当該利用によって生じた結果ならびにそれに伴う一切の責任については、利用登録を行った本人に帰属するものとします。

    (6)個人情報等の取り扱い

    ユーザーの氏名・住所といった「個人情報」や、位置情報、行動履歴といった利用者のプライバシーに関する情報(=「利用者情報」)を取得するサービスの場合、ユーザーから見ると、それらの情報がどのように取り扱われるのか?について、不安になることも多いでしょう。 そういったユーザー心理に配慮して、運営者は、利用規約とは別に、「プライバシーポリシー」という規約を作る必要があります。 そして、利用規約の中には、あらかじめ、「個人情報などは、プライバシーポリシーに従ってきちんと処理するから、安心してね」という規定を設けておくと便利です。 こうすることで、(ⅰ)ユーザー心理へ配慮しつつ、(ⅱ)同時に、プライバシーポリシーの文言上にハイパーリンクを設定することで、プライバシーポリシーへの同意も取得できます。
      • 【例―7】
     
      • 第6条(個人情報等の取り扱い)
     
      個人情報及び利用者情報については、当社が別途定める「●●●●サービスプライバシーポリシー」に則り、適正に取り扱うこととします。

    (7)禁止行為

    アプリやwebサービスを開始すると、必ずと言っていいほど、迷惑行為や有害な行為をするユーザーが現れます。このような事態を放置していると、他のユーザーが離脱してしまう恐れがあります。 ところが、仮に、こういった迷惑行為を禁止する規定をあらかじめ用意していなかった場合、迷惑行為を止めさせることは、事実上難しくなります。 そこで、運営側に不都合な行為については、あらかじめ利用規約の中に「禁止事項」として列挙しておくことが必要になります。 とはいえ、禁止事項を設けただけでは、不十分です。実際に違反した場合の「ペナルティ」も記載しおかないと、「違反しても大して不利益はないみたいだから、好き勝手やろう」ということで迷惑行為に対する抑止力にはなりません。 そこで、禁止事項とセットで、違反した場合のペナルティも記載しておきましょう。 ペナルティの内容としては、
    • 利用履歴の巻き戻し
    • 利用の一時停止
    • 利用の永久停止(強制退会)
    (※「再登録の拒絶」のオプションも考えられます。) といった手段が考えられます。 各種ペナルティについては、ユーザーによる迷惑行為の悪質性に応じて、段階的に厳しくする運用(上記例でいえば、①~③の順に厳しくなる。)がよいでしょう。
      • 【例―8】
     
      • 第7条(禁止行為)
     
      • 本サービスの利用に際し、当社は、利用者に対し、次に掲げる行為を禁止します。当社において、利用者が禁止事項に違反したと認めた場合、利用の一時停止、退会処分その他当社が必要と判断した措置を取ることができます。
     
      • (1)当社または第三者の知的財産権を侵害する行為
     
      • (2)当社または第三者の名誉・信用を毀損または不当に差別もしくは誹謗中傷する行為
     
      • (中略)
     
      (11)上記の他、当社が不適切と判断する行為

    (8)免責条項

    サービスの運営側としては、サービスの一時停止など、やむをえない理由によってユーザーに損害が生じたまで賠償をしていたのでは、商売が成り立ちません。 そこで、「当社は、サービスの中断などによってユーザーに生じた損害については、一切賠償しません」といった規定(「免責条項」)を設けておくことで、運営側は、原則として賠償する責任を負わないですみます。 これ以外にも、運営側として免責されたいと考える事情・損害については、可能な限り、網羅的に記載しておき、免責される範囲を広げておきましょう。 もっとも、これはあくまでも「原則」であって、免責規定を置けばいかなる場合にも、運営側が免責されるわけではありません。 「消費者契約法」という弱者保護のための法律によって
    • 運営者の損害賠償責任をすべて免除する条項
    • 運営者に故意(わざと)・重過失(ありえないミス)がある場合にまで、責任を免除する条項
    は、すべて無効とされてしまいます。 そのため、免責条項を設ける際には、この限界に触れない範囲で、免責される事情・損害を記載していく必要があります。 ※なお、【例―9】第8条9~11項の規定により、上で指摘した
    • 消費者契約法によって免責条項全体が無効にされるリスクへの対処
    • 仮に運営者が賠償する場合でも、賠償額を最小限にする
    ことは、ある程度できるようにしてあります。 そのため、ダウンロードしたひな形をいじる際には、この条項は消さずに残しておきましょう。
      • 【例―9】
     
      • 第8条(免責)
     
      • 1 当社は、本サービスの内容変更、中断、終了によって生じたいかなる損害についても、一切責任を負いません。
     
      • 2 当社は、利用者の本サービスの利用環境について一切関与せず、また一切の責任を負いません。
     
      • (中略)
     
      • 9 第1項乃至前項の規定は、当社に故意または重過失が存する場合又は契約書が消費者契約法上の消費者に該当する場合には適用しません。
     
      • 10 前項が適用される場合であっても、当社は、過失(重過失を除きます。)による行為によって利用者に生じた損害のうち、特別な事情から生じた損害については、一切賠償する責任を負わないものとします。
     
      11 本サービスの利用に関し当社が損害賠償責任を負う場合、当該損害が発生した月に利用者から受領した利用額を限度として賠償責任を負うものとします。

    (9)広告の掲載

    アプリ・webサービス(特に、無料サービス)においては、サービスの中に他社の「広告」を掲載することで、マネタイズする手法がよく使われます。 ただ、広告は、ユーザーから見るとノイズとなる場合もあり、広告の表示を望まないユーザーもいます。 そこで、広告を掲載する場合には、あらかじめ「他社さんの広告を掲載しますので、あらかじめご了承ください」 と記載しておくことで、そういったユーザーからのクレームに対応できるようになります。
      • 【例―10】
     
      • 第9条(広告の掲載について)
     
      利用者は、本サービス上にあらゆる広告が含まれる場合があること、当社またはその提携先があらゆる広告を掲載する場合があることを理解しこれを承諾したものとみなします。本サービス上の広告の形態や範囲は、当社によって随時変更されます。

    (10)連絡方法

    ユーザーから運営者側への「連絡方法」を記載しておくと親切です。
      • 【例―11】
     
      • 第12条(当社への連絡方法)
     
      本サービスに関する利用者の当社へのご連絡・お問い合わせは、本サービスまたは当社が運営するwebサイト内の適宜の場所に設置するお問い合わせフォームからの送信または当社が別途指定する方法により行うものとします。

    (11)準拠法、裁判管轄

    サービス運営に伴い、ユーザーとの間で何らかのトラブルが発生し、それが「訴訟」という形で裁判沙汰に発展することがあり得ます。 ところが、アプリ・webサービスの「ユーザー」は、日本国内にとどまらず、世界中に存在します。 そのため、仮に、外国のユーザーとの間でトラブルが発生した場合、
    • どこの国の法律が適用され(これを「準拠法」といいます。)、
    • どこの国にある裁判所で闘うことになるのか?(これを「裁判管轄」といいます。)
    という問題が出てきます。 運営側から見ると
    • 日本の法律が適用され、
    • 日本の裁判所(東京に会社を構える企業であれば、東京の裁判所)
    で闘いたいと考えるのが普通ですし、その方が、有利です。 というのも、仮に、外国の法律が適用され、トラブルが起きるたびに、いちいち外国の裁判所に出向くとすれば、渡航に要する費用・労力が半端なくかかってしまいます。当然、外国法に詳しい現地の弁護士を別途雇う必要があるため、その分さらに費用がかかってしまうからです。 これは、スポーツの世界において、「ホーム」である日本で闘った方が、「アウェイ」である外国で闘うようよりも、有利なのと同じです。 そのため、利用規約の中には、【例―12】のように、トラブルが発生した場合には「日本法・日本の裁判所でやります」という趣旨の一文を書いておくことをおすすめします。 これにより、運営側は、トラブル発生時、不利なアウェイではなく、見慣れたホームで闘うことができるようになります。
      • 【例―12】
     
      • 第15条(準拠法、管轄裁判所)
     
      • 1 本規約の有効性,解釈及び履行については,日本法に準拠し,日本法に従って解釈されるものとする。
     
      2 当社と利用者等との間での論議・訴訟その他一切の紛争については、訴額に応じて、東京簡易裁判所又は東京地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とします。

    (12)施行日・改定日

    利用規約の文末に、
    • 利用規約を「施行した日」(=利用規約の効果が生じる日)
    • 改定した場合には、その都度「改定した日」
    を記載してください。 特に、改定日については、「利用規約の変更」があった場合に、どの時点から変更した後の利用規約が適用されるのか?を区別する基準になることから、記載しておきましょう。
      • 例―13】
     
      • 20●●年●月●日 施行
     
      20●●年●月●日 改定
    以上で、汎用的なwebサービス・アプリ利用規約の書き方の解説は終わりになります。

    5 「ビジネスモデル別」利用規約の書き方のポイント

    ビジネスモデル別利用規約の書き方 これまでは、汎用的なアプリ・webサービス利用規約の書き方について解説してきました。 以下では、各種ビジネスモデルごとの利用規約の書き方、すなわち、
    • ソーシャルメディア・SNS利用規約、
    • 課金アプリ利用規約、
    • ECサイト・アプ利用規約
    のそれぞれについて問題となる固有の項目について、次の項目からその書き方のポイントを解説していきます。

    6 ソーシャルメディア・SNS利用規約の書き方【ひな形ダウンロード付】

    「Facebook(フェイスブック)」「Instagram(インスタグラム)」「LINE(ライン)」「クックパッド」などの「SNS(ソーシャルネットワークサービス)」における利用規約の書き方について解説していきます。 まず、【ひな形・テンプレート】ソーシャルメディア・SNS利用規約 をダウンロードしてください。

    (1)UGC要素があること

    SNSにおいて特徴的なのは、「UGC」要素がある点です。 「UGC」とは、User Generated Contentsの略で、サービス内でユーザーが自ら制作して投稿したコンテンツのことをいいます。 これには、例えば、FacebookやInstagram、Twitter、ブログ、写真共有サイトなどに投稿された文字・写真・動画のほか、クチコミサイトに投稿された感想や、通販サイトの商品レビューなども含まれます。 UGC要素のあるサービスの場合、
    • 名誉を棄損したり、他人の著作権を侵害するような違法な投稿への対処法
    • 文章、写真、動画などの投稿については、投稿者に著作権が発生する可能性があるため、この投稿の取り扱い
    について検討する必要があります。 具体的にみていきましょう。

    (2)違法な投稿を禁止する

    SNS内で違法な投稿が横行した場合、優良な他のユーザーの離脱を招くこと、また、違法な投稿を放置した場合には、運営側も責任を問われることがあります。 そこで、このような事態を未然に防止するために、あらかじめ
    • 禁止される投稿の種類を列挙し
    • 違反した投稿については、削除できる
    という趣旨の規定を設けておく必要があります。 このような規定があれば、例えば、ユーザーが投稿したコンテンツが実は他人のコンテンツをパクったものである場合や、 他人の名誉やプライバシーを侵害するようなものである場合、いちいち投稿したユーザーにお伺いを立てるまでもなく、運営側の判断で削除できます。
      • 【例―14】
     
      • 第6条(禁止行為)
     
      • 本サービスの利用に際し、当社は、利用者に対し、次に掲げる行為を禁止します。当社において、利用者が禁止事項に違反したと認めた場合、当社は、利用停止、投稿削除等、当社において必要と判断した措置を取ることができるものとし、利用者はこれを異議なく同意するものとします。
     
      • (中略)
     
      • (6)利用者が、以下の情報を投稿すること
     
      • ①第三者の権利および財産に対して損害を与えるリスクのある情報
     
      • ②第三者に対して有害な情報、第三者を身体的・心理的に傷つける情報
     
      • ③犯罪や不法行為、危険行為に属する情報およびそれらを教唆、幇助する情報
     
      • ④不法、有害、脅迫、虐待、人種差別、中傷、名誉棄損、侮辱、ハラスメント、扇動、不快を与えることを意図し、もしくはそのような結果を生じさせる恐れのある内容をもつ情報
     
      • ⑤事実に反する、または存在しないと分かっている情報
     
      • ⑥利用者自身がコントロール可能な権利を持たない情報
     
      • ⑦第三者の著作権を含む知的財産権やその他の財産権を侵害する情報、公共の利益または個人の権利を侵害する情報
     
      • ⑧わいせつ、児童ポルノまたは児童虐待にあたる画像、文書等の情報
     
      • ⑨医師法などの法令に違反する情報
     
      ⑩その他当社が不適切と判断する情報

    (3)投稿コンテンツの著作権

    ①ライセンス条項

    また、SNSにおいては、投稿された文章・写真・動画といったユーザーが作成した「コンテンツ」(=UGC)の著作権に関して、ユーザーに残しておくのか、それとも、運営側が取得するのかについて、考える必要があります。 なぜなら、コンテンツの著作権は、原則、そのコンテンツを作成した投稿者のものになるため、運営側がこれを無断で利用した場合、著作権侵害になってしまうからです(なお、著作権を侵害した場合、刑事罰が用意されています。)。 そこで、投稿コンテンツを活用したい場合には、【例―15】のように、あらかじめSNS利用規約の中に
    • 投稿コンテンツの著作権は、ユーザーのものであることを確認する。
    • ただし、運営者に対して「ライセンス(使用を許諾)します」
    という規定(「ライセンス条項」)を設けておくことが必要です。 もっとも、ライセンス条項をシレっといれていたmixi(ミクシー)は、ユーザーからの反発を招いて大炎上した事件がありますので、ライセンス条項の導入は、慎重に検討しましょう。

    ②著作者人格権

    また、ライセンス条項を設ける場合には、それとセットで、ユーザーは、「著作者人格権は行使しません」という一文も書いておきましょう。 「著作者人格権」とは、コンテンツを作成したユーザーにのみ認められる権利で、ユーザーの作品に対する“思いやりやこだわり“を守るための権利です。 仮に、ユーザーがこの権利を自由に行使できるとした場合、
    • 作品を「公開したくない」から、未公開のままにして!
    • コンテンツを使うのはいいけど、そこには、必ず、私が「作者であることを表示」して
    • 文字数を「削ったり」、「画像を修正・変更」する際には、逐一、私の同意をもらいに来て!
    といったように、非常に面倒なことになって、運営側でコンテンツを活用するときの障害になるからです。
      • 【例-15】
     
      • 第7条 (コンテンツの取り扱い)
     
      • (中略)
     
      • 5 利用者が、本サービス上に投稿その他の方法で送信したコンテンツ(静止画、動画、文字情報その他一切の情報)に関する著作権(著作権法第21条ないし同第28条に規定する権利を含む全ての著作権を含む。)については利用者に帰属するものとします。ただし、利用者は、コンテンツの送信時に、当社に対し、日本国内外において、当該コンテンツを無償かつ非独占的に使用することを許諾します。
     
      6 利用者は本サービス内では、著作者人格権を行使しなものとします

    7 課金アプリ利用規約の書き方【ひな形ダウンロード付】

    アプリ内で、お金の支払いと引き換えに「コイン」などの「仮想通貨」を発行する、いわゆる「アプリ内課金」を導入したい場合の利用規約の書き方について解説していきます。 まず、【ひな形・テンプレート】課金アプリ利用規約 をダウンロードしてください。

    (1)有料コンテンツ(「アプリ内課金」)の取り扱い

    アプリの利用そのものは無料だけれども、アイテムなどの「有料コンテンツ」を購入したい場合には、別途「アプリ内課金」という形でユーザーに課金するビジネスモデル(「フリーミアムモデル」)を採用するケースが増えています。 この場合、ユーザーへの事前の情報提供のために、
    • アプリ内で有料コンテンツが存在すること(その意味で、完全に無料でないこと、
    • 今後の動向次第でコンテンツの価格を変更できることなど
    を書いておきましょう。
      • 【例―16】
     
      • 第8条(有料コンテンツ)
     
      • 1 本サービス内の一部については、対価を支払うことにより有料コンテンツを購入することができます。有料コンテンツの金額、決済方法その他の事項は、別途当社が定め、本サービスまたは当社ウェブサイトに表示します。
     
      • 2 当社は、本サービスにおいて無償または有料とされているコンテンツについて、当社の裁量でその価格を変更することがあります。
     
      • 3 利用者が有料コンテンツの対価の支払いを遅滞した場合、利用者は、年14.6%の割合による遅延損害金を当社に対して支払うものとします。
     
      4 有料コンテンツは、利用者本人の登録情報に対してのみ使用が許諾されます。

    (2)コインなどの仮想通貨に関する取り扱い

    ①有効期間

    アプリ内課金をする場合、アイテムを課金する際の支払い・決済方法として、
    • 事前にコインなどの「仮想通貨」を発行すること、
    • アイテムは、その仮想通貨と交換することで入手できること、
    • 仮想通貨の有効期間
    などを書いておく必要があります。 この中でも、特に注意が必要なのは、「仮想通貨の有効期間」です。 ユーザー目線で考えると、例えば、仮想通貨といったん交換したら、ずっと使えると考えてしまうユーザーもいます。それにもかかわらず、後だしじゃんけん的に、「実は、交換してから1週間以内に使わないと消えてなくなります」という取り扱いをするのは、ユーザーへ不意打ちとなり、フェアではありません。 その意味で、コインなどが、購入後いつまでなら使えるのか(=「有効期間」)を事前に明示することが求められます。 もう一つの視点として、(実は、運営側からするとこれが一番大事なことなのですが)、 仮想通貨は、「資金決済法」という法律の「前払式支払手段」というものに該当し、仮想通貨の有効期間が「6か月を超える場合」には、資金決済法上の様々な規制がかかってしまうことです。 規制のうち、最も厳しい負担として「供託義務」があります。 これは、アプリ内で発行しているコインの未使用残高が1,000万円を超えたときは、その未使用残高の2分の1以上の額に相当する額を「供託」(=法務局というお役所に、現金を預けること。)する義務のことをいいます。 例えば、発行したコインのうち、未使用のコインの合計額が1000万円のケースでは、1000万円の2分の1である「500万円」を供託する必要があるのです。 しかし、ベンチャー企業において、500万円ものキャッシュが出ていくのは避けたいところです。 そのため、アプリ内課金をする場合には、 〇〇コインの有効期間は、コインが付与された日から6か月とします。」 といった記載を設けることで、この供託義務を回避することができます。 もっとも、Google play・App storeなどのプラットフォーマーによっては、有効期限を設定することが禁止されている場合があることには注意が必要です。 そのため、アプリを作成して申請する際には、プラットフォーマーの利用規約・ガイドラインを確認しましょう。 ※本記事作成時点で確認できた限り、App storeに申請する際には、仮想通貨に有効期限を設定することはできないとされています(「App Store審査ガイドライン」:https://developer.apple.com/app-store/review/guidelines/jp/)。

    ②払い戻しをしないこと

    アプリ内課金をする場合、ユーザーの方から、「誤操作により、意図せずに課金してしまった」といった理由で、返金を請求されることが想定されます。 この場合、資金決済法上、ユーザーへの払い戻しが基本的には禁止されているため、運営側としては、ユーザーへの返金をする必要がありませんし、そもそも、してはいけないことになっています。 そこで、この点を明確にするため、利用規約の中に、「払い戻しには対応できない」旨の一文を入れておきましょう。
      • 【例―17】
     
      • 第9条(コインの取り扱い)
     
      • 1 当社は、本サービスにおいて利用者がコインを購入した場合、当社がキャンペーンを実施する場合その他の場合に、当社の定める方法により、利用者にコインを付与します。コインの購入単位、価格、有効期間、その他のコインの付与条件は、当社が定め、本サービス上に表示します。
     
      • 2 〇〇コイン<の有効期間は、コインが付与された日から6か月とします。
     
      3 当社は、利用者が取得したコインについて、法令上必要な場合を除き、一切払い戻しを行いません。法令に基づきコインを払い戻す場合の払戻方法および条件は、別途当社が定める方法で掲示するものとします

    ③RMT(リアルマネートレード)を禁止する

    有料コンテンツを発行する場合、RMT(リアルマネートレード)の問題を考える必要があります。 「RMT(リアルマネートレード)」とは、サービス内で利用できる「アイテム」などのコンテンツや仮想通貨を現実の世界(リアル)で、現金(マネー)と交換(トレード)する行為のことをいいます。 RMTが横行した場合、例えば、ゲームアプリであれば、現金を多く持つものがゲームを優位に進めることができることになり、ゲームバランスが大きく崩れます。その結果、大量のユーザー離れを引き起こり、挙句、アプリが廃止に追い込まれた、といった例すらあります。 こういったトラブルを未然に防止するために、あらかじめRMTを禁止する規定を利用規約の中に設けておくことが必要です。
      • 【例-18】
     
      • 第10条(換金行為の禁止等)
     
      本サービス内で取得した一切のコンテンツまたは仮想通貨については、直接、第三者による仲介又はインターネットオークション等その手段を問わず、売買その他、金銭その他現実世界における対価を授受する形でのあらゆる譲渡、譲受、貸与、借用等する行為(いわゆるRMT【リアルマネートレード】を含みますが、これに限られません。また、本サービス内におけるユーザーの行為に対して金銭その他、現実世界における対価を授受することも含みます。)を禁止いたします。

    (3)サービス終了時の取り扱い

    有料コンテンツを提供するサービスにおいては、サービスが終了したときのことも考えておく必要があります。 というのも、それまで有料コンテンツに課金してきたユーザーの中には、サービス終了にともない「今まで支払った分のお金を返せ!」といったクレームを入れてくるものが必ず出てくるからです。 そこで、運営側としては、運営側の裁量でサービスを終了できることに加えて、
    • サービス終了に伴い、有料コンテンツが使えなくなること
    • サービス終了によりユーザーに損害が生じても責任は負えないこと
    をあらかじめ利用規約の中に書いておく必要があります。
      • 【例―19】
     
      • 第12条(サービスの終了)
     
      • 1 当社は、利用者への適宜の方法で通知することにより、本サービスを終了することができるものとします。
     
      • 2 利用者は、本サービスが終了した場合、有料コンテンツを利用する権利一切を失い、以後、当該有料コンテンツを利用できなくなることをあらかじめ異議なく同意するものとします。
     
      3 当社は、本サービスが原因を問わず終了した場合、これに起因して生じた利用者または第三者が被った損害について、一切責任を負わないものとします。

    8 ECサイト・アプリ利用規約の書き方【ひな形ダウンロード付】

    「Amazon」、「楽天市場」、「メルカリ」といった「ECプラットフォームサービス」を提供する場合の利用規約の書き方について、解説していきます。 まず、【ひな形・テンプレート】ECサイト・アプリ利用規約 をダウンロードしてください。

    (1)プラットフォーマーであることの確認

    ECプラットフォームサービスの場合、運営側は、あくまでも売主と買主のための取引の「場」を提供するにすぎず、個々の取引には関与する立場にはありません。 しかし、ユーザーは、「Amazon」「メルカリ」といったプラットフォーマーのブランド力を信頼して取引に入ることから、あたかも、プラットフォーマーと契約をしているかのように誤解しがちです。 そこで、運営側は、あらかじめ、プラットフォーマーとしての立場を利用規約の中に書いておく必要があります。言い換えると、
    • 運営側は、取引の場を提供する仲介者にすぎないこと、
    • 個々の取引はあくまでもユーザーである売主・買主の間で行われること、
    • その当然の結果として、取引にまつわる責任はユーザーが負うこと
    を明示しておくことが必要です。
      • 【例―20】
     
      • 第2条(当社の役割・立場)
     
      • 1 本サービスは、ユーザー間における商品・サービスの売買その他の取引(以下、「個別取引」といいます。)のための場・機会を提供することを内容とするものです。そのため、当社は、個別取引の当事者にはならず、別途特に定めた場合を除き、売買契約の取り消し、解約、解除、返品・返金や保証などの個別取引に関しては一切関与いたしません。
     
      2 ユーザーは、個別取引における一切の義務を自己の費用・責任において遂行するものとします。

    (2)ECサイト・アプリ固有の免責条項

    ECサイト・アプリのプラットフォーマーは、冒頭でも説明したとおり、取引の場を提供しているにすぎません。 そのため、売主・買主間で生じる各種トラブルに関しては、その当事者同士で解決すべきであって、プラットフォーマーは、一切責任を負わないことをあらかじめ明示しておきましょう。 具体的には、
    • 商品に瑕疵があった場合でも責任を負わない
    • 商品の引き渡しや代金の支払いがない場合でも責任を負わない
    といった「免責規定」を設けておくことが必要です。
      • 【例―21】
     
      • 第9条(免責)
     
      • 1 当社は、個別取引において売買される商品の内容、品質、適法性、安全性、有用性などについては、一切保証いたしません。そのため、商品に瑕疵・不具合などがあった場合でも、当社は一切の責任を負わないものとします。
     
      • 2 当社は、個別取引に関する商品の引渡しまたは代金の支払い可能性に関し、一切保証いたしません。そのため、個別取引において、商品の引渡しがないまたは代金の支払いがない場合であっても、当社は一切の責任を負わないものとします。
     
      3 利用者と他の利用者との間の論議・紛争その他のトラブルについて、当社は一切責任を負わないものとします。利用者と他の利用者でトラブルになった場合でも、両者同士の責任で解決するものとし、当社には一切の請求をしないものとします。

    (3)遵守事項

    次に、出品者・購入者のそれぞれについて、商品の出品や購入に伴って、
    • 法令などをきちんと守ったうえで、出品・購入をすること
    • 違反行為をした場合のペナルティ
    などについて、書いておきましょう。 というのも、ECサイト・アプリのプラットフォーマーといえども、紛争を未然に防止できたにもかかわらず、これを放置した場合には、一定の責任を問われる可能性を示唆した裁判例などがあるからです。 そこで、こうした責任を問われないためにも「我々としては、キチンとルールを整備してますよ」というアピールをする趣旨で、また、安全にサービスを利用してもらうためにも、出品者・購入者それぞれの遵守事項をあらかじめ明示しておく必要があるのです。
      • 【例―22】
     
      • 第12条(出品者の遵守事項)
     
      • 1 出品者は、当社が定める手続きにより、商品の出品を行ものとし、出品する商品等およびその出品方法等にかかる関係法令および監督官庁のガイドラインを順守しなければなりません。
     
      • 2出品者は、次の各号に該当する商品は出品することができず、下記各号に該当する行為をした場合、出品者の故意・過失の有無にかかわらず、本規約違反行為とみなします。
     
      • (1) 下記商品を出品する行為
     
      • ①   偽ブランド品、海賊品などの法令に違反する商品
     
      • ②   主として武器として使用されるまたはそのおそれのある目的を持つ商品
     
      • ③   犯罪により入手した商品
     
      • ④   公序良俗に反する商品(わいせつな商品、児童ポルノに関連する商品を含むがこれに限らない。)他の利用者の人体・健康に影響を及ぼすおそれのある商品
     
      • ⑤   その他当社が不適切と判断した商品
     
      • (2) 出品者は、出品する際に、真に売却する意思のない商品を出品する行為
     
      • (3) その商品情報だけでは正しく商品を理解できない又は混乱する可能性のある商品を出品する行為
     
      • (4) 商品説明において、十分な説明が行われていない商品を出品する行為
     
      • (5) その他当社が不適切と判断した行為
     
      4 出品に関し当社が本規約に違反すると判断した場合又は不適切と判断した場合、当社は、第11条(禁止行為)に定める措置のほか、その出品やその出品に対して発生していた購入行為を当社の判断で取り消すことができるものとします。本項に基づく措置によって出品者に生じる損害について、当社は一切責任を負わないものとします。
      • 【例―23】
     
      • 第13条(購入者の遵守事項)
     
      • 1 購入者は、当社の定める手続きにより購入の意思を持って、注文を行うものとし、購入する商品等およびその購入方法等にかかる関係法令および監督官庁のガイドラインを順守しなければなりません。
     
      • 2 購入者は、次の各号に該当する商品を購入することができず、下記各号に該当する行為をした場合、購入者の故意・過失の有無にかかわらず、本規約違反行為とみなします。
     
      • (1) 購入する意思のない注文行為、
     
      • (2) 偽ブランド品、海賊品などの法令に違反する商品の購入行為
     
      • (3) 転売等の営利を目的とした商品の購入行為、
     
      • (4) いたずら、嫌がらせその他不当な目的での注文行為
     
      • (5) 自らの出品物を購入する行為
     
      • (6) その他当社が不適切と判断した行為
     
      3 会員の注文または購入等によって、出品者や第三者に生じる損害につき、当社は一切責任を負わないものとします。

    (4)監視体制を設けること

    「(3)遵守事項」を設けるのと同じ理由で、
    • プラットフォーマーは、サービスの利用状況を監視していること、
    • ユーザーもこれを同意すること
    を明示しておきましょう。
      • 【例―24】
     
      • 第17条(監視業務)
     
      当社は、利用者が本サービスを適正に利用しているかどうかを監視する業務を当社の裁量により行うものとし、利用者はそれに同意するものとします。

    9 同意の取り方を工夫する

    最後に、利用規約への同意の取り方についてご説明します。 利用規約は、冒頭で説明したとおり、サービスを提供する運営側とこれを利用するユーザーとの間の「契約書」になります。 そして、契約の効果が生じるためには、ユーザーが、契約書に書かれた内容に「同意」していることが前提となります。 そのため、ユーザーを利用規約で縛るためには、まずもって、ユーザーからの「同意」を取り付けることが必要になるのです。 同意の取り方としては、以下のような方法があります。
      • 【パターン①】
     
      下記利用規約に同意いただいた上で、会員登録にお進みください。
    目次 第1条(目的)・・・・・ 第2条(定義)・・・・・ 第3条(免責)・・・・・ □利用規約に同意する これは、サイドバーをスクロールしていくと、利用規約全文が表示され、全文を読みきったところで、「□利用規約に同意する」にチェックを入れて同意を得るパターンです。 ただ、このパターンですと、ユーザーが「面倒くさい」などの理由で、離脱してしまう恐れがあります。 そこで、以下のようなパターンを導入することで、ユーザーの離脱率を抑えることができます。
      • 【パターン②】
    利用規約
      に同意いただいた上で、会員登録にお進みください。
    これは、利用規約の全文を表示するのではなく、利用規約の一文に「ハイパーリンク」を設定して、クリック一つで利用規約の全文が見れる状態にしておく方法です。 こうすることで、利用規約に関心のないユーザーの離脱は回避できますし、反対に、関心のあるものは、簡単に利用規約を見ることができるようになります。

    10 まとめ

    これまでの解説をまとめますと、以下のようになります。
      • 利用規約は、“契約書”と一緒。大量処理のために、便宜的に「利用規約」という体裁をとっているだけ。そのため、ユーザーがその内容を理解し、同意することが必要。
      • 利用規約は、提供するサービス・ビジネスモデルに応じて、内容がガラリと変わる。そのため、他社のものやテンプレを適当にいじっただけのものはダメ。
      • Webサービス・アプリ利用規約の書き方には、(ⅰ)サービス一般に共通する項目、(ⅱ)ビジネスモデル別に固有の項目がある。
      • 同意の取り方を工夫する。便利なのは、「利用規約」の一文を置き、その文字上にハイパーリンクを設定することで、利用規約を見れる状態にする方法。
    【ア.  汎用的な利用規約の書き方】
      • ポイント①:サービスの円滑な運営のために、変更条項を設けること。
      • ポイント②:禁止事項を明記し、セットで違反した場合のペナルティも記載しておくこと。
      • ポイント③:免責条項を設けること。ただし、消費者契約法による限界があることに注意。
      • ポイント④:トラブル発生時に、常に自社に有利な“ホーム”で闘えるように、「日本法・日本の裁判所で勝負する」という規定を置くこと。
    【イ.  ソーシャルメディア・SNS利用規約の書き方】
      • ポイント①:禁止される投稿の種類を列挙し、これを削除できる旨の規定を置くこと。
      • ポイント②:投稿コンテンツの著作権に関するライセンス条項を置くこと。
      • ポイント③:着者人格権を行使しない旨の規定を置くこと。
    【ウ.  課金アプリ利用規約の書き方】
      • ポイント①:有料コンテンツがあること(=完全に無料ではないこと)を明示する。
      • ポイント②:資金決済法の関係で、コインなどの仮想通貨の有効期間を6か月に限定する。ただし、アプリプラットフォーマーによっては、有効期間を限定できないことに注意。
      • ポイント③:仮想通貨の払い戻しはできないことを明示する。
      • ポイント④:RMTを禁止する旨の規定を置くこと。
      • ポイント⑤:サービス終了時の対応に関する規定を置くこと。
    【エ.  ECサイト・アプリ利用規約の書き方】
    • ポイント①:プラットフォーマーにすぎず、取引の当事者にはならないことを明示する。
    • ポイント②:個別取引におけるトラブルについては、責任を負わない旨の規定を置くこと。
    • ポイント③:出品者・購入者双方が守るべき遵守事項を書いておくこと。
    【ひな形の注意事項】  
    • 本記事にてダウンロード可能な各種ひな形の著作権その他の一切の権利については、弁護士伊澤文平に専属的に帰属しております。したがまして、ひな形の利用許諾は、これら権利の移転を意味するものではありません。
    • 各種ひな形をご利用いただけるのは、法人様又は法律家以外の個人の方のみに限り、弁護士・司法書士・行政書士などのいわゆる士業の方のご利用は一切禁止しておりますので予めご了承ください。
    • 本ひな形は、自己又は自社内でのビジネスのためにのみ(以下、「本件利用目的」)ご利用いただけます。したがいまして、本件利用目的以外での利用並びに販売、転載、転送及びネット上にアップロード・投稿する行為その他一切の行為を禁止します。
    • 各種ひな形の内容に関して、弁護士伊澤文平はいかなる保証も行わず、ひな形の利用等に関して一切の責任を負いませんので、予めご承知おきください。
     
    AUTHOR
    勝部 泰之

    データサイエンス研究しながら仕事してる弁護士。 一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科(M1・清水研究室)。

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